6 / 166
初めての敵影
しおりを挟む
「……なに、これ?」
扉の向こうに広がっていたのは、視界を埋め尽くすガラクタの山。20メートル四方はある巨大な工廠が、いくつにも折り重なる得体の知れない機械や装置で密林のようになっている。……その中央。
極楽鳥に似た巨大な鳥が二羽、優雅に羽根を絡ませていた。大きさと形に多少の差はあるが、どちらも体高2メートルほど。羽根を広げたら2メートル半はあるだろう。
「やってもうた……」
その手前で、小柄な人物が頭を抱えてうずくまっている。
「もしかして、あれが?」
「ええ。もしかしなくても、それが工廠長のイグノです。手に触れたもの全てを奇跡のように創り変える魔王領随一の工匠。別名、“輜重隊の悪夢”です」
「へえ……っていうか、前半と後半でずいぶんニュアンスが違うような」
見ての通りです、とセバスチャンは番の鳥を指す。キラキラと輝く羽根はよく見ると磨き上げられた鉄で出来ていた。目の当たりにしてもなお信じられないことに、それは剣と盾と弓矢と甲冑の成れの果てなのだ。
「……ウソでしょ、どこをどうやったらこんなものが出来上がるわけ? どうみても生きてるし、動いてるし。知能だってありそうに見えるし、いまにも飛びそうなくらい……って飛んでるし!?」
少なく見積もっても数十キロはあろうかという巨体が、優雅な羽ばたきだけでフワリと宙に浮かんだ。かすかにカリカリと鳴る歯車らしき音だけが、機械仕掛けなのだという現実を示している。
驚くアタシを振り返りもせずに、うずくまったままの工廠長が泣き笑いの声を返す。
「そりゃ飛びますよ鳥ですもん。問題はそこじゃなくて、魔王様に献上する武器を創ろうとしたら、何でかこんなものが出来上がっちゃったってとこなんですよ。早く作り直さないと即位までに間に合わない」
「いいじゃない、これで」
「無責任なこといわないでください! わたしたちが置かれてる状況を考えると……ん、あんた誰?」
「始めましてイグノ工廠長、アタシが新しい魔王よ。事情があって、名前はまだ決めてないんだけど」
「まおぉおほおー!?」
素っ頓狂な声を上げてアタシを指差した工廠長は、無礼に気付いたのか慌てて自分の指を隠してニヘラッと締まらない笑みを浮かべる。
「ここここれには訳が!」
「そうなんです、我が君。彼女は素晴らしい技術と凄まじい才能と信じられないセンスを持っているのですが、唯一最大の欠点として思ったものとは……少なくとも依頼主の要求したものとは、まるでかけ離れたものが出来上がるのです」
決戦兵器を作ろうとした結果がこれなのであれば、確かにセバスチャンのいっている通りなんだとは思う。が、それを欠点と呼ぶには、あまりにも美しすぎた。
工廠の高い天井には明り取りの小窓があって、薄ぼんやりとした光が帯のように差し込んでいた。照らし出された鋼鉄の極楽鳥の周りで、室内の埃が花吹雪のように踊る。アタシはその輝きを、惚けたように見つめるしかなかった。
「いや、この国の危機は重々承知しておりますし、新王登極までに兵力が必要なのもわかっています。最初は本当に陛下を守る最強無比な鋼の衛兵を創ろうと、わたしの全精力全能力を注ぎ込んだのです、が……」
工廠長は、焦りで汗だくになりながら必死に説明を続けている。
「……気が付くと、目の前には、こんなものが」
「こんなもの、なんていわないでちょうだい」
思わず出た硬い声に、イグノはビクッと身を震わす。
面と向かってよく見ると、彼女はひどく幼い。魔族の基準などわかりはしないまでも、まだほんの少女に過ぎないのだと、そのときになって気付いた。
「謝る必要なんてないし、反省する理由もない。だって、間違ってなんかいないんだもの。あなたに必要なのはパトロンよ。存分に振るえるだけの機会さえ与えられたら、あなたはとんでもないものを生み出す力を持っているわ」
「「……へ、陛下?」」
セバスチャンとイグノの声が重なる。含まれているニュアンスはまるっきり違っていたりはするのだけれど。
「まおー、どこー?」
パタパタと羽音がして、パットが小窓から入ってきた。鋼鉄の巨鳥を見てうぉっと怯むが、気を取り直して舞い降りてきた。
「たいへんたいへーん、れいちぇるが、まおーにおしえろってー」
全然大変そうには聞こえない声で何かを伝えようとしているが要領を得ない。首を傾げていると、すぐにレイチェルが駆け込んできた。
「魔王様、パットが王国軍の軍勢を確認したそうです」
「距離は? 数はどれくらい?」
「わかんないー、えーと、まりすのもりー、いっぱいあるいてたー」
「北東に40哩。山越えですから、武装した歩兵なら二日の距離です。それだけなら、まだ対処のしようは……」
「あとねー、こごえるたに、くろいはたのうまー」
レイチェルちゃんの顔が強張る。キッと睨まれたパットが怯えてアタシの陰に隠れる。
「報告は漏れなく正確にって、何度もいってるでしょう!?」
「い、いおうとしたのー、でも、れいちぇるがー、まおーにほーこくしろってー」
「レイチェルちゃん、どういうこと?」
「宰相の引き込んだ帝国軍です。西に120哩、騎兵なら同じく二日。魔王領で夜間行軍は自殺行為ですから、到着は早くて明後日の昼といったところでしょう」
「せんそー?」
「兵を率いて来るんなら、そういうことでしょうね。目的はアタシ?」
「ええ、おそらく。新王様登極の報は、魔族ならば魔珠によって伝わっています。種族間の接触を禁じられてはいませんから、人間側にも知る方法はあります。魔王様が兵を持たないのは周知の事実。城を攻め落として後顧の憂いを絶ち、この地の領有を示すつもりなのでしょう」
絶望的な状況を説明しながら、レイチェルちゃんに不安そうな様子はない。怯えた顔も見せない。この子、案外肝が据わっているのかもしれないわね。セバスちゃんも、イグノちゃんも、パットまで、何かいって欲しそうな目でアタシを見てる。そんな顔されても困るんだけど、期待に応えなきゃ生まれ変わった甲斐がないわ。アタシは笑う。なんだか、楽しくなってきちゃったわ。
「それじゃ、お迎えの準備をしなくちゃね?」
扉の向こうに広がっていたのは、視界を埋め尽くすガラクタの山。20メートル四方はある巨大な工廠が、いくつにも折り重なる得体の知れない機械や装置で密林のようになっている。……その中央。
極楽鳥に似た巨大な鳥が二羽、優雅に羽根を絡ませていた。大きさと形に多少の差はあるが、どちらも体高2メートルほど。羽根を広げたら2メートル半はあるだろう。
「やってもうた……」
その手前で、小柄な人物が頭を抱えてうずくまっている。
「もしかして、あれが?」
「ええ。もしかしなくても、それが工廠長のイグノです。手に触れたもの全てを奇跡のように創り変える魔王領随一の工匠。別名、“輜重隊の悪夢”です」
「へえ……っていうか、前半と後半でずいぶんニュアンスが違うような」
見ての通りです、とセバスチャンは番の鳥を指す。キラキラと輝く羽根はよく見ると磨き上げられた鉄で出来ていた。目の当たりにしてもなお信じられないことに、それは剣と盾と弓矢と甲冑の成れの果てなのだ。
「……ウソでしょ、どこをどうやったらこんなものが出来上がるわけ? どうみても生きてるし、動いてるし。知能だってありそうに見えるし、いまにも飛びそうなくらい……って飛んでるし!?」
少なく見積もっても数十キロはあろうかという巨体が、優雅な羽ばたきだけでフワリと宙に浮かんだ。かすかにカリカリと鳴る歯車らしき音だけが、機械仕掛けなのだという現実を示している。
驚くアタシを振り返りもせずに、うずくまったままの工廠長が泣き笑いの声を返す。
「そりゃ飛びますよ鳥ですもん。問題はそこじゃなくて、魔王様に献上する武器を創ろうとしたら、何でかこんなものが出来上がっちゃったってとこなんですよ。早く作り直さないと即位までに間に合わない」
「いいじゃない、これで」
「無責任なこといわないでください! わたしたちが置かれてる状況を考えると……ん、あんた誰?」
「始めましてイグノ工廠長、アタシが新しい魔王よ。事情があって、名前はまだ決めてないんだけど」
「まおぉおほおー!?」
素っ頓狂な声を上げてアタシを指差した工廠長は、無礼に気付いたのか慌てて自分の指を隠してニヘラッと締まらない笑みを浮かべる。
「ここここれには訳が!」
「そうなんです、我が君。彼女は素晴らしい技術と凄まじい才能と信じられないセンスを持っているのですが、唯一最大の欠点として思ったものとは……少なくとも依頼主の要求したものとは、まるでかけ離れたものが出来上がるのです」
決戦兵器を作ろうとした結果がこれなのであれば、確かにセバスチャンのいっている通りなんだとは思う。が、それを欠点と呼ぶには、あまりにも美しすぎた。
工廠の高い天井には明り取りの小窓があって、薄ぼんやりとした光が帯のように差し込んでいた。照らし出された鋼鉄の極楽鳥の周りで、室内の埃が花吹雪のように踊る。アタシはその輝きを、惚けたように見つめるしかなかった。
「いや、この国の危機は重々承知しておりますし、新王登極までに兵力が必要なのもわかっています。最初は本当に陛下を守る最強無比な鋼の衛兵を創ろうと、わたしの全精力全能力を注ぎ込んだのです、が……」
工廠長は、焦りで汗だくになりながら必死に説明を続けている。
「……気が付くと、目の前には、こんなものが」
「こんなもの、なんていわないでちょうだい」
思わず出た硬い声に、イグノはビクッと身を震わす。
面と向かってよく見ると、彼女はひどく幼い。魔族の基準などわかりはしないまでも、まだほんの少女に過ぎないのだと、そのときになって気付いた。
「謝る必要なんてないし、反省する理由もない。だって、間違ってなんかいないんだもの。あなたに必要なのはパトロンよ。存分に振るえるだけの機会さえ与えられたら、あなたはとんでもないものを生み出す力を持っているわ」
「「……へ、陛下?」」
セバスチャンとイグノの声が重なる。含まれているニュアンスはまるっきり違っていたりはするのだけれど。
「まおー、どこー?」
パタパタと羽音がして、パットが小窓から入ってきた。鋼鉄の巨鳥を見てうぉっと怯むが、気を取り直して舞い降りてきた。
「たいへんたいへーん、れいちぇるが、まおーにおしえろってー」
全然大変そうには聞こえない声で何かを伝えようとしているが要領を得ない。首を傾げていると、すぐにレイチェルが駆け込んできた。
「魔王様、パットが王国軍の軍勢を確認したそうです」
「距離は? 数はどれくらい?」
「わかんないー、えーと、まりすのもりー、いっぱいあるいてたー」
「北東に40哩。山越えですから、武装した歩兵なら二日の距離です。それだけなら、まだ対処のしようは……」
「あとねー、こごえるたに、くろいはたのうまー」
レイチェルちゃんの顔が強張る。キッと睨まれたパットが怯えてアタシの陰に隠れる。
「報告は漏れなく正確にって、何度もいってるでしょう!?」
「い、いおうとしたのー、でも、れいちぇるがー、まおーにほーこくしろってー」
「レイチェルちゃん、どういうこと?」
「宰相の引き込んだ帝国軍です。西に120哩、騎兵なら同じく二日。魔王領で夜間行軍は自殺行為ですから、到着は早くて明後日の昼といったところでしょう」
「せんそー?」
「兵を率いて来るんなら、そういうことでしょうね。目的はアタシ?」
「ええ、おそらく。新王様登極の報は、魔族ならば魔珠によって伝わっています。種族間の接触を禁じられてはいませんから、人間側にも知る方法はあります。魔王様が兵を持たないのは周知の事実。城を攻め落として後顧の憂いを絶ち、この地の領有を示すつもりなのでしょう」
絶望的な状況を説明しながら、レイチェルちゃんに不安そうな様子はない。怯えた顔も見せない。この子、案外肝が据わっているのかもしれないわね。セバスちゃんも、イグノちゃんも、パットまで、何かいって欲しそうな目でアタシを見てる。そんな顔されても困るんだけど、期待に応えなきゃ生まれ変わった甲斐がないわ。アタシは笑う。なんだか、楽しくなってきちゃったわ。
「それじゃ、お迎えの準備をしなくちゃね?」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
異世界転生でチートを授かった俺、最弱劣等職なのに実は最強だけど目立ちたくないのでまったりスローライフをめざす ~奴隷を買って魔法学(以下略)
朝食ダンゴ
ファンタジー
不慮の事故(死神の手違い)で命を落としてしまった日本人・御厨 蓮(みくりや れん)は、間違えて死んでしまったお詫びにチートスキルを与えられ、ロートス・アルバレスとして異世界に転生する。
「目立つとろくなことがない。絶対に目立たず生きていくぞ」
生前、目立っていたことで死神に間違えられ死ぬことになってしまった経験から、異世界では決して目立たないことを決意するロートス。
十三歳の誕生日に行われた「鑑定の儀」で、クソスキルを与えられたロートスは、最弱劣等職「無職」となる。
そうなると、両親に将来を心配され、半ば強制的に魔法学園へ入学させられてしまう。
魔法学園のある王都ブランドンに向かう途中で、捨て売りされていた奴隷少女サラを購入したロートスは、とにかく目立たない平穏な学園生活を願うのだった……。
※『小説家になろう』でも掲載しています。
【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!
つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。
冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。
全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。
巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。
異世界の親が過保護過ぎて最強
みやび
ファンタジー
ある日、突然転生の為に呼び出された男。
しかし、異世界転生前に神様と喧嘩した結果、死地に送られる。
魔物に襲われそうな所を白銀の狼に助けられたが、意思の伝達があまり上手く出来なかった。
狼に拾われた先では、里ならではの子育てをする過保護な里親に振り回される日々。
男はこの状況で生き延びることができるのか───?
大人になった先に待ち受ける彼の未来は────。
☆
第1話~第7話 赤ん坊時代
第8話~第25話 少年時代
第26話~第?話 成人時代
☆
webで投稿している小説を読んでくださった方が登場人物を描いて下さいました!
本当にありがとうございます!!!
そして、ご本人から小説への掲載許可を頂きました(≧▽≦)
♡Thanks♡
イラスト→@ゆお様
あらすじが分かりにくくてごめんなさいっ!
ネタバレにならない程度のあらすじってどーしたらいいの……
読んで貰えると嬉しいです!
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
さようなら、家族の皆さま~不要だと捨てられた妻は、精霊王の愛し子でした~
みなと
ファンタジー
目が覚めた私は、ぼんやりする頭で考えた。
生まれた息子は乳母と義母、父親である夫には懐いている。私のことは、無関心。むしろ馬鹿にする対象でしかない。
夫は、私の実家の資産にしか興味は無い。
なら、私は何に興味を持てばいいのかしら。
きっと、私が生きているのが邪魔な人がいるんでしょうね。
お生憎様、死んでやるつもりなんてないの。
やっと、私は『私』をやり直せる。
死の淵から舞い戻った私は、遅ればせながら『自分』をやり直して楽しく生きていきましょう。
異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜
アーエル
ファンタジー
女神に愛されて『加護』を受けたために、元の世界から弾き出された主人公。
「元の世界へ帰られない!」
だったら死ぬまでこの世界で生きてやる!
その代わり、遺骨は家族の墓へ入れてよね!
女神は約束する。
「貴女に不自由な思いはさせません」
異世界へ渡った主人公は、新たな世界で自由気ままに生きていく。
『小説家になろう』
『カクヨム』
でも投稿をしています。
内容はこちらとほぼ同じです。
中ボス魔物【メタモルスライム】に憑依して復讐を誓う
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
主人公ユノンは、同じ村出身の幼馴染たちと組んだパーティーで、パーティーリーダーを務めていた。だが、パーティーリーダーとは名ばかりで、その実態は、戦闘以外を全部押し付けられる雑用係だった。ユノンはそれでも、仲間たちと冒険できることに満足していた。なぜなら彼は病気の妹を村に残しており、仕送りを続けなければならなかったからだ。お金さえちゃんともらえればそれでよかった。
パーティーは順調に成長していき、Aランクパーティー【金色の刃】として名を馳せていた。Aランクパーティーになった彼らは《上級スキル》の選定式に参加する。今年は魔王が復活したこともあって、《勇者》の登場がまことしやかに噂されていた。そんな中、新進気鋭のパーティー【金色の刃】に注目が集まるのは必然だった。
仲間たちは順調に最強スキルを手にしていく、そしてなんとついに、《勇者》が出たのだ。だがその勇者はユノンではなく、前衛職のギルティアだった。だが勇者パーティーのリーダーとして、当然ユノンのスキルにも期待がかかる。そんな中ユノンが手に入れたのは魔族が得意とする闇スキルと呼ばれるスキルの一つ《憑依》だった。
ユノンはあらぬ疑いをかけられ、殺される。だが、その間際にユノンが使った《憑依》によって、運良くある魔物に憑依することができた。その魔物は中ボス魔物の【メタモルスライム】だった。これではすぐに殺されてしまう!そう考えたユノンだったが、ダンジョンの仕組みが自分のよくしっているゲーム《ダンジョンズ》にそっくりなことに気づく。これならなんとかなりそうだ!
※カクヨム、なろう、アルファ、ハーメルンにて掲載。カクヨム版のみ内容が少し違います。
※第5,6話は少し溜め回になってるので、はやく読みたい場合は読み飛ばし可能です。
※ピンチでも、ヒロインは無事なので安心してください。
※17~19話は強烈なざまぁ回です。作品の雰囲気だけでもお試しで読んでみてください!
※ダンジョン運営好きの方は、本格的なダンジョン運営は《SANDBOX》編からはじまるのでぜひそこだけでも!
※なろうハイファン日間8位週間10位!日間総合39位!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる