男はエルフが常識?男女比1:1000の世界で100歳エルフが未来を選ぶ

ひらだいら

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37話 アンナとマリオン

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月曜日の朝に職員に見守れながら体育館でユニーク魔法【治療ガラガラ】を発動させて球体を7個だす。
そしたら球体から分かる病人データを紙に書きだす。その紙を施設員に渡すことで、選ばれた病人7人が来週以降指定の病院に来るよう手配してもらう。

病状が酷くて指定の病院にまで来れない場合があったら、その殆どは別の病院で入院中なはずなので俺が水曜日の奉仕活動の日に入院先の病院に【テレポート&エスケープ】で直接出向き球体を渡す予定だ。

まぁ、実際はそう上手くいけばいいなという感じだ。
病院からしたら部外者が来て患者を横取りする感じだからいい気分じゃないだろう。
だからその時が来たら先に奉仕活動としてその病院関係者に握手とかおべっかを言い機嫌を取るつもりだ。

施設クロノス近くにある男性向けの病院(指定病院)の手術室で、球体を再び出現させるため【ガラガラ】と唱える。
今日最後の病人は西・J・アンナにし ジェーンあんなちゃん。9歳。
アンナちゃんは足の病気で歩けない、球体を渡しアンナちゃんの頭上に画面が出現し完治まで20分と教えてくれたのでお話をして過ごす。
時間は個人差があるけどこれが虫歯とかなら1分だったりする。

「足が治ったらお兄様とお散歩したいです。きっとお兄様も喜んでくれます。」

「そっか、お兄さんは優しいんだね。」

「はい。お母様が事故で亡くなった時も保護施設に行かず家に残ってくれて、今日も付き添ってくれました。」

アンナちゃんは身内に男性がいる女の子で兄の事を多く話した。
妹思いな兄だ。珍しいかというえば微妙に珍しいと言った所か、男女比があるとはいえ身内の情を持っている男は居なくはない。とはいえ今日まで付き添っているのなら妹を可愛がっているのは間違いないからアンナちゃんが兄を自慢するのも分かる。

「それじゃあ検査とリハビリ頑張って元気な所お兄さんに見せようね。」

烏丸ハルカちゃんの時の髪の毛が伸びた時も不思議に思ったけど、理屈分からないけどアンナちゃんの場合はやせ細ってた足の肉付きが良くなった。完治0秒になったらたぶんリハビリとかする必要ないんだろうけどしばらく歩いてないとの事で歩き方忘れてる可能性もあるだろうし、そこはお医者さんに判断をゆだねるのが一番だろう。

[完治まであと3秒]

[完治まであと0秒]

手術台から車いすに移されたアンナちゃんにお兄さんが駆け寄る。

「アンナ!よく頑張ったな。」

「はい!全然痛くありませんでした。待ち時間も神風様が私のお話を聞いてくださりました。」

「そうか・・ちょっと待ってくれるか?」

「はい」

アンナちゃんのお兄さんが俺の方に足を動かした。

「アンナの兄の西・M・勇斗にし マリオンゆうとと言います。妹を助けてくれてありがとうございました。」

西さんは俺に向けて手を差し出し握手を求めた。俺は握手に応え「出来る事をしただけですよ」と答えた。

「これはほんの気持ちです。」

あー・・と、差し出された分厚い茶封筒。
注意事項でお金を余分に包まないように伝えてもらおうかな?

「お金を使う趣味持ってないのでいりません。妹さんはまだ検査もありますし付いていてあげてください。」

首を振りながら茶封筒は受け取らないと手を後ろにして断った。
西さんは本当に良いんですか?とちょっと困惑しながらも俺に頭を下げアンナちゃんと一緒に手術室を出て行った。

「神風さんお疲れ様でした。」

看護師さんが声をかけてくれた。

「ああ、皆も付き合ってくれてありがとう。」

俺はそれから書類を作成し、病院に勤めている人達に帰るための挨拶をして回った。
男性向けの病院に勤めている女性達だそのために努力をしたのは想像に容易く、俺のユニーク魔法に協力してもらっていることも感謝しないといけない。

皆気持ちのいい挨拶を返してくれる。
俺と知り合いになれば病気になった時ガラガラの当選者になる可能が上がる。これ位の役得は有ってしかるべきだろう。

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