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とある聖女の話

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 豪勢な部屋。
 そこは公爵家の屋敷の一角だ。


「なんでなのですかッッ!!!!」


 椅子を蹴飛ばして大きな物音を立てる少女がいた。
 魔女と同じ、金色の髪を持つ少女だ。
 彼女はひどく荒れていた。長年連れ添った執事の報告を聞いて、無様に気性荒く家具を倒したり踏みつけたりしていた。


「私は聖女として!!! 国から認められたんです!!! なぜ!!!!」


 執事から聞いた報告。
 それは、勇者パーティーに入れてくれ、という再三の通達を断られたことだった。
 もうすでに数を数えたくないほどに、彼女は断られていた。


「……このままでは……このままでは!!!」


 このままでは――聖女の地位が危うい。


 少女は睨みつける。
 どこを、ではない。勇者パーティーを『魔女』を。


 怒りの矛先は、魔女に向けられていた。


「騎士を! 騎士を呼んで頂戴!」


 聖女は、その名称に似合わない声で叫んだ。
 聖女は、その名称に似合わない黒く汚れた考えをもって、魔女を排そうとしていた。
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