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暗いダンジョンの中で捨てられました──捨てる勇者あれば拾う妖精あり?
じゅうさん。『理解してもらえただろうか? コハク』──なぜか、捨てられる私よりもツラそうです
しおりを挟む「理解してもらえただろうか? コハク」
アレフの目の中に映る、情けない表情の自分を見ていると、見つめ合ってるような体勢になり、シャイなアレフは目を反らす。
仲間として最後の、手作りクッキーを手渡し、預かっていた小物や生活用品を返した。
2人は甘いもの好きで、私の焼くクッキーはよくおやつにしていた。特にアレフは大好物らしく、エドカーがあまり食べないので余る分は必ずザックにしまって、後からちょいちょい食べていた。
このまま、4人でパーティ効果や【英雄】の加護を確認すると言って、クリスのもつ松明を頼りに、ダンジョンの奥へ進んでいく。
出来れば街まで、せめて外の森までは送って欲しかったけど、新しいフォーメーションを試したいと言われれば、別れた元仲間に、我が儘は言えなかった。
だいたい、2年も冒険者をしていれは、普通なら第二下層くらいまでは、準備さえ怠らなければ、ソロでも行ける程度のダンジョンだ。彼らもそこまで気はまわらなかったのだろう。
今のアレフ達なら、この程度のダンジョンを攻略するのに、さほど苦労はしないだろうから。
──私も街に帰ろ。
彼らが怪我をしたり、困ったことにならないようにと願いながら──
☆☆☆☆☆
なんていって余裕かましてる場合ではなかった。
現在、絶讃、絶対絶命のピンチである。
誰が絶讃するというのか。
実は混乱しているのかしらん。
最初の普通のブロブ(たぶんスライム)は勿論、後から来た強酸タイプや麻痺毒タイプは更に厄介だ。
なにせ、私の武器鉄製槌杖は、打撃武器である。
重い鎚頭をぶつけて叩き潰すもので、想像してみて欲しい。
目の前に、子豚ほどのゼリーの塊がある。
棍棒で叩いても、多少崩れるけど、中に埋まり込むだけで、質量が減ったり蒸発したりしない。
しかも、崩れた所の復元力が半端なくて、引き抜く頃には元通り✨
まともに相手するだけムダである。
内臓の見えてるペーズリー柄のやつは、柄のどれかが核で、そこを狙って潰せば復元しなくなる。
しかしそこは、敵もサルもの引っ掻くもの。(然ると猿をかけてみた)【冗談】Lv1¯(下った!?)
弱点である核を、放置するはずがない。ぶ厚い粘膜に包み、狙って叩いても、スルッと横にズラすのである。
このままでは、埒があかない。
「キャロラインみたいに、華麗な攻撃魔法を叩き込んでみたいなぁ」
叶わぬ夢ではあったが(なにせMP=魔法精神力は2で魔法使用不可ですから)つい、呟かずにはいられなかった。
一種の現実逃避である。
最初に見つけた一体。
背後から強酸飛ばす赤黒い二体。
天井から染み出てきた麻痺毒噴射黄色いやつ。
更に、来た方の壁から染み出てきたのが、これまた危険なやつで、イチゴゼリーみたいに綺麗な半透明の赤色だったが、時折、炎をポッ、ポッ、と吐いていた。
「うわぁん、来しなには見なかったのにぃ」
アレフとエドガーのレベルがこの子達よりもずっと高くて、クリスの【神聖領域】に弾かれていたのだろう。
それでストレスを溜めていたところに、後から来た人や、弱々っちぃ私が現れたので、嬉々として捕食しに来たに違いない。
それにしても、出て来すぎだよぉ!
応援ありがとうございます!
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