死ぬのって怖くない

あせとあみのふぇん

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生きること

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 私はまだ生きていたいと思う。

 まだ世の中というものを知らない。

 自分にとって生きるっていうのは、毎日変わり映えしないような、ただ刻む時計の滑車みたいに、ただ正しいとされることを、認められることを、存在できる意味を見出すための行為だと思っている。

その中に少し色を加えてみて、彩ることが人生を過ごす楽しさだと思う。

 人と関わること、会うこと、交わること、全てを経験しても、その先に会うかもしれない人とはまだしてないわけで、
それが私の生きる意味。


 じゃあもし仮に、人間不信になって、
会う理由も話す理由も何も無くなったら、人は死ぬのか。どうだろうか。

 この世間に生まれたからそうなったのでは無いか。人は生きたいと、本能的に思う事がある。アマゾンの奥地に生まれたら、死なないように、ただ本能的に狩りをして、暖を取り、水を飲み、ただそれだけを刻々とすごし、危ない虫に自ら刺されることなんてしないし、ヒョウとかワニが襲いかかってきても、食いちぎられる痛みを感じたこともないのに想像して本気で逃げる。ごく当たり前だ。

それなのにこのアスファルトに産まれると、死ぬのは非常に楽だ。
人は飛び降りるのが、ゴツゴツとした谷じゃないし、首を絞めるのもムキムキのカンガルーじゃなく紐だし、全てが楽に死ねる。

不本意に死ぬ事が、人間にとって恐怖なのだ。

私は好きな人が死にたいと言っても
綺麗事は言えなかった。

ただ死なないで欲しいと、私のために生きろと。会うって約束したって、無理やりこじつける事しか出来なかった。

生きろだなんて、簡単に言えない。

私はあの人じゃないし、あの人も私じゃない。

同情でこう言われてるのかも、私がどれだけ好きかも伝わらない。

私がなき叫べば伝わるのかと泣いても、
本当に好きだったんだ程度で。

私はあの人の生きる意味になりたい。



(3話   人と交わること)

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