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第7章 土の大龍穴編
117 エルデボロスの研究
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エルデボロス様は研究者なのか。何を研究しているんだろう?
「レアンデルは私の研究に興味があるようだね! よろしい! 私の研究内容を説明してあげよう!」
エルデボロス様が目を輝かせて話を始めようとした、その瞬間、
『待て。お主が研究について話し始めると一日が終わってしまう。我が説明する』
「それは残念です。レアンデルにじっくりと説明したかったのですが、仕方ありませんな」
エルデボロス様は残念そうにしてるけど、ルシアに止められるって分かってた感じだな。
『エルデボロスの最も重要な仕事は土の大龍穴の管理であるが、それ以外に研究者をやっておるのだ。
何にでも興味を持つやつだから、研究の幅は広いのだが、主たる研究としては錬金術だな』
「錬金術……?」
『名前の通りならば金を生み出す方法のことだが、エルデボロスが行っているのは、希少金属を生み出すことだな。先ほどのオリハルコンやお主が使っているミスリルなどを作り出す技術だ。エルデボロスは土龍の能力と研究の成果により、希少金属を作り出すことに成功したというわけだ』
「オリハルコンやミスリルを作ることができるなんてすごいや!」
「ハハハハッ! もっと褒めてくれて構わんぞ。私の研究の素晴らしさを理解してもらえるのはとても気持ちがよい!」
エルデボロス様が高笑いしているけど、本当にすごいことだよね。
『あまりエルデを褒めて調子に乗るのも困るが、一番すごいところは希少金属を生み出すことではないぞ』
「えっ? ほかにも何かあるの?」
ルシアがこんなに褒めるのも珍しい気がするな。
『エルデボロスの得意魔法は当然、土魔法だ。しかし、特筆すべきところは5体のゴーレムを眷属にしているところなのだ。
眷属とは自身の力を分け与えることで、自身に連なるものとして契約を結んだ者のことを言う。眷属にするためには契約魔法で"眷属化"をする必要があるのだが、莫大な魔力を必要とするため、龍族でも眷属化ができるのは五大属性龍クラスじゃないと無理なのだ。
眷属にできるのは魔力を有する生物だ。五大属性龍ならば普通は龍族から選ぶのだが、エルデは無機物の眷属化を可能とした唯一の人物。契約魔法のスペシャリストというわけだ』
「新しい情報が山のように出てきたけど、アルさんたちのようなゴーレムは普通だったら眷属に出来ないんだね」
「そうなのだよ! 私が契約魔法を追求することで可能としたのだ! 龍族を眷属にすると気を遣うからね~。その点、私が生み出したゴーレムたちなら気が楽なのだよ」
そういう理由でゴーレムを眷属にしたのか。エルデボロス様は個性的な方だな。
「エルデボロス様は契約魔法のスペシャリストということですが、僕はゴーレムや契約魔法というものを初めて知りました。眷属にするためには契約魔法を使えないといけないんですね」
僕がエルデボロス様に尋ねると、目の前のルシアが口を開く。
『いや、お主は契約魔法を知っておるぞ。サンネイシス帝国で奴隷を見たであろう。奴隷魔法とは、正確に言えば契約魔法を使った奴隷化のことだ。
人間種に契約魔法を使いこなせるものは少ない。ほとんどは奴隷魔法として使える程度だ。本来の契約魔法は幅広く使えるもので、眷属化や奴隷化以外にも従魔化、召喚や誓約などがある』
「レアンデルが契約魔法に興味があるのなら教えてあげてもいいよ。簡単なものならすぐに覚えられるだろう。大龍穴を確認したあと時間があるのならね」
「僕は是非お願いしたいです!」
僕はルシアの方を見る。
『ふむ。簡単なことは教えてもらうとよい。色んな魔法の仕組みを知っておくことは大切だ。自分が使うだけではなく、身を守ることにも繋がるからな。クリスタも聞いておくとよい』
「私もいいのですか!?」
「構わないよ。隠すようなことは何もない。君はネイスエルの姫なんだろう? 契約魔法について知っておいて損はないと思うよ」
「ありがとうございます!」
僕とクリスタは大龍穴を確認したあとで、契約魔法について教えてもらえることになった。
『それではエルデボロス。大龍穴の確認をするぞ』
「はい、ご案内します。その間、アルたちはレアンデルたちに土魔法について教えてあげてくれ」
「かしこまりました」
エルデボロス様はそういうと、ルシアと奥の方へと歩いて行った。
「主人からの指示ですので、土魔法についてレクチャーさせていただきます。私がアルです」
「カイです」
「イオです」
「ラムです」
「ミューです」
ズラッと目の前に並ぶアルさんたち。パッと見は人と似てるんだけど、瞬きや呼吸をしてないところが、人とは違うんだよね。
顔はみんな似た系統の美形なんだけど、中性的な顔立ちをしてる。性別とかないんだと思う。
「私たちはエルデ様の眷属ですから、全員、土魔法を得意としています。まずは私、アルが座学を行います」
土魔法の勉強会! すごく楽しみだな。隣のクリスタも嬉しそうな笑顔を浮かべてるよ。
「レアンデルは私の研究に興味があるようだね! よろしい! 私の研究内容を説明してあげよう!」
エルデボロス様が目を輝かせて話を始めようとした、その瞬間、
『待て。お主が研究について話し始めると一日が終わってしまう。我が説明する』
「それは残念です。レアンデルにじっくりと説明したかったのですが、仕方ありませんな」
エルデボロス様は残念そうにしてるけど、ルシアに止められるって分かってた感じだな。
『エルデボロスの最も重要な仕事は土の大龍穴の管理であるが、それ以外に研究者をやっておるのだ。
何にでも興味を持つやつだから、研究の幅は広いのだが、主たる研究としては錬金術だな』
「錬金術……?」
『名前の通りならば金を生み出す方法のことだが、エルデボロスが行っているのは、希少金属を生み出すことだな。先ほどのオリハルコンやお主が使っているミスリルなどを作り出す技術だ。エルデボロスは土龍の能力と研究の成果により、希少金属を作り出すことに成功したというわけだ』
「オリハルコンやミスリルを作ることができるなんてすごいや!」
「ハハハハッ! もっと褒めてくれて構わんぞ。私の研究の素晴らしさを理解してもらえるのはとても気持ちがよい!」
エルデボロス様が高笑いしているけど、本当にすごいことだよね。
『あまりエルデを褒めて調子に乗るのも困るが、一番すごいところは希少金属を生み出すことではないぞ』
「えっ? ほかにも何かあるの?」
ルシアがこんなに褒めるのも珍しい気がするな。
『エルデボロスの得意魔法は当然、土魔法だ。しかし、特筆すべきところは5体のゴーレムを眷属にしているところなのだ。
眷属とは自身の力を分け与えることで、自身に連なるものとして契約を結んだ者のことを言う。眷属にするためには契約魔法で"眷属化"をする必要があるのだが、莫大な魔力を必要とするため、龍族でも眷属化ができるのは五大属性龍クラスじゃないと無理なのだ。
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「そうなのだよ! 私が契約魔法を追求することで可能としたのだ! 龍族を眷属にすると気を遣うからね~。その点、私が生み出したゴーレムたちなら気が楽なのだよ」
そういう理由でゴーレムを眷属にしたのか。エルデボロス様は個性的な方だな。
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僕がエルデボロス様に尋ねると、目の前のルシアが口を開く。
『いや、お主は契約魔法を知っておるぞ。サンネイシス帝国で奴隷を見たであろう。奴隷魔法とは、正確に言えば契約魔法を使った奴隷化のことだ。
人間種に契約魔法を使いこなせるものは少ない。ほとんどは奴隷魔法として使える程度だ。本来の契約魔法は幅広く使えるもので、眷属化や奴隷化以外にも従魔化、召喚や誓約などがある』
「レアンデルが契約魔法に興味があるのなら教えてあげてもいいよ。簡単なものならすぐに覚えられるだろう。大龍穴を確認したあと時間があるのならね」
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僕はルシアの方を見る。
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「私もいいのですか!?」
「構わないよ。隠すようなことは何もない。君はネイスエルの姫なんだろう? 契約魔法について知っておいて損はないと思うよ」
「ありがとうございます!」
僕とクリスタは大龍穴を確認したあとで、契約魔法について教えてもらえることになった。
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