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暗いダンジョンの中で捨てられました──捨てる勇者あれば拾う妖精あり?

じゅうひち。『やっぱり、選択肢間違っていたみたい。その先は行き止まりだった』──ちょっと、どうなるの? 私。まさかの絶体絶命?

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 ⚠️じゅうしち。と違うん? なる意見は受け付けません。襾⚠


     🕸️

 やっぱり、選択肢間違っていたみたい──その先は行き止まりだった。

 クリスの洞察力が欲しい。アレフの判断力と、色んなことがうまく行く神様のギフトが羨ましい。

 おかしいな、私だって、運気ラック999(カンスト)+のはずなのに……

 隠し通路とか、地上までの転送装置ポーターゲートとかないか、鑑定単眼鏡アプレィズモノクルをポーチから出してまわりを視る。

 端っこに、自分の能力値ステータス変化の通知が写る。

 ──パーティから外れた為、補正値がなくなりました
   現在の運気ラックは999です(⏬)マイナス

 アレフの【英雄ヒーロー】の補正値がなくなった? 2年の経験で、自分のラックがカンストよりも更に上に、成長したんだと思ってた。

 プラス分の幸運がなくなっただけで、こんな危機になるの?

 世の中の運気の数値が低い人たちはどうやって生きてるの!?

 打ちひしがれながらも、必死にまわりを見るけれど、隠し通路や転送装置などの脱出に便利なものは無かった。

 もう一度、あのスライムだらけの中を通って、分かれ道に戻らないといけないの?

 少し光が弱くなった、薔薇の形の輝水晶の杖を振ってから、見落としがないよう、鑑定単眼鏡アプレィズモノクルをつけたまま、ゆっくりと来た道を戻る。

 固まって転がっているたくさんのジェリーはそのままで、まるでゼリービーンズが散らかっているようだ。

 その先に、隙間に逃げ込んだ黄色麻痺毒以外のブロブ(流動性不定形魔生物)はまだぷるぷるしながらいた。

 私に気づいたのか、ぷるぷるが少し激しくなって、じわじわと近寄ってくる。
 どこで感知してるんだろう。

 赤黒い強酸スプレーのは遠くから、私の装備品(防水布ポンチョ)を溶かそうと、狙ってくる。
 鑑定単眼鏡アプレィズモノクルのおかげで、スプレーしてくるタイミングはわかるが、無色透明に近いやつが、幾つにも分裂して私を取り囲もうとするので、完全には避けきれない。

 そうこうする内にいちごゼリーみたいなやつが紅炎を プロミネンス 飛ばしてきて、遂にポンチョの端に火がついた。

「あわわわわ…… も、燃えちゃう、私も燃えちゃう!!」

 慌てて、強酸にやられてボロボロのポンチョを、首を抜くひまもなく引きちぎるように脱ぎ、湿った床に落として、靴底で踏みつける。

 こんな狭い場所で火がついたら、酸欠で、魔物にやられる前に気を失うかも。

 床が湿っていたおかげか、まだ火が大きくなかったからか、すぐに火は消えた。

 私が抜けたポンチョには、ブロブ達は興味を示さなかった。

 有機物ならなんでもいいのかと思ってたけど、美食家グルメなのね。活きのいい生き物(私)がいいみたい。

 ポンチョに火がついたおかげで、避けたブロブの隙間ができたので、分かれ道に向かって通り抜け、逃走を図る。

 気がついたブロブ達は、ふるふるしながら追ってくる。(どこに目があるの?)

 分かれ道にあと1mってところで、天井から粘液のようなものが垂れ流れて道を塞がれた。

 透明な、スタンダードのブロブだ。

 前門のスタンダードスライム。後門のバラエティー豊かなスライム達。

 今度こそ、絶体絶命?────








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