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第7章 土の大龍穴編
112 クリスタとログハウス
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「レン様は空も飛べるんですね!!」
僕が浮遊の訓練で空を飛んでいるのを見て、クリスタが目を輝かせて驚いていた。
「クリスタには秘密ってことで教えたけど、これも時空間魔法なんだ。風魔法も加えるとすごく速く飛べるんだよ」
「レン様は風魔法も使えるのですか!? 火魔法と水魔法は使えるとお聞きしていたのですが」
「風魔法も使えるよ。自分でマナを取り込める人は付与された加護以外の属性魔法も使えるのは知ってる?」
「はい。知識としては知っています」
「ルシアから教えてもらったんだけど、僕の場合は属性が時空間だからさ。練習さえすれば、全ての属性魔法を得意魔法のように使うことができるらしいんだ。元々、火の加護は付与されていたんだけど、旅の途中で風の加護と水の加護もいただいたから、その3つは使いやすいし、それぞれ使い方も習ったんだ。まだまだ上手にならないといけないけどさ」
「はぁ~、すごいですね……。私の周りで複数の属性魔法を高レベルで使える話を聞いたことがありません。一つの属性魔法を極めるのも大変ですから。ルシア様の存在にも驚きましたけど、レン様も遠い存在に思えてきます」
「いやいや! 龍族は特別な存在だけど、僕は普通の人族だよ。空の紋章を持っていて時空間魔法が使えるというのは珍しいと思うけど、魔力量が少ないからまだ使いこなせてもいないんだよ」
ルシアが僕とクリスタのやりとりを見てニヤリと笑っている。
『お主が人族だということは間違っていないが、普通ではないぞ。時空間魔法と全ての属性魔法を自在に使える空の紋章の所有者は人間界には一人だけ。お主も十分に特別な存在だと思うがな』
「一人だけ? 空の紋章を持ってる者は少ないとは聞いてたけど、他の国にも誰もいないわけ?」
『当たり前であろう。このような力を使える者が何人もいたら混乱を招くぞ。龍界にも我を含めて二人しかおらんのだからな』
そんなに少なかったんだね……。
『空の紋章と時空間魔法について女王やクリスタにも口止めはしておるが、いずれはバレる。この力を悪用しようと近づいてくるものは叩き潰せばよいが、いちいち相手にするのも面倒だろうから、対処方法は我が考えておくことにしよう。とりあえずはあまり目立たないようにした方がよいが、以前も言ったように危険が迫ったときには躊躇なく力を使え』
「分かった。ありがとう」
時空間魔法を使えることが公になって、変なトラブルに巻き込まれたり、問題にされたりすることもあるかもしれないよね。ルシアが対処方法を考えてくれるのならすごく助かる。
こんな会話を3人でしているときも目の前のクリスタはウォーターボールを浮かべて、色々な形に変化させる練習をしている。ルシアの課題の一つなんだろうな。僕が部屋の中でファイアーボールで遊んでたのと同じだ。あれっていい練習になってたんだな。
そして、僕たちはそれぞれの修行を夕方まで続けた。
クリスタの魔力操作を見ていたけど、障壁魔法を纏いながら、ウォーターボールの変化も割と上手に出来ていた。少し障壁魔法に気を取られているようだったから、もうちょっと慣れる必要があるだろうね。
僕たちの修行が終わると、今日はルシアのログハウスに泊まることになった。夕食もルシアが準備するそうだ。山の中に少し広い場所を見つけたルシアは、収納空間からログハウスを取り出して設置した。
「うわ~! とても素敵なログハウスですね! こんなものが空間から出てくるなんて、信じられない光景です」
初めて見たらビックリするよね。しかもテント代わりに使ってるルシアの感覚がおかしいもんね。
『レンもクリスタも中に入るぞ』
中に入ってからもクリスタは興奮したように室内を眺めて、広いダイニングルームにキッチン、それにお風呂があることに驚いてた。
「お風呂もあるなんてビックリしました! このような素敵なログハウスがあるのでしたら、野宿の心配も無いですし、町に泊まる必要もないですね!」
本当にそうなんだよな。修行の旅と言えば野宿のイメージなんだけど、ルシアといるとその心配が無いんだよね。
『ふむ。確かに我のこだわりのログハウスの居心地は良いが、美味しい料理を提供してくれる宿があれば、町に泊まるのも楽しみの一つだ。
寝る場所だが、ベッドは右側のものをクリスタが使うとよい。我とレンは左側に2段ベッドを用意する。我が上だぞ』
ルシアはベッドのところに行くと、左側に置いてあるベッドを収納空間に入れて、新たに取り出した2段ベッドを置いた。
ルシアはふわりと浮かんで上の段に敷いてあるマットを整えている。なるほど。浮遊の魔法ってこういうときにも便利に使えるんだな。
『我がこのあと食事を用意する間、二人は寛いでおるがよい』
ルシアが手際よく準備をしている間に、クリスタと話をしながらログハウスの中を見て回った。
「こんな快適な旅になるとは想像していませんでした。修行の旅とお聞きしていましたから、屋外で寝たり、寝ずの番をしたりするものかと。それにログハウスの中のテーブルや椅子なども良いものが置かれていますよね。とっても素敵です」
さすが王女様。家具などの目利きもできるようだ。
『フハハハッ! クリスタ、お主は物を見る目があるようだ! ここにあるものは我がこだわって集めたものばかりだ。遠慮せずに使うとよい!』
「ありがとうございます!」
ルシアがこだわりの品を褒められて満面の笑みを浮かべている。
クリスタは家具や調度品が好きみたいだな。ソファーや置き時計なんかを楽しそうに見ている。ルシアと気が合いそうでよかったよ。
僕が浮遊の訓練で空を飛んでいるのを見て、クリスタが目を輝かせて驚いていた。
「クリスタには秘密ってことで教えたけど、これも時空間魔法なんだ。風魔法も加えるとすごく速く飛べるんだよ」
「レン様は風魔法も使えるのですか!? 火魔法と水魔法は使えるとお聞きしていたのですが」
「風魔法も使えるよ。自分でマナを取り込める人は付与された加護以外の属性魔法も使えるのは知ってる?」
「はい。知識としては知っています」
「ルシアから教えてもらったんだけど、僕の場合は属性が時空間だからさ。練習さえすれば、全ての属性魔法を得意魔法のように使うことができるらしいんだ。元々、火の加護は付与されていたんだけど、旅の途中で風の加護と水の加護もいただいたから、その3つは使いやすいし、それぞれ使い方も習ったんだ。まだまだ上手にならないといけないけどさ」
「はぁ~、すごいですね……。私の周りで複数の属性魔法を高レベルで使える話を聞いたことがありません。一つの属性魔法を極めるのも大変ですから。ルシア様の存在にも驚きましたけど、レン様も遠い存在に思えてきます」
「いやいや! 龍族は特別な存在だけど、僕は普通の人族だよ。空の紋章を持っていて時空間魔法が使えるというのは珍しいと思うけど、魔力量が少ないからまだ使いこなせてもいないんだよ」
ルシアが僕とクリスタのやりとりを見てニヤリと笑っている。
『お主が人族だということは間違っていないが、普通ではないぞ。時空間魔法と全ての属性魔法を自在に使える空の紋章の所有者は人間界には一人だけ。お主も十分に特別な存在だと思うがな』
「一人だけ? 空の紋章を持ってる者は少ないとは聞いてたけど、他の国にも誰もいないわけ?」
『当たり前であろう。このような力を使える者が何人もいたら混乱を招くぞ。龍界にも我を含めて二人しかおらんのだからな』
そんなに少なかったんだね……。
『空の紋章と時空間魔法について女王やクリスタにも口止めはしておるが、いずれはバレる。この力を悪用しようと近づいてくるものは叩き潰せばよいが、いちいち相手にするのも面倒だろうから、対処方法は我が考えておくことにしよう。とりあえずはあまり目立たないようにした方がよいが、以前も言ったように危険が迫ったときには躊躇なく力を使え』
「分かった。ありがとう」
時空間魔法を使えることが公になって、変なトラブルに巻き込まれたり、問題にされたりすることもあるかもしれないよね。ルシアが対処方法を考えてくれるのならすごく助かる。
こんな会話を3人でしているときも目の前のクリスタはウォーターボールを浮かべて、色々な形に変化させる練習をしている。ルシアの課題の一つなんだろうな。僕が部屋の中でファイアーボールで遊んでたのと同じだ。あれっていい練習になってたんだな。
そして、僕たちはそれぞれの修行を夕方まで続けた。
クリスタの魔力操作を見ていたけど、障壁魔法を纏いながら、ウォーターボールの変化も割と上手に出来ていた。少し障壁魔法に気を取られているようだったから、もうちょっと慣れる必要があるだろうね。
僕たちの修行が終わると、今日はルシアのログハウスに泊まることになった。夕食もルシアが準備するそうだ。山の中に少し広い場所を見つけたルシアは、収納空間からログハウスを取り出して設置した。
「うわ~! とても素敵なログハウスですね! こんなものが空間から出てくるなんて、信じられない光景です」
初めて見たらビックリするよね。しかもテント代わりに使ってるルシアの感覚がおかしいもんね。
『レンもクリスタも中に入るぞ』
中に入ってからもクリスタは興奮したように室内を眺めて、広いダイニングルームにキッチン、それにお風呂があることに驚いてた。
「お風呂もあるなんてビックリしました! このような素敵なログハウスがあるのでしたら、野宿の心配も無いですし、町に泊まる必要もないですね!」
本当にそうなんだよな。修行の旅と言えば野宿のイメージなんだけど、ルシアといるとその心配が無いんだよね。
『ふむ。確かに我のこだわりのログハウスの居心地は良いが、美味しい料理を提供してくれる宿があれば、町に泊まるのも楽しみの一つだ。
寝る場所だが、ベッドは右側のものをクリスタが使うとよい。我とレンは左側に2段ベッドを用意する。我が上だぞ』
ルシアはベッドのところに行くと、左側に置いてあるベッドを収納空間に入れて、新たに取り出した2段ベッドを置いた。
ルシアはふわりと浮かんで上の段に敷いてあるマットを整えている。なるほど。浮遊の魔法ってこういうときにも便利に使えるんだな。
『我がこのあと食事を用意する間、二人は寛いでおるがよい』
ルシアが手際よく準備をしている間に、クリスタと話をしながらログハウスの中を見て回った。
「こんな快適な旅になるとは想像していませんでした。修行の旅とお聞きしていましたから、屋外で寝たり、寝ずの番をしたりするものかと。それにログハウスの中のテーブルや椅子なども良いものが置かれていますよね。とっても素敵です」
さすが王女様。家具などの目利きもできるようだ。
『フハハハッ! クリスタ、お主は物を見る目があるようだ! ここにあるものは我がこだわって集めたものばかりだ。遠慮せずに使うとよい!』
「ありがとうございます!」
ルシアがこだわりの品を褒められて満面の笑みを浮かべている。
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