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第5章 ネイスエル女王国編
88 南部の町スールフリール
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美味しい食事を堪能しながら、たくさんの話をして、クリスタ王女が作ったという締めのデザートを食べて大満足の食事会だった。
僕たちが泊まれるようにゲストルームを2つ用意してくれていた。今はルシアの部屋で2人で話している。
クリスタ王女は人魚姫の愛称でネイスエルの国民から慕われている女王の後継者らしい。
年齢は16歳。女王譲りのブロンドの髪と、綺麗だけど可愛らしさが残る整った顔立ち。抜群のプロポーションと漂う気品。王女じゃなかったとしても人気があると思うよ。
しかも魔力も豊富で、武術の腕前も立つらしい。なので女王になるためにあとは料理の修行なんだって。
宰相のベルス様は王宮の貴族を一手にまとめあげる剛腕を振るう強さと、国を豊かに発展させる政治力をあわせもった有能な人物であると女王様がべた褒めしていた。
そして楽しい食事のときには相応しくないということであまり具体的な話はなかったけど、王宮は女王様の派閥とエレノア女王の夫であるシメオン公の派閥があるらしい。
そうだよね。クリスタ王女がいるんだから、女王様には夫がいるんだよね。
それにしても派閥か。父上も大変そうな話をしてたよな。どこの国も同じなんだろうな。
「ルシア。ネイスエル滞在中の予定が決まって良かったね」
食事中に女王様から僕たちの予定を聞かれたんだけど、明日と明後日はルシアと2人でネイスエルのグルメ探し。3日目はまた王宮でごちそうしてくれるそうだ。
クリスタ王女が料理をメインで作る食事会だ。ルシアが今日のデザートの完成度の高さに満足して、そういう話になった。
『女王の料理の腕前はそこらの料理人では敵わないレベルだ。その指導を受けている王女の料理も楽しみだな』
ルシアは女王様の料理が美味しかったと何度も褒めていた。確かにあれだけのものを作れる一国の主なんて他にはいないと思う。
『明日はネイスエル南部の町、スールフリールに行くぞ。宰相から聞いたのだが、そこにある天ぷらのお店が最高に美味しいらしい。午前中はせっかく水魔法を覚えたのだからその練習をして、午後からは天ぷら三昧だ』
「分かったよ。それじゃ予定も決まったし僕も部屋に戻って寝るね」
それから僕は部屋に戻った。寝る前に水魔法のウォーターボールを30個作って部屋に浮かべてみる。
「殺傷能力が高い魔法じゃないけど、一応、攻撃にも使えるし、消火活動にも使えるな。何と言っても部屋で魔力を放出して練習するのに最適だよ。ファイアーボールと違って安全に練習できるね」
僕はしばらくの間、ウォーターボールで魔力操作の練習をしてからベッドにはいった。
『それではスールフリールの近くの海に転移するぞ』
ルシアと南部の町スールフリールのすぐ側にある海岸にやってきた。今から海中で修行をして、午後はスールフリールで天ぷらを満喫する予定だ。
『我はこの近くで出店などを回ってくる。その間、お主は海中で魔物討伐の訓練だ。浮遊と水魔法を試して来るとよい』
少し遠くの方を見てみるといくつかの出店が並んでる。あれが目に入ったから出店に行こうと思ったのかな。それとも最初から出店がある海岸に来たのかも知れないけどね。
「それじゃ、僕は3時間ぐらい潜ってくるよ。そのあと出店の方に行くね」
『頑張って来い』
もうルシアは僕じゃなくて出店の方を見てるけど、気にしないでおこう。
それから3時間ほど魔物と戦ったり、浮遊と水魔法で移動の練習をしたり、色々なことを試してみた。
分かったことは、水中での水魔法はものすごく便利! 移動が速くなったから魔物と戦うのも楽だし、ウォーターランスやウォーターカッターを使うと効率的に水棲魔物を仕留められる。アクアや眷属のみんなには本当に感謝だね。
修行のあとはルシアと出店で合流。イカ焼きを食べたけどすごく美味しかった! 新鮮なイカをほんのりと塩と醤油だけで味付けしてあるのが、すごく素朴で良かったよ。
ちょうどお昼どきになったので、僕たちはスールフリールに移動した。
到着すると王都のクラルマイヤとは雰囲気が全然違って、木造の建物が多く建てられているのが特徴的な街並みだ。
「久しぶりにたくさんの木造の建物を見たよ。王都のウェリスヴィルが懐しくなるね」
ウェスタール王国は木造の建物が主流だけど、サンネイシス帝国やネイスエル女王国の王都クラルマイヤはほとんどが石造りの建物だったから、僕には随分と懐かしい光景に感じた。
『木造建築の趣きが映える街だな。宰相は天海屋という天ぷら専門店がおすすめと言っておった。そこに行ってみよう』
近くにいた人にお店の場所を尋ねたらすぐに教えてくれた。すごく有名なお店みたい。
「ここだね。でも、すごい行列だよ」
着いたお店は古民家風で、横にある広い庭の景観が素晴らしいお店だった。
『どれだけ並んでも食べるとしよう。すぐに並ばねば』
ルシアがダッシュで列の最後尾に並ぶ。食が絡むと即断、即決、即行動だよ。
僕もルシアを追いかけて列に並ぼうとしたそのとき、
「ルシア様とレン様ですね。お待ちしておりました。予約を承っております。こちらへどうぞ」
職人のような格好をした魚人の男性がルシアと僕に声をかけてきた。予約なんてしてないけどな。
その男性に半ば強引に案内されて、僕たちは天海屋の裏口へ通された。
僕たちが泊まれるようにゲストルームを2つ用意してくれていた。今はルシアの部屋で2人で話している。
クリスタ王女は人魚姫の愛称でネイスエルの国民から慕われている女王の後継者らしい。
年齢は16歳。女王譲りのブロンドの髪と、綺麗だけど可愛らしさが残る整った顔立ち。抜群のプロポーションと漂う気品。王女じゃなかったとしても人気があると思うよ。
しかも魔力も豊富で、武術の腕前も立つらしい。なので女王になるためにあとは料理の修行なんだって。
宰相のベルス様は王宮の貴族を一手にまとめあげる剛腕を振るう強さと、国を豊かに発展させる政治力をあわせもった有能な人物であると女王様がべた褒めしていた。
そして楽しい食事のときには相応しくないということであまり具体的な話はなかったけど、王宮は女王様の派閥とエレノア女王の夫であるシメオン公の派閥があるらしい。
そうだよね。クリスタ王女がいるんだから、女王様には夫がいるんだよね。
それにしても派閥か。父上も大変そうな話をしてたよな。どこの国も同じなんだろうな。
「ルシア。ネイスエル滞在中の予定が決まって良かったね」
食事中に女王様から僕たちの予定を聞かれたんだけど、明日と明後日はルシアと2人でネイスエルのグルメ探し。3日目はまた王宮でごちそうしてくれるそうだ。
クリスタ王女が料理をメインで作る食事会だ。ルシアが今日のデザートの完成度の高さに満足して、そういう話になった。
『女王の料理の腕前はそこらの料理人では敵わないレベルだ。その指導を受けている王女の料理も楽しみだな』
ルシアは女王様の料理が美味しかったと何度も褒めていた。確かにあれだけのものを作れる一国の主なんて他にはいないと思う。
『明日はネイスエル南部の町、スールフリールに行くぞ。宰相から聞いたのだが、そこにある天ぷらのお店が最高に美味しいらしい。午前中はせっかく水魔法を覚えたのだからその練習をして、午後からは天ぷら三昧だ』
「分かったよ。それじゃ予定も決まったし僕も部屋に戻って寝るね」
それから僕は部屋に戻った。寝る前に水魔法のウォーターボールを30個作って部屋に浮かべてみる。
「殺傷能力が高い魔法じゃないけど、一応、攻撃にも使えるし、消火活動にも使えるな。何と言っても部屋で魔力を放出して練習するのに最適だよ。ファイアーボールと違って安全に練習できるね」
僕はしばらくの間、ウォーターボールで魔力操作の練習をしてからベッドにはいった。
『それではスールフリールの近くの海に転移するぞ』
ルシアと南部の町スールフリールのすぐ側にある海岸にやってきた。今から海中で修行をして、午後はスールフリールで天ぷらを満喫する予定だ。
『我はこの近くで出店などを回ってくる。その間、お主は海中で魔物討伐の訓練だ。浮遊と水魔法を試して来るとよい』
少し遠くの方を見てみるといくつかの出店が並んでる。あれが目に入ったから出店に行こうと思ったのかな。それとも最初から出店がある海岸に来たのかも知れないけどね。
「それじゃ、僕は3時間ぐらい潜ってくるよ。そのあと出店の方に行くね」
『頑張って来い』
もうルシアは僕じゃなくて出店の方を見てるけど、気にしないでおこう。
それから3時間ほど魔物と戦ったり、浮遊と水魔法で移動の練習をしたり、色々なことを試してみた。
分かったことは、水中での水魔法はものすごく便利! 移動が速くなったから魔物と戦うのも楽だし、ウォーターランスやウォーターカッターを使うと効率的に水棲魔物を仕留められる。アクアや眷属のみんなには本当に感謝だね。
修行のあとはルシアと出店で合流。イカ焼きを食べたけどすごく美味しかった! 新鮮なイカをほんのりと塩と醤油だけで味付けしてあるのが、すごく素朴で良かったよ。
ちょうどお昼どきになったので、僕たちはスールフリールに移動した。
到着すると王都のクラルマイヤとは雰囲気が全然違って、木造の建物が多く建てられているのが特徴的な街並みだ。
「久しぶりにたくさんの木造の建物を見たよ。王都のウェリスヴィルが懐しくなるね」
ウェスタール王国は木造の建物が主流だけど、サンネイシス帝国やネイスエル女王国の王都クラルマイヤはほとんどが石造りの建物だったから、僕には随分と懐かしい光景に感じた。
『木造建築の趣きが映える街だな。宰相は天海屋という天ぷら専門店がおすすめと言っておった。そこに行ってみよう』
近くにいた人にお店の場所を尋ねたらすぐに教えてくれた。すごく有名なお店みたい。
「ここだね。でも、すごい行列だよ」
着いたお店は古民家風で、横にある広い庭の景観が素晴らしいお店だった。
『どれだけ並んでも食べるとしよう。すぐに並ばねば』
ルシアがダッシュで列の最後尾に並ぶ。食が絡むと即断、即決、即行動だよ。
僕もルシアを追いかけて列に並ぼうとしたそのとき、
「ルシア様とレン様ですね。お待ちしておりました。予約を承っております。こちらへどうぞ」
職人のような格好をした魚人の男性がルシアと僕に声をかけてきた。予約なんてしてないけどな。
その男性に半ば強引に案内されて、僕たちは天海屋の裏口へ通された。
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