999本のバラを君に

恋桜苺

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その4 ~オレンジ色のバラ~

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その4 ~オレンジ色のバラ~

「体育祭だ!!」
 そう今は5月。時が経つのは早いものだなと思いながらまだ春の陽気といえるようなぽかぽかした気温の中俺達は玉入れをしていた。
 いやいや、なんで高校生にもなって玉入れ?と思うだろう。まだ徒競走とかなら分かる。絶対この学校おかしいだろと思った事だろう。俺も思った。担任曰く
「玉入れは己の限界を見極められる素晴らしい競技だぞ。」
 との事だ。よく分からない説明でパパッと終わらせて深く追求させようとはしてこなかった。
 だが最近朝は割とあいつと登校しているせいで体力はついたのだ。なんせあの人間業とは思えないほどの速さで走っているやつについて行っているからな。体力と足の速さは良くなったのだ、それだけは、
「体力とかがついても、コントロール力はつかねえよ!!!」
「紫苑ー。愚痴ってないで手を動かそーやー。」
 あー。なんで玉入れなんてやらないといけないんだよ。俺にはコントロール力と言うものは無いんだ。なぜか前に向かって投げていたはずなのに後ろに飛んでいく始末。
ーーピーー
 ホイッスルの音がグラウンドに響いた。ようやく玉入れが終わったらしい。クラスメイトにお前の投げたやつが顔面に当たったんだけど!?お前前にいたよな!?と何人にも言われ謝っているとどうやら集計が終わったらしく、放送が入った。
「只今の玉入れの結果発表です。1位2年3組、2位2年1組…」
「また負けた!!3組本気で僕達のクラスに勝とうとしてるんだね。でもそろそろ点差開きすぎてやばいかな。いやいやでもまだ色々な種目が残っているから大丈夫かな。」
 そう、実はこの体育祭俺達は3組とある賭けをしていた。その賭けというものを何故やる事になったかというと、事の発端は2時間前に遡る。

ーー2時間前
「体育祭みんなで力を合わせて頑張ろうな!」
「おう!!」
 先生やクラスメイトからの推薦のもと、クラスの委員長となった片栗の掛け声とともに皆で円陣を組んで意気込んでいたところに3組の奴らが来たのだ。
「ぷくく、高校生にもなって円陣とか組んで頑張ろうとしてるんだけど。」
「ほんとだ。うっわーダサっ(笑)」
「ちょっとやめなよ男子、聞こえちゃうじゃん(笑)」
「まあまあ本当の事だしさ。」
 いやいや普通に全部聞こえていますよー。3組は問題児が多くいることはとても有名だった。いつもの俺なら軽くスルーした所だろう。しかし今回は片栗がそばにいた。転入してきてからこの期間で片栗について知った事がいくつかある。あいつは割と負けず嫌いだと言うこと、そして、人の頑張りや決意を馬鹿にする輩が大嫌いな事。
 これは嫌な予感がするな。争いごとにならなければいいけど、とそう思った時には遅かった。
「てめえら聞こえてるんだよ!言いたい事があんなら面と向かっていいやがれ!このチキンが!!」
 あちゃーマジギレモード。あいつはキレると口調が変わる。いつものほんわかしたような、周りにお花畑があるような雰囲気からヤンキーかのように。今までの鬱憤を晴らすかのように口調が悪くなる。しかも相手の痛いところをグサグサ抉るのでこれまた厄介な存在へと変貌してくれる。おっと、説明しているうちに話がややこしい方へと進んでいたようだ。
「あぁ?なんだよ。ダサい事に対してダサいって言って悪いのかよ?あ?」
「そうじゃねえよ。こちとらみんなで息合わせようと、勝とうとしてやってんだよ。それを馬鹿にすんじゃねえよ。人を馬鹿にすることでしか息を合わせられない弱虫共が!」
 ちなみにここまでワンブレスだった。いやー、とりあえずガン垂れるのはやめよう。下から目線で割と怖くない。
「はっ、じゃあどっちの方がクラス全体で息合わせられているか勝負しようや。負けた方は1週間勝った方の命令をなんでも聞くでどうだ。」
「ああ、やってやんよ!かかってこいや!」
 あれま、勝手に賭けを始めたよ。しかも1週間勝った方の命令を聞くとか小学生っぽいな。まあ、3組共の命令を聞くなんて真っ平御免だから俺も頑張って3組のやつらぶっ潰すの手伝いましょうか。あ、ちゃんと競技でだから安心しろよ。

 まあそんなこんなで今この状況にあるのであった。
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