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第5章 ネイスエル女王国編
74 水中での実戦訓練①
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『浮遊を使えるようになってきたな。昼食休憩のあとは魔物との実戦訓練をするぞ』
僕は数時間、浮遊の魔法を使ってみて大分コツを掴むことができた。
重力を強めて、浮力を弱めると猛スピードで沈むことができるし、前に進みたいときは後ろに魔力を放出する感覚で進める。浮いたり沈んだり、前後左右にも自在に移動できるようになってきた。
ルシアの転移で陸上に移動して、収納空間からサンドイッチと紅茶を取り出して軽く昼食を済ませ、再度、海の中に戻った。
『ここから少し沖の方へ行くと、魔物がいる。そこで実戦訓練にしよう』
「確かに探知魔法に映ってるね。5体で移動中のようだ」
探知魔法のレーダーには1kmほど先のところに丸い点が5つ映っていた。移動しているみたいだから、横から奇襲をかけられるように進むことにしよう。
「あれって、クラゲの魔物かな」
白っぽくて半透明なでっかいクラゲの姿をした5体の魔物が見えてきた。身体だけで2mはありそうだな。
触手のところに魔力が多く流れてる。毒の攻撃とかしてきそうだ。
『我はここで見ておるから戦ってくるがよい』
「了解。行ってくるよ」
僕はクラゲの魔物が移動している側面から近づき、まず一体にミスリルの剣で斬りつけた。
うん。スパッと斬れたね。剣にはそんなに魔力を流してないのに、ほとんど抵抗もなく斬れた。体の半分ぐらいを斬ったけど、まだ魔物には魔力が流れてる。これぐらいじゃ致命傷ではないようだ。
僕は浮遊で移動して、全身バラバラになるように斬り刻んだ。よし。魔力の流れも見えなくなったから、一体は討伐完了。
そうすると僕の攻撃に気づいた他の4体が臨戦態勢に入る。その中で一番近いクラゲが僕に近づいてくる。スピードは遅いね。普通のクラゲよりは速いんだろうけど、随分とゆっくりに感じ……
「危なっ!!」
僕は魔力を前に放出して、猛スピードで後ろに下がる。
「触手の攻撃がめちゃくちゃ速いじゃん! ゆっくりとした動きに騙された!」
クラゲは細い触手を矢のようなスピードで僕に伸ばしてきた。触手には結構な魔力が込められてたから、普段の6割程度の障壁魔法しか使えない今の状況では怖いよね。
『フッ。油断大敵だな』
ルシアに笑われてしまった。本当、僕の油断だ。反省しないと。
気を引き締めて、クラゲに接近して身体を斬り裂く。ふ~。問題無く倒して残りは3体。少し距離をとって魔法を試してみようかな。
まずは魔力を丸い形に放出して、ファイアーボールを出してみよう。
なるほどね。ファイアーボールは作れるけど、水の中だから飛ばす前に消えてしまうね。やっぱり水の中で火魔法は厳しいな。
それなら次は風魔法のウィンドカッターを飛ばしてみよう。
結果から言うと、火魔法みたいにすぐに消えることはなかったけど、陸上で飛ばすみたいには行かないね。もう少し接近してから攻撃すると効果がありそうだな。
そういうわけで近づいてからのウィンドカッター! おお、見事に切り裂いた。1体倒せたけど、こんなに近づくのなら剣で斬りかかるのと余り変わらないかな。
さて残りは2体。あの魔法も試しておくことにしよう。2体に複数の小さなマーキングをして、次元断! よし成功! これで全ての討伐が完了だ。
『無事に魔物は倒せたな。途中で敵のスピードに驚いていたが、浮遊で上手く躱せたのはよかった。しかし戦闘中の油断は禁物だぞ。あとは色々と魔法を試していたが、どう感じた?』
「水の中だと火魔法は使えないかな。風魔法はまだ使えるけど、陸上のようにはいかないね。時空間魔法は全く問題なし。でも魔力を多く使うから、あの程度の魔物なら剣で戦うのが一番いいかな」
『ふむ。まあ、その通りだ。水中で使う攻撃魔法はやはり水魔法が一番使いやすい。時空間魔法は万能だが、消費魔力が大きいからな。
火魔法も敵の身体に密着するほどの距離で発動すれば使えないことはないがな。もしくは水を蒸発させるほどの威力を出せばよいが、そうするぐらいなら風魔法の方がよいだろう。剣を主に戦い、風魔法と時空間魔法で補うのが基本だな』
「大体僕のイメージと同じだね。水中なのに剣で戦えるだけでもありがたいよ」
ナディア様の魔道具が無かったら、そもそも水の中で自由に動くことすらできないんだもんな。
『このまま色んなタイプの魔物と戦ってみよ。探知魔法で広範囲を探ってみたがクイーンサンドワームのような特殊個体はおらんから、お主が油断でもしない限りピンチになることはあるまい。しっかりと素材と魔石も回収するのだぞ』
そうだ。クラゲの魔物の素材と魔石を回収しないと。クラゲの素材が売れるか分かんないけど。
『水中でしっかりと浮遊を身につけたなら、陸上でもすぐに使えるようになるだろう』
「浮遊を陸上で……」
『そうだ。空を飛べるようになるということだ。これで空中の魔物とも戦えるぞ』
そうか! ナディア様の島も浮遊で浮かんでるんだから、僕が浮遊を使えるということは、飛べるようになるということか!
ルシアの話を聞いた僕は興奮した気持ちを抑えられないぐらいテンションが上がっていた。
僕は数時間、浮遊の魔法を使ってみて大分コツを掴むことができた。
重力を強めて、浮力を弱めると猛スピードで沈むことができるし、前に進みたいときは後ろに魔力を放出する感覚で進める。浮いたり沈んだり、前後左右にも自在に移動できるようになってきた。
ルシアの転移で陸上に移動して、収納空間からサンドイッチと紅茶を取り出して軽く昼食を済ませ、再度、海の中に戻った。
『ここから少し沖の方へ行くと、魔物がいる。そこで実戦訓練にしよう』
「確かに探知魔法に映ってるね。5体で移動中のようだ」
探知魔法のレーダーには1kmほど先のところに丸い点が5つ映っていた。移動しているみたいだから、横から奇襲をかけられるように進むことにしよう。
「あれって、クラゲの魔物かな」
白っぽくて半透明なでっかいクラゲの姿をした5体の魔物が見えてきた。身体だけで2mはありそうだな。
触手のところに魔力が多く流れてる。毒の攻撃とかしてきそうだ。
『我はここで見ておるから戦ってくるがよい』
「了解。行ってくるよ」
僕はクラゲの魔物が移動している側面から近づき、まず一体にミスリルの剣で斬りつけた。
うん。スパッと斬れたね。剣にはそんなに魔力を流してないのに、ほとんど抵抗もなく斬れた。体の半分ぐらいを斬ったけど、まだ魔物には魔力が流れてる。これぐらいじゃ致命傷ではないようだ。
僕は浮遊で移動して、全身バラバラになるように斬り刻んだ。よし。魔力の流れも見えなくなったから、一体は討伐完了。
そうすると僕の攻撃に気づいた他の4体が臨戦態勢に入る。その中で一番近いクラゲが僕に近づいてくる。スピードは遅いね。普通のクラゲよりは速いんだろうけど、随分とゆっくりに感じ……
「危なっ!!」
僕は魔力を前に放出して、猛スピードで後ろに下がる。
「触手の攻撃がめちゃくちゃ速いじゃん! ゆっくりとした動きに騙された!」
クラゲは細い触手を矢のようなスピードで僕に伸ばしてきた。触手には結構な魔力が込められてたから、普段の6割程度の障壁魔法しか使えない今の状況では怖いよね。
『フッ。油断大敵だな』
ルシアに笑われてしまった。本当、僕の油断だ。反省しないと。
気を引き締めて、クラゲに接近して身体を斬り裂く。ふ~。問題無く倒して残りは3体。少し距離をとって魔法を試してみようかな。
まずは魔力を丸い形に放出して、ファイアーボールを出してみよう。
なるほどね。ファイアーボールは作れるけど、水の中だから飛ばす前に消えてしまうね。やっぱり水の中で火魔法は厳しいな。
それなら次は風魔法のウィンドカッターを飛ばしてみよう。
結果から言うと、火魔法みたいにすぐに消えることはなかったけど、陸上で飛ばすみたいには行かないね。もう少し接近してから攻撃すると効果がありそうだな。
そういうわけで近づいてからのウィンドカッター! おお、見事に切り裂いた。1体倒せたけど、こんなに近づくのなら剣で斬りかかるのと余り変わらないかな。
さて残りは2体。あの魔法も試しておくことにしよう。2体に複数の小さなマーキングをして、次元断! よし成功! これで全ての討伐が完了だ。
『無事に魔物は倒せたな。途中で敵のスピードに驚いていたが、浮遊で上手く躱せたのはよかった。しかし戦闘中の油断は禁物だぞ。あとは色々と魔法を試していたが、どう感じた?』
「水の中だと火魔法は使えないかな。風魔法はまだ使えるけど、陸上のようにはいかないね。時空間魔法は全く問題なし。でも魔力を多く使うから、あの程度の魔物なら剣で戦うのが一番いいかな」
『ふむ。まあ、その通りだ。水中で使う攻撃魔法はやはり水魔法が一番使いやすい。時空間魔法は万能だが、消費魔力が大きいからな。
火魔法も敵の身体に密着するほどの距離で発動すれば使えないことはないがな。もしくは水を蒸発させるほどの威力を出せばよいが、そうするぐらいなら風魔法の方がよいだろう。剣を主に戦い、風魔法と時空間魔法で補うのが基本だな』
「大体僕のイメージと同じだね。水中なのに剣で戦えるだけでもありがたいよ」
ナディア様の魔道具が無かったら、そもそも水の中で自由に動くことすらできないんだもんな。
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そうだ。クラゲの魔物の素材と魔石を回収しないと。クラゲの素材が売れるか分かんないけど。
『水中でしっかりと浮遊を身につけたなら、陸上でもすぐに使えるようになるだろう』
「浮遊を陸上で……」
『そうだ。空を飛べるようになるということだ。これで空中の魔物とも戦えるぞ』
そうか! ナディア様の島も浮遊で浮かんでるんだから、僕が浮遊を使えるということは、飛べるようになるということか!
ルシアの話を聞いた僕は興奮した気持ちを抑えられないぐらいテンションが上がっていた。
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