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第4章 帝都アウシルバード編
61 古酒を酌み交わす
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「フライヤ殿、久しぶりですな! 私もさらに修行を積んで腕を上げましたぞ。是非、お手合わせをお願いしたい!」
「は~。お前も相変わらずだな。まずはレオーネと勝負ができるようになってから挑んできたらどうだ?」
「皇帝陛下は忙しいのですぞ。それに陛下のレベルに達していないことは承知の上で、フライヤ殿に稽古をつけてもらいたいのです」
「分かった、分かった。久しぶりに会ったことだし、今日は無理だが、明日ならいいぞ」
「本当ですか!? それはありがたい! 明日が楽しみですな!!」
「それよりも、美味しい酒を手に入れたと聞いたが、その右手に持っているものなんじゃないか?」
「そうでした! これは大陸の東にある村で、100年以上寝かせていたお酒を発見したのです。試飲をしたところ極上の味わいでした。是非、ヴァン様やフライヤ殿と一緒に飲みたいと思いましてな」
「それは素晴らしいな! 古酒の味わいはまた格別だ。すぐに一杯やろう!」
部屋にゆっくりと入ってきた男性とフライヤが怒涛のような会話を繰り広げていて、僕たちは置いてけぼりな感じなんだけど……とりあえず、挨拶をさせてもらおう。
「フライヤ、そちらの方にご挨拶をさせてもらえないかな」
「おお、すまんな。勝手に盛り上がってしまっていた。こちらはサンネイシス帝国の近衛隊長であるロンジン殿だ」
「ロンジン殿……え~っ!? あの皇位継承の話に出てきたレオーネ皇帝と争ったという……」
「ハハハハハッ! 随分懐かしい話ですな! 今は皇帝直属の近衛隊の隊長をしているロンジンです。どうぞお見知りおきを」
あの話に出てきた高圧的なロンジン元皇太子と同じ人なのか?? ものすごく丁寧な人なんですけど? いかんいかん挨拶をしなければ。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。私はウェスタール王国から来ました、レアンデル=アリウスと申します。ボレアザントでハンター登録をしまして、今はレンと名乗っています」
僕が簡単に挨拶をするとレオーネ皇帝がロンジン隊長に説明を加えた。
「ロンジン、先ほど話を聞いたのだが、レンは火魔法の名手であるランバート=アリウス殿の子息だ。そしてそこにおられるルシア殿はヴァン様とフライヤが尊敬する龍族のお方。どうだ? ルシア殿は当然として、そっちのレンも中々のものであろう」
「ほう! アリウス家の子息ですか! 只者ではない強さが感じられるのも納得ですな。ルシア殿に至っては強さが読めずに恐ろしいほどです。お二人とも私も食事をご一緒してよろしいですかな?」
『もちろんだ。我々はフライヤに案内されただけであるからな。何人参加しようと構わんぞ』
「それはよかった。それでは早速、手に入れた古酒を召し上がってくだされ」
ロンジン隊長が4人分のお酒を手際よく準備して、僕の分は帝国で人気の柑橘系ドリンクを用意してくれたので、とりあえずみんなでいただくことにした。
「ロンジン! これは美味いな!! ルシア様もどんどん飲みましょう!」
フライヤがものすごく上機嫌になってる。本当にお酒が好きなんだな。ルシアも満足そうに飲んでるから、よっぽど美味しいんだろう。僕のドリンクもほどよい甘みと酸味でとても美味しい!
それからは食事の段取りに行ったアイラさんが戻ってきて、何人ものメイドのような人たちが次から次に食事を運んできた。フライヤが言うとおりでどれもこれもすっごく美味しい! ルシアの前に置かれた料理やお酒がびっくりするようなハイペースで無くなっていくよ。相変わらず美味しい食事のときの食欲はすごいよね。
それにしても、意外だったのはロンジン隊長だな。フライヤの話では高圧的で横柄な人だと思ってたんだけど、食事中もすごく明るくて陽気で、それでいて皇帝陛下への気遣いも忘れずに気配りが行き届いている。イメージと違うのがどうしても気になってフライヤに聞いてみた。
「ねえ、フライヤ。ロンジン隊長って聞いていたのとは全然違う性格に思えるけど、何があったの?」
「ああ、確かにあの話を聞いたあとにロンジンと会うとそう思うだろうな。あの戦いのあとには色々あってな。簡単に言うとレオーネの強さにロンジンが惚れ込んでしまい、高圧的な態度は一転してレオーネを慕っているというわけだ。しかし、本来は皇位継承戦に負けたものは生き残ったとしても、皇宮から追放されて閑職に追いやられるのが習わしなのだが、レオーネが『こんな強者を閑職に追いやるなどもったいない。それなら自分が使う』と言って、強引に近衛隊長に任命して今に至るという感じだな」
僕とフライヤが話していると、ロンジン隊長が話に入ってきた。
「私は陛下のおかげで、自分が狭い世界の中で強さに自惚れていたのだということに気付くことができました。そして私を追放せずに近衛隊の隊長という役目をいただき、さらに母上も皇宮に残ることができました。陛下の振る舞いを見て、強さとは力や武芸だけではないことも知ることができましたな。皇位継承戦から20年以上が経ちますが、あの時に新しく生まれ変わった気分ですぞ」
「また、懐かしい話をしているな。そもそも俺は強い者が好きなのだ。それなのにロンジンを追放するなどともったいないことをして何になる。まあ、古い話もいいが、今は古い酒を楽しもうではないか。まだまだたくさんあるのでな!」
レオーネ皇帝が手に持っている古酒をフライヤとロンジン隊長のグラスに並々注いでいる。
そうすると、部屋の扉が勢いよく開けられた。
「ずるいではないか! 我輩を除け者にしてそんなに美味そうな酒を酌み交わすとは!」
えっ!? 風龍のヴァン様まで来ちゃったよ?
「は~。お前も相変わらずだな。まずはレオーネと勝負ができるようになってから挑んできたらどうだ?」
「皇帝陛下は忙しいのですぞ。それに陛下のレベルに達していないことは承知の上で、フライヤ殿に稽古をつけてもらいたいのです」
「分かった、分かった。久しぶりに会ったことだし、今日は無理だが、明日ならいいぞ」
「本当ですか!? それはありがたい! 明日が楽しみですな!!」
「それよりも、美味しい酒を手に入れたと聞いたが、その右手に持っているものなんじゃないか?」
「そうでした! これは大陸の東にある村で、100年以上寝かせていたお酒を発見したのです。試飲をしたところ極上の味わいでした。是非、ヴァン様やフライヤ殿と一緒に飲みたいと思いましてな」
「それは素晴らしいな! 古酒の味わいはまた格別だ。すぐに一杯やろう!」
部屋にゆっくりと入ってきた男性とフライヤが怒涛のような会話を繰り広げていて、僕たちは置いてけぼりな感じなんだけど……とりあえず、挨拶をさせてもらおう。
「フライヤ、そちらの方にご挨拶をさせてもらえないかな」
「おお、すまんな。勝手に盛り上がってしまっていた。こちらはサンネイシス帝国の近衛隊長であるロンジン殿だ」
「ロンジン殿……え~っ!? あの皇位継承の話に出てきたレオーネ皇帝と争ったという……」
「ハハハハハッ! 随分懐かしい話ですな! 今は皇帝直属の近衛隊の隊長をしているロンジンです。どうぞお見知りおきを」
あの話に出てきた高圧的なロンジン元皇太子と同じ人なのか?? ものすごく丁寧な人なんですけど? いかんいかん挨拶をしなければ。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。私はウェスタール王国から来ました、レアンデル=アリウスと申します。ボレアザントでハンター登録をしまして、今はレンと名乗っています」
僕が簡単に挨拶をするとレオーネ皇帝がロンジン隊長に説明を加えた。
「ロンジン、先ほど話を聞いたのだが、レンは火魔法の名手であるランバート=アリウス殿の子息だ。そしてそこにおられるルシア殿はヴァン様とフライヤが尊敬する龍族のお方。どうだ? ルシア殿は当然として、そっちのレンも中々のものであろう」
「ほう! アリウス家の子息ですか! 只者ではない強さが感じられるのも納得ですな。ルシア殿に至っては強さが読めずに恐ろしいほどです。お二人とも私も食事をご一緒してよろしいですかな?」
『もちろんだ。我々はフライヤに案内されただけであるからな。何人参加しようと構わんぞ』
「それはよかった。それでは早速、手に入れた古酒を召し上がってくだされ」
ロンジン隊長が4人分のお酒を手際よく準備して、僕の分は帝国で人気の柑橘系ドリンクを用意してくれたので、とりあえずみんなでいただくことにした。
「ロンジン! これは美味いな!! ルシア様もどんどん飲みましょう!」
フライヤがものすごく上機嫌になってる。本当にお酒が好きなんだな。ルシアも満足そうに飲んでるから、よっぽど美味しいんだろう。僕のドリンクもほどよい甘みと酸味でとても美味しい!
それからは食事の段取りに行ったアイラさんが戻ってきて、何人ものメイドのような人たちが次から次に食事を運んできた。フライヤが言うとおりでどれもこれもすっごく美味しい! ルシアの前に置かれた料理やお酒がびっくりするようなハイペースで無くなっていくよ。相変わらず美味しい食事のときの食欲はすごいよね。
それにしても、意外だったのはロンジン隊長だな。フライヤの話では高圧的で横柄な人だと思ってたんだけど、食事中もすごく明るくて陽気で、それでいて皇帝陛下への気遣いも忘れずに気配りが行き届いている。イメージと違うのがどうしても気になってフライヤに聞いてみた。
「ねえ、フライヤ。ロンジン隊長って聞いていたのとは全然違う性格に思えるけど、何があったの?」
「ああ、確かにあの話を聞いたあとにロンジンと会うとそう思うだろうな。あの戦いのあとには色々あってな。簡単に言うとレオーネの強さにロンジンが惚れ込んでしまい、高圧的な態度は一転してレオーネを慕っているというわけだ。しかし、本来は皇位継承戦に負けたものは生き残ったとしても、皇宮から追放されて閑職に追いやられるのが習わしなのだが、レオーネが『こんな強者を閑職に追いやるなどもったいない。それなら自分が使う』と言って、強引に近衛隊長に任命して今に至るという感じだな」
僕とフライヤが話していると、ロンジン隊長が話に入ってきた。
「私は陛下のおかげで、自分が狭い世界の中で強さに自惚れていたのだということに気付くことができました。そして私を追放せずに近衛隊の隊長という役目をいただき、さらに母上も皇宮に残ることができました。陛下の振る舞いを見て、強さとは力や武芸だけではないことも知ることができましたな。皇位継承戦から20年以上が経ちますが、あの時に新しく生まれ変わった気分ですぞ」
「また、懐かしい話をしているな。そもそも俺は強い者が好きなのだ。それなのにロンジンを追放するなどともったいないことをして何になる。まあ、古い話もいいが、今は古い酒を楽しもうではないか。まだまだたくさんあるのでな!」
レオーネ皇帝が手に持っている古酒をフライヤとロンジン隊長のグラスに並々注いでいる。
そうすると、部屋の扉が勢いよく開けられた。
「ずるいではないか! 我輩を除け者にしてそんなに美味そうな酒を酌み交わすとは!」
えっ!? 風龍のヴァン様まで来ちゃったよ?
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