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第5章 ネイスエル女王国編
86 怒りのアクア様
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怒りのアクア様が僕を睨んでる。それはそうだよね。ルシアに会えないと言われた理由が僕のせいなんだから。……でも、ルシアも他の説明の仕方はなかったのか? 全ての怒りが僕に向かってきてますけど。
「ルシア様!! こいつが……レンがここに来られるのならば3日経ったあとに会いに来ていただけるのでしょうか!」
アクア様が鬼気迫る勢いでルシアに尋ねている。
『そうだな。それなら土の大龍穴に出発する前に一度立ち寄っても構わんぞ』
無言で考え込むアクア様。何だ? すごい威圧感を感じますけど?
「レン! あなたに水の加護をあげるわ! そうしたら魔道具が無くてもここに来れるようになるわよ!」
え~っ! 水の加護をもらっていいんですか? というかあげたく無いけど仕方なくって感じですよね。
「その代わり条件があるわ」
「条件ですか?」
「そうよ。水の加護をあげる条件は……私のことをアクアと呼んで、ルシア様と同じように気安く接することよ!」
「えっ……それが条件……ですか?」
「あなたね。ルシア様のことは呼び捨てにして気安く接しておいて、私のことはアクア様と敬って接して来られてもルシア様の前で居心地が悪いのよ!」
「そういうものですか?」
「そういうものよっ! 大体あなたはこのままルシア様に指導をしてもらえるのならいずれ私たちの強さに並ぶ……いや、超えていってもおかしくない存在なのよ! そんな人から敬われても後々恥ずかしいだけよ! そんな特別なあなただからこそ、ルシア様も気安い関係を認めていらっしゃるのでしょうし!」
僕が龍族の……水龍様たちより強くなる? 全然実感が無いんですけど……。
「あなたの謙虚さは良いところで、美徳とも言えるけど、謙虚も過ぎると嫌味に感じたり、見くびられたりするものよ。あなたはそういったバランスも考えながら行動することを覚えないといけないわ」
『ふむ。アクアも良いアドバイスをしてくれるな。感謝するぞ』
「いえ……お褒めいただけるなんて……幸せでございます」
アクア様の落差がすごいな。ルシアの前では恥じらう乙女だね。
『レンよ。お主の謙虚さは努力する姿勢にも繋がっていて素晴らしいところだ。しかしアクアが言うことにも一理ある。お主自身は理解しておらぬかも知れんが、現時点でも人族の中ではトップクラスに強くなっているのだ。その自覚を持つことは大事なことだ。下手な態度を取ると相手に恥をかかせたり、敵に回すこともあるかも知れん。
謙虚さを無くせと言っておるわけではないぞ。実力を過信してはならないし、傲慢にふるまう必要も無い。アクアが言ったようにバランスを考えることだな』
バランスか。難しいけど、とにかく意識するようにしておこう。
「それで、返事はどうなのかしら? 水の加護を付与する条件は飲むの?」
アクア様がこちらを見て尋ねてくる。
「もちろんです。よろしくお願いします」
「分かったわ。それなら今から水の加護を与えるから左手を出してちょうだい」
僕はそっと左手を差し出すと、アクア様が両手で僕の左手を上と下から挟んで魔力を流す。
「いい? このまま水の加護を与えるわ。それが終わったら態度を改めなさいよ。それが条件なんだからね」
「はい。きちんと切り替えます」
アクア様の魔力が僕の全身を循環する。柔らかさを感じる魔力だな。
アクア様が両手を離すと空の紋章の右下のところに小さな水の紋章が浮かんでいる。左上に風の紋章、左下に火の紋章。こんなに加護をいただけるなんて本当にすごいことだ。
「これでOKよ。水の中では自由に行動できるし、水魔法も使いやすくなるわよ。治癒魔法と組み合わせれば欠損も治せるようになってるわ」
なんと! ウェンディさんに練習が必要と言われた欠損の治癒もできるようになってるのか。あらためて加護の力ってすごいよな。
「どうしたのよ。何か言いなさいよ」
僕が水の紋章を見つめていると、アクア様がこちらを見ながら話かけてくる。うん。切り替えて話さないとね。
「これで水中での戦いがスムーズになるし、治癒魔法もものすごく強化された。本当にありがとう、アクア」
「な、な、なによ。当然じゃないのよ。私の加護を与えたんだからしっかり活用しなさいよね!」
アクアの顔が赤くなってる。僕もまだ呼びなれてなくて恥ずかしいんだから、その恥ずかしそうな反応は止めてよね……。
「そ、それと! 私をアクアと呼ぶんだから、ウェンディたちのことも同じように呼びなさいよ。ウェンディたちも分かってるわね」
「もちろんです。アクア様のおっしゃる通りの対応をお願いしますね、レン様?」
「分かったよ。元々普通に話してたからアクアと呼ぶのよりは気が楽かも。ウェンディ、シンシア、リアナ、カレン、色々と教えてくれてありがとう!」
「「はい!」」
『フハハハッ! それではレンの問題は解決したな。3日間、ネイスエルでグルメを満喫したらあらためて寄らせてもらうとしよう。感謝するぞ、アクアと眷属たちよ』
ルシアが感謝の言葉を述べると、アクアとウェンディたちは微笑みながらルシアに頭を下げる。
僕もひとまずみんなに別れを告げて、ルシアと一緒に王宮へと泳いで行った。
「ルシア様!! こいつが……レンがここに来られるのならば3日経ったあとに会いに来ていただけるのでしょうか!」
アクア様が鬼気迫る勢いでルシアに尋ねている。
『そうだな。それなら土の大龍穴に出発する前に一度立ち寄っても構わんぞ』
無言で考え込むアクア様。何だ? すごい威圧感を感じますけど?
「レン! あなたに水の加護をあげるわ! そうしたら魔道具が無くてもここに来れるようになるわよ!」
え~っ! 水の加護をもらっていいんですか? というかあげたく無いけど仕方なくって感じですよね。
「その代わり条件があるわ」
「条件ですか?」
「そうよ。水の加護をあげる条件は……私のことをアクアと呼んで、ルシア様と同じように気安く接することよ!」
「えっ……それが条件……ですか?」
「あなたね。ルシア様のことは呼び捨てにして気安く接しておいて、私のことはアクア様と敬って接して来られてもルシア様の前で居心地が悪いのよ!」
「そういうものですか?」
「そういうものよっ! 大体あなたはこのままルシア様に指導をしてもらえるのならいずれ私たちの強さに並ぶ……いや、超えていってもおかしくない存在なのよ! そんな人から敬われても後々恥ずかしいだけよ! そんな特別なあなただからこそ、ルシア様も気安い関係を認めていらっしゃるのでしょうし!」
僕が龍族の……水龍様たちより強くなる? 全然実感が無いんですけど……。
「あなたの謙虚さは良いところで、美徳とも言えるけど、謙虚も過ぎると嫌味に感じたり、見くびられたりするものよ。あなたはそういったバランスも考えながら行動することを覚えないといけないわ」
『ふむ。アクアも良いアドバイスをしてくれるな。感謝するぞ』
「いえ……お褒めいただけるなんて……幸せでございます」
アクア様の落差がすごいな。ルシアの前では恥じらう乙女だね。
『レンよ。お主の謙虚さは努力する姿勢にも繋がっていて素晴らしいところだ。しかしアクアが言うことにも一理ある。お主自身は理解しておらぬかも知れんが、現時点でも人族の中ではトップクラスに強くなっているのだ。その自覚を持つことは大事なことだ。下手な態度を取ると相手に恥をかかせたり、敵に回すこともあるかも知れん。
謙虚さを無くせと言っておるわけではないぞ。実力を過信してはならないし、傲慢にふるまう必要も無い。アクアが言ったようにバランスを考えることだな』
バランスか。難しいけど、とにかく意識するようにしておこう。
「それで、返事はどうなのかしら? 水の加護を付与する条件は飲むの?」
アクア様がこちらを見て尋ねてくる。
「もちろんです。よろしくお願いします」
「分かったわ。それなら今から水の加護を与えるから左手を出してちょうだい」
僕はそっと左手を差し出すと、アクア様が両手で僕の左手を上と下から挟んで魔力を流す。
「いい? このまま水の加護を与えるわ。それが終わったら態度を改めなさいよ。それが条件なんだからね」
「はい。きちんと切り替えます」
アクア様の魔力が僕の全身を循環する。柔らかさを感じる魔力だな。
アクア様が両手を離すと空の紋章の右下のところに小さな水の紋章が浮かんでいる。左上に風の紋章、左下に火の紋章。こんなに加護をいただけるなんて本当にすごいことだ。
「これでOKよ。水の中では自由に行動できるし、水魔法も使いやすくなるわよ。治癒魔法と組み合わせれば欠損も治せるようになってるわ」
なんと! ウェンディさんに練習が必要と言われた欠損の治癒もできるようになってるのか。あらためて加護の力ってすごいよな。
「どうしたのよ。何か言いなさいよ」
僕が水の紋章を見つめていると、アクア様がこちらを見ながら話かけてくる。うん。切り替えて話さないとね。
「これで水中での戦いがスムーズになるし、治癒魔法もものすごく強化された。本当にありがとう、アクア」
「な、な、なによ。当然じゃないのよ。私の加護を与えたんだからしっかり活用しなさいよね!」
アクアの顔が赤くなってる。僕もまだ呼びなれてなくて恥ずかしいんだから、その恥ずかしそうな反応は止めてよね……。
「そ、それと! 私をアクアと呼ぶんだから、ウェンディたちのことも同じように呼びなさいよ。ウェンディたちも分かってるわね」
「もちろんです。アクア様のおっしゃる通りの対応をお願いしますね、レン様?」
「分かったよ。元々普通に話してたからアクアと呼ぶのよりは気が楽かも。ウェンディ、シンシア、リアナ、カレン、色々と教えてくれてありがとう!」
「「はい!」」
『フハハハッ! それではレンの問題は解決したな。3日間、ネイスエルでグルメを満喫したらあらためて寄らせてもらうとしよう。感謝するぞ、アクアと眷属たちよ』
ルシアが感謝の言葉を述べると、アクアとウェンディたちは微笑みながらルシアに頭を下げる。
僕もひとまずみんなに別れを告げて、ルシアと一緒に王宮へと泳いで行った。
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