男はエルフが常識?男女比1:1000の世界で100歳エルフが未来を選ぶ

ひらだいら

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36話 ゲンさんはイケオジ

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施設クロノスに帰ってからの日常はこんな感じ

月曜日:【治療ガラガラ】使用のヒーラー
火曜日:休み
水曜日:奉仕活動
木曜日:休み
金曜日:ヒーラー
土曜日:休み
日曜日:休み

今日は土曜日で施設クロノスの交流広場のテーブル席でゆったりコーヒー飲んでる。

週休4日と働いてないイメージかもしれない。が、社会不安が俺の生活を脅かすかもしれなくても激務にして早死にしたくないのと、野心ありとか賞賛を受けたい人間だと思われると婚活にも影響がありそうだからだ。

乾久成は体が傷だらけになってから犬飼さんと出会い29年間一緒にいる。
立花譲は今は確固たる地位があるが、駆け出し研究者の頃に4人と結婚している。

どちらも立場が不安定な頃の出会いを大事にしている。
俺も遅いかもしれないが出会いを大事にしたい。だから俺自身に変なイメージつけたくないんだよね。

社会情勢を考えたら俺が出来る事は奉仕活動とヒーラー全ぶりだが、両方疲れるし過労死したくない。
そもそも男にしたら週3も働いてるのは珍しい方だ。(譲は例外)

それ以上働くとなると俺は何も言って無くても周りが勝手に俺にレッテルを付ける事が考えられる。
もしもヒーラーの仕事ばかりしてたらヒーラーとして名を世界に轟かせたいのだとか、奉仕活動ばかりしてたら博愛主義者だとか慈悲深く無欲な人だとか勝手に無意識に思われるかもしれない。

そうなると俺に集まる人の中に「私と結婚したらもっと有名になれます。」「我が団体に所属してくださったらもっと不幸な人々を救えますよ。」と変なアピールしてくる人とか出てくる可能性がある。もし現れたら別の男性探した方が良いですよと言いたい。

「浮かない顔してどうしたじゃ?」

「ゲンさん・・・」

ゲンさんは俺が施設に入る前からいる古参男性。俺より背が低く筋肉質で世話焼きなイケオジだ。
両手にカップを持ち1つを俺にと置いた。紅茶のようだ。ちょうどコーヒー少なくなっていたし飲み干し貰った紅茶のカップをより自分の方に寄せた。

ゲンさんは自分おカップに一口つけてから喋りだした。

「疲れておるようじゃの、ヒールを使えるようになったからと働きすぎじゃぁないか?」

「はしゃいでないと言ったら嘘になるけど、ちょっと悩み事があってね。」

「女のカウンセラーには言えんことかの?」

クロノスにはいろんな施設員とスタッフがいる。施設員は体を張るのも仕事のうちに入るから定年が40と早いがスタッフは定年が通常の年齢で技術や経験重視の仕事人だ。

スタッフはカウンセラーの他にも医者や看護師だったり美容師もいる。(美容師に関しては女に髪や頭皮を触れせても大丈夫な男性のみが利用する。交友ランクが低い男だと髪が極端に長かったり逆に自分でバリカン使って坊主にしてたりもする。)

「まぁね。ところでゲンさんって何歳だっけ?」

「?もうすぐ261になるな。」

「確か結婚してなかったよね?してみたいと思った事ってある?」

結婚願望は秘密にしてたけど男相手ならまぁいいかな?
ゲンさんは静かに驚いた顔をした後、神妙そうに小声で

「・・好きな女がおるのか?」

「いやいや、違うよ。ただ1回ぐらいしてみても良いかなって・・・けど、今働いてて高くはお金取ってないんだよね。それで俺を聖人のような人だと勘違いする人達が集まるとメンドクサイなって思って」

「そうか・・・確か社交館で未婚女性が集まるパーティーがこの時期あったろう。ワシのお供として連れてこられたという事にすれば断りやすいじゃろう。どうじゃ?」

「それは・・ありがたいけど、いいの?それ報酬もない婚活パーティーだよ?ランクって高かったけ?」

ゲンさんが言っているのはおそらく第1~第3夫人を狙えるレベルのお金持ちや家柄の良い未婚の女性が集まるパーティーだ。クロノスにも掲示板で男性募集ポスターが貼ってあるから俺も知ってるけど参加したことはない。

「CDランクだ。」

繁殖ランクC:健康で繁殖力が一定以下
交友ランクD:身内も含めて女性に興味が薄い

交友ランクで言えば女性に強い恐怖心はないものの微妙な所だ。
ゲンさんは俺の微妙な顔を見てッフンとかっこよく笑い誇らしげに喋りだした。

「なぁに基本メンドクサイが苦痛に感じる程ではないからのぅ。困っている若者の力になってやるのも年配の格の見せ所じゃ」

「ゲンさん・・・カッコいい」

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