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暗いダンジョンの中で捨てられました──捨てる勇者あれば拾う妖精あり?

にじゅうし。『さて、コハク。訊きてぇことがある』──事務所の奥で、ギルマスと談話します

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「さて、コハク。訊きてぇことがある」
「はい」

 カウンターを抜けて、事務所の奥。ギルドにとって大切なお客さんや、特別な内容の依頼を持ってくる人との会談に使われる応接室で、ふかふかのソファと、木目の美しいマホガニー材のテーブルがある。

 初めて登録をしに来た日も、ここへ通された。

「まず、お前さんの発言、アレフと別れたってぇのはホントか」
「はい。私はこの2年、なんにもレベルアップしなかったので、パーティでも浮いた存在だったのかもしれません」
「まだ、13だろ? これからじゃねぇか。そうやって妖精を使役テイムしてんだから、新しい才能開花したんだろ?」

 ソファの背凭れに両腕を広げ、足を組んでなかなか尊大な態度のギルマス。実際、偉い人で、凄い冒険者だったらしいけど。

「違います」

 ギルドカードに施された遮蔽魔法を、全開放する。

「なんだ。本当にLv1ばっかだな。2は料理だけか」
「はい」
「そいつらを連れてるのに、称号もついてんのに、技能スキルに召喚も調教もついてねぇな」
「はい。してませんから」
「じゃ、なんでそいつら懐いてんだ?」

 普通、召喚魔法に成功すれば【召喚サモンズ生物調教アニマテイミングに成功すれば【調教テイム】の技能スキルが開花する。

 もちろん、職業クラスに【召喚士サモナー】【調教師テイマー】が増える場合もあるが、私はそれら魔法を専門に扱う冒険者でもない。

「故郷で7つの時にゲットした……」
「また、おばあちゃんのロッドか!?」

 ギルマスは、私がお祖母さんから、無限収納付与インフィニティインベントリ小袋サッシェと、癒しの杖ヒーリングロッド鑑定単眼鏡アプレィズモノクルをもらって、冒険者になる決意をしたと、知っている。

「……はい」

 本当は、私がちょっと怪しい商人のオジサンにもらった(代金を払い忘れた)のだけど、基本的にお祖母さんの杖で冒険しているので、そこは細かい事で省く。

 ──もしかしたら、省かなかった方が良かったかもしれないけど

「今度はなんだ?」
「コレです。『妖精王の杖シルフィールスタッフ』妖精族限定で召喚出来るみたいです」
「はぁ…… そりゃまた、すげえ代物だな?」
「魔力のない私では、この子達で精一杯なので、この先、宝の持ち腐れかと……」

 この子達を妖精界に帰還させて違う子たちを喚ぶ気にはなれないし、あの時のように、極限まで切羽詰まらないと、使いこなせないと思う。

「まあ、そう言うなや。そいつらと付き合ってれば、そのうち、MPは増えるかもしれねぇだろ?」
「そうでしょうか! だったら、この子達ももっと活躍出来ますね?」
「あ、ああ、まぁな」

 私の歓喜の勢いに圧されて、ギルマスがややひいたけど、そんな事はいいや。

 この子達と、冒険を続ければ、私の魔力があがったり、技能スキルを覚えたりするかもしれないのだ!

 夢だけは、膨らんだ。






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