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【普通の暮らし】のため

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 【ダイ町】に入国してから、3か月たった。 今、俺は飲食店でアルバイトを始めていた。
最初は、いらないものを売ってから過ごしていたが、さすがに限界が来たのでアルバイトを始めたのである。
ここの町の人たちはとても優しくいい人が多い。
 
 「お疲れ様です~」
いつも通り、俺は仕事を終えて帰ろうとすると
 「お~い! ちょっと来て!!」
店長が呼んだので、ため息をつきながら行ってみると、
 「どうしたんですか、次はキッチンを破壊したんですか?」
 「ちょっと、なんでそうなるのよ!!」
 「・・前回、客を強盗と間違えて、追いかけまわしたってクレームがあるんですが・・」
 「・・・仕方ないじゃない、あのお客さんがそう見えるのが悪いのよ!!」
 「逆に開き直るな!!!」
ここの店長はエルフの美人なのだが、いろんな意味で残念な人である。
 「それで何の用事ですか?」
 「ああ、忘れていたわ、あそこにいるお客さんがあなたを呼んでいるのよ。」
見てみると、女騎士がいた。
 「・・・あなた、何をしたの?」
 「・・何もしていませんよ・・・たぶん」
 「もしかして、彼女なの!?」
 「なんでそうなるんですか! 知りませんよあの人は」
まあ、何を言っても始まらないので、
 「あの~」
と話しかけてみると、
 「ん?、なんだ貴様。 もしかして、貴様がミカズキというのか?」
 「え、はい。 俺がミカズキといいます。」
すると、女騎士は、俺をジロジロ見てこう言った、
 「うん、そうだな。 貴様、私の部下にならないか?」
すると、周りの雰囲気が変わった。 当たり前ではある、この町では騎士の部下は名誉なのだ。 つまり、出世することなのである。
 「さあ、どうする?」
 「え、お断りします」
俺は断った。 だって面倒くさいもん。
 「・・・一応、理由は聞いておこう。」
あ、やばい。怒っている。 これは面倒くさいからと言うと絶対に首が飛びそうだな。
 「俺は今の生活が気に入っているので、このままがいいのです。」
 「・・・」
怖い、特に何も言わないのがとても怖い!!
 「あの~・・・」
 「・・・ふふふ、あはははははははは」
あ、やばい。 絶対、この人やばい。 よし、逃げよう。 
 「気に入った、貴様。 貴様は絶対に私の部下にしてやる」
 「嫌です!!」
俺は全力で逃げようとしたが
 「おっと、逃がすとでも思ったか!!」
 「え~、逃がしてくれないですか?」
 「言ったはずだ、貴様を絶対に私の部下にしてやると!!」
なんでだ、俺はただ【普通の暮らし】したいだけなのに・・
 「ダメです!!彼はここの従業員なので!!」
店長が俺の味方になっている!! いつも店長のクレームできつかったのに、今は店長が神に見える。
 『いや、僕が神様だからね!!』
・・今のは聞かなかったことにしよう。 
 「なんだ、貴様は」
 「私はここの店長です!!」
 「ちょっと、ここでケンカしないでくださいよ?」
この2人がケンカしたら、後片付け、俺がやる感じがする。
 「・・ふん、まあいい、だが絶対に私の部下にしてやるからな!!」
そんな、捨てセリフは言い、女騎士はお店から出て行った。
 「・・店長」
 「大丈夫だよ、君は私が守るから!!」
 「いや、彼女、支払いしましたか?」
 「あ・・・」
あの女騎士、逃げ食いしやがった。
 「は~、まあいいや。 ねえ、君、このあと暇?」
 「いや、暇じゃないですね」
 「そっか・・」
そう言って、俺はお店から出て行った。








『相変わらず、君は鈍感なんだね』
「何を言っているんだ、お前は」
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