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第7章 土の大龍穴編
125 シルスの工房
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氷竜を討伐したあと、ルシアにファイアーストームの使い方を教えてもらった。この魔法は広範囲に高威力の攻撃ができるのがとても便利だ。魔力貯蔵量が多くなったらクイーンサンドワームも燃やし尽くせるかも知れないな。
そして今は魔法の訓練を終えて、シルスさんの住居に向かって飛んで帰っているところだ。
それにしてもルシアはすごかった。あの魔力の扱い方はすごすぎた。でも、全然本気で戦ってる様子じゃなかったから、ルシアにとっては何でもないことなんだろう。
今までの修行で僕が戦ってるときに、ルシアは空中に浮かんで見てるだけだったけど、ルシアが少しでも手を出したら全く僕の修行にならないね。それにルシアが見てるところで戦うのはとんでもなく安全な環境だってことがよく分かったよ。ルシアに感謝だね。
「ルシア、修行を付けてくれてありがとうね」
『ふん。今さらお礼を言われることでもないわ。我は教えるのが好きであるし、お主は覚えるのが早いからこちらも面白い。これからもどんどん課題を叩きこんでいくゆえ、楽しみにしていろ』
「うん。分かったよ。まずはルシアの背中が見えるところを目指して見るよ」
『フハハハハ! その意気だ! 背中が見えたら、早く追いついて来い!』
よし! 気合いを入れて頑張らなくちゃ!
僕は改めて今の状況に感謝して、修行に打ち込むことを決意した。
「お~い! ルシア様とレンにいちゃ~ん!」
シルスさんの住居の上空に着くと、下でカノアくんが手を振って待っているようだ。
「じいちゃんがルシア様たちが帰って来そうって言うから外に出てみたら、遠くの空から飛んで来てたから待ってたんだ。レンにいちゃん、こんなに早く氷竜を倒したの?」
「うん。と言っても僕は倒せなかったから、ルシアが倒したんだけどね」
「やっぱりルシア様はすごいや! でも氷竜と戦えるレンにいちゃんもすごいよ!」
「ありがとう。僕も氷竜を倒せるくらい強くなれるように頑張るよ」
出迎えてくれたカノアくんと一緒に、シルスさんが作業をしている工房に向かった。
「自宅はこんなに広い工房につながってたんだね!」
自宅から入って奥の方に行くと、かなりの広さの工房があり、シルスさんが家具を作っていた。今、作っているのはベッドのようだ。
『シルスよ。氷竜の魔石を取ってきたぞ。これならどうだ』
ルシアは収納空間から魔石を取り出し、目の前にある机に置いた。
「ガハハハッ! 間違いなく氷竜の魔石ですな! こんなにも早く取ってこられるとは高ランクハンターどもが腰を抜かしますぞ。これなら期待以上の物を作れそうですな!」
シルスさんが氷竜の魔石を手にとって、光に照らしたり、魔力を流したりしていじっている。シルスさんは魔道具作りも出来そうだな。
「ところでルシア。ルシアがシルスさんに依頼しているものってなんなの?」
ルシアが何を作ってもらうのか聞いていないんだよね。特殊個体の魔石が必要なものって一体なんなのだろう。
『うん? 言っておらんかったか? 我がシルスに製作を依頼しておるのはログハウスだ。いつも泊まっているログハウスがあるだろう? あれを更に快適に過ごせるように改良した最高のログハウスだ』
「ログハウスを作ってもらってたの!? 魔石って空調とかに使うためにいるってこと?」
『その通りだ。常時、最適な温度、湿度に調整された空間。広い浴槽が付いた風呂場。多数の機能がついたトイレ。そのほかにも快適に過ごせる工夫が盛りだくさんのログハウスなのだ』
今のログハウスもすごく快適だと思うんだけど、それよりすごいログハウスってどんなのだろう? 僕までワクワクした気持ちになってきたよ!
「それではルシア様。儂はこの魔石を使って仕上げに入りますぞ。1週間もあれば完成させてみせます。昼食はそこにシチューを作っておりますので、ご自由にどうぞ。それではカノア、仕上げにかかるぞ!」
「はい!」
シルスさんとカノアくんはそのまま部屋の奥に移動すると、シルスさんが徐に床を触った。あ! 床が開いたぞ! どうやら地下に下りる階段があるみたいだ。2人がその階段を下りて行くと、床は元の状態に戻った。
「この工房って地下もあるんだね!」
『ああ。シルスが土魔法で作った地下室があるのだ。重要な物なんかはそこで作ってることが多いな。普通ならログハウスは大きいゆえ、この部屋か屋外で作るのだろうが、完成したら我が収納空間に入れるから地下で作っても大丈夫だと伝えていたのだ。ふむ。シルスは作業に没頭すると全てを遮断して製作に集中するからな。1週間は地下から出てこないだろう。このシチューを食べたあとはお主の修行の時間にしよう。さあ、いただくとしよう』
そう言うとルシアは熱々のシチューを深い皿にたっぷり入れて美味しそうに食べ始めた。
ルシアはマイペースだな。それじゃあ僕もシチューをいただいて気合いを入れて修行しますかね。
そして今は魔法の訓練を終えて、シルスさんの住居に向かって飛んで帰っているところだ。
それにしてもルシアはすごかった。あの魔力の扱い方はすごすぎた。でも、全然本気で戦ってる様子じゃなかったから、ルシアにとっては何でもないことなんだろう。
今までの修行で僕が戦ってるときに、ルシアは空中に浮かんで見てるだけだったけど、ルシアが少しでも手を出したら全く僕の修行にならないね。それにルシアが見てるところで戦うのはとんでもなく安全な環境だってことがよく分かったよ。ルシアに感謝だね。
「ルシア、修行を付けてくれてありがとうね」
『ふん。今さらお礼を言われることでもないわ。我は教えるのが好きであるし、お主は覚えるのが早いからこちらも面白い。これからもどんどん課題を叩きこんでいくゆえ、楽しみにしていろ』
「うん。分かったよ。まずはルシアの背中が見えるところを目指して見るよ」
『フハハハハ! その意気だ! 背中が見えたら、早く追いついて来い!』
よし! 気合いを入れて頑張らなくちゃ!
僕は改めて今の状況に感謝して、修行に打ち込むことを決意した。
「お~い! ルシア様とレンにいちゃ~ん!」
シルスさんの住居の上空に着くと、下でカノアくんが手を振って待っているようだ。
「じいちゃんがルシア様たちが帰って来そうって言うから外に出てみたら、遠くの空から飛んで来てたから待ってたんだ。レンにいちゃん、こんなに早く氷竜を倒したの?」
「うん。と言っても僕は倒せなかったから、ルシアが倒したんだけどね」
「やっぱりルシア様はすごいや! でも氷竜と戦えるレンにいちゃんもすごいよ!」
「ありがとう。僕も氷竜を倒せるくらい強くなれるように頑張るよ」
出迎えてくれたカノアくんと一緒に、シルスさんが作業をしている工房に向かった。
「自宅はこんなに広い工房につながってたんだね!」
自宅から入って奥の方に行くと、かなりの広さの工房があり、シルスさんが家具を作っていた。今、作っているのはベッドのようだ。
『シルスよ。氷竜の魔石を取ってきたぞ。これならどうだ』
ルシアは収納空間から魔石を取り出し、目の前にある机に置いた。
「ガハハハッ! 間違いなく氷竜の魔石ですな! こんなにも早く取ってこられるとは高ランクハンターどもが腰を抜かしますぞ。これなら期待以上の物を作れそうですな!」
シルスさんが氷竜の魔石を手にとって、光に照らしたり、魔力を流したりしていじっている。シルスさんは魔道具作りも出来そうだな。
「ところでルシア。ルシアがシルスさんに依頼しているものってなんなの?」
ルシアが何を作ってもらうのか聞いていないんだよね。特殊個体の魔石が必要なものって一体なんなのだろう。
『うん? 言っておらんかったか? 我がシルスに製作を依頼しておるのはログハウスだ。いつも泊まっているログハウスがあるだろう? あれを更に快適に過ごせるように改良した最高のログハウスだ』
「ログハウスを作ってもらってたの!? 魔石って空調とかに使うためにいるってこと?」
『その通りだ。常時、最適な温度、湿度に調整された空間。広い浴槽が付いた風呂場。多数の機能がついたトイレ。そのほかにも快適に過ごせる工夫が盛りだくさんのログハウスなのだ』
今のログハウスもすごく快適だと思うんだけど、それよりすごいログハウスってどんなのだろう? 僕までワクワクした気持ちになってきたよ!
「それではルシア様。儂はこの魔石を使って仕上げに入りますぞ。1週間もあれば完成させてみせます。昼食はそこにシチューを作っておりますので、ご自由にどうぞ。それではカノア、仕上げにかかるぞ!」
「はい!」
シルスさんとカノアくんはそのまま部屋の奥に移動すると、シルスさんが徐に床を触った。あ! 床が開いたぞ! どうやら地下に下りる階段があるみたいだ。2人がその階段を下りて行くと、床は元の状態に戻った。
「この工房って地下もあるんだね!」
『ああ。シルスが土魔法で作った地下室があるのだ。重要な物なんかはそこで作ってることが多いな。普通ならログハウスは大きいゆえ、この部屋か屋外で作るのだろうが、完成したら我が収納空間に入れるから地下で作っても大丈夫だと伝えていたのだ。ふむ。シルスは作業に没頭すると全てを遮断して製作に集中するからな。1週間は地下から出てこないだろう。このシチューを食べたあとはお主の修行の時間にしよう。さあ、いただくとしよう』
そう言うとルシアは熱々のシチューを深い皿にたっぷり入れて美味しそうに食べ始めた。
ルシアはマイペースだな。それじゃあ僕もシチューをいただいて気合いを入れて修行しますかね。
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