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第3章 ハンターの町 ボレアザント編
47 天災級の魔物
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「うわっ! なんだこの反応!!」
僕たち3人は目的地に向かって猛スピードで走っていた。走っている僕の探知魔法のレーダーに現れたのは、渦を巻いたような大きな丸。そしてその周りに4つの小さな丸が映っている。
「渦を巻いた大きな魔力反応が見えたよ。これが特殊個体かな。レナールさんの仲間はその個体を取り囲んでるような配置だね」
「か~っ! レン、お前探知魔法まで使えるのか。ハンターギルドで実力がバレたらどこのパーティからも勧誘されまくるな」
「そうなんですか? ルシアから教えてもらっただけで、まだルシアのようには使えませんけどね」
「はあ~。なんか俺の持ってる常識がくずれるわ。探知魔法はそんなに簡単に教えられるものじゃないし、覚えられるものでもないんだけどな。俺が探知魔法を使えるのが自慢にもならねえ……」
「レナールさんも使えるんですね! 特殊個体が見えませんか?」
「Cランク以上のパーティなら最低一人は探知魔法を使えるものがいると思うがな。うちのパーティにはもう一人使えるやつがいるぞ。まあ、それはよしとして、特殊個体はとらえてるぞ。この感じは半端じゃないな……天災級の魔物に違いない。急ぐぞ」
天災級の魔物。その名の通り、天災と同じく人の力が及ばず、通り過ぎるのを待つことしかできないレベルの魔物に使われる呼称だ。
僕たち3人は最大に警戒を強めて目的地へと向かった。
『姿が見えてきたぞ』
「あれは巨大なサンドワーム! いや、あれこそがサンネイシス帝国を恐怖の底に突き落としたクイーンサンドワームなのか!? リゲルたちは大丈夫か!」
あれがクイーンサンドワームなのか。昔、Sランクハンターが討伐したという魔物。ここから見えるだけでも全長100mは楽に超える大きさだぞ。さっきレナールさんが言ってた仲間のリゲルさんたち4人は大丈夫なのだろうか。
近付いていくと、レナールさんの仲間の姿が見えてきた。どうやら戦闘中……というか足止めをしているような動きに見える。全員負傷しているのが分かるし、一人は片腕が失われているようだ。
「リゲル!! みんな!! 大丈夫か!?」
「リーダー!! 何でここに!?」
「お前たちが戻って来ないから来たんだよ! それでどういう状況なんだ?」
巨大なサンドワームを取り囲むようにレナールさんの仲間が配置している。それぞれサンドワームからは少し距離を取っているけど、相手が巨大過ぎて攻撃範囲を予測するのも簡単じゃないな。
「昨晩、地中深くに巨大な魔力の揺らぎを確認して4人で調査をしていたら、今朝、地鳴りとともにこの巨大な魔物が出現した。まず間違いなく特殊個体であるクイーンサンドワームだ。ボレアザントに近付けるわけにいかないから戦闘を試みたが、手も足も出ずこのざまだ。とりあえず様子を見ながら足止めに専念してたんだが、そろそろ限界が近かったんだ。カインズの左腕はやつの消化液で溶かされちまった。他のみんなもやつの攻撃でダメージを受けてる。クソッ! 自分たちの不甲斐なさに怒りを覚えるぞ」
「リゲル、お前は副リーダーの役目を立派に果たしたよ。あとは俺に任せて、みんなは町に戻って治療を受けろ。それとギルマスにAランク以上の応援要請と住民を避難させるように伝えてくれ」
「いや、ちょっと待てよ! いくらリーダーでもあいつを一人で相手するのは無理だ!」
「一人じゃねえよ。あと二人いるのが見えないのか?」
「もちろん見えてるよ! あのときオアシスで会った二人だろう? 向こうの兄さんは相当な実力者だろうけど、少年はすぐに逃がすべきだ! これ以上近付くとヤバいぞ」
「あの少年はレンと言うんだが、とんでもない実力だぞ。最低でもBランク、ひょっとするとAランクに手が届いてるかも知れないぞ」
「嘘だろ!? ……ってこんな場面で嘘を付くわけないか。そうか、あの少年もやっぱり只者じゃなかったんだな」
レナールさんとリゲルさんが話していると、そこにルシアが近づいていく。
『大体の状況は把握した。とにかくレナールの仲間は全員町で治療してもらうんだな。あとは我とレンで何とかしよう』
「ルシアさん、二人だけで何とかする気か? あんたの実力は相当だろうが、相手はクイーンサンドワームだぞ。Aランクハンターでも勝てるかどうか分からないんだ」
『ふむ。そんなに心配ならレナールは残っておれ。仲間には早く離脱するように指示を出すことだな』
「よし、分かった。みんな~!! リゲルを先頭に町に戻れ! あとは俺たちが引き受ける!」
リゲルさんがレナールさんを見て軽く頷き、移動を始める。それをみた他の仲間がリゲルさんを追いかけるようにその場を離れていった。
「ふぅ~。これで仲間たちはいいとして、あとは俺たちの役割分担だな」
『あの魔物も目覚めたばかりで、まだ活動的ではないようだ。しかしクイーンサンドワームの行動を予測すると、近くの町、つまりボレアザントを襲うのは間違いないだろう。ここで討伐するのがベストだ。まずはレンの魔法攻撃といこう。我とレナールは待機だ』
「レンに任せて大丈夫なのか? 討伐を目的とするならみんなで攻撃をした方がいいんじゃないか?」
『あほう。特殊個体と戦うチャンスなどなかなかないのだぞ? ここで経験しておかなくてどうするのだ。レン、やってみるがよい』
「分かった。とりあえず得意な魔法で攻めてみるよ」
僕は右手に魔力を集中した。隣でレナールさんが「あほうってひどくない?」とボヤいてるけど、気にしないでおこうっと。
僕たち3人は目的地に向かって猛スピードで走っていた。走っている僕の探知魔法のレーダーに現れたのは、渦を巻いたような大きな丸。そしてその周りに4つの小さな丸が映っている。
「渦を巻いた大きな魔力反応が見えたよ。これが特殊個体かな。レナールさんの仲間はその個体を取り囲んでるような配置だね」
「か~っ! レン、お前探知魔法まで使えるのか。ハンターギルドで実力がバレたらどこのパーティからも勧誘されまくるな」
「そうなんですか? ルシアから教えてもらっただけで、まだルシアのようには使えませんけどね」
「はあ~。なんか俺の持ってる常識がくずれるわ。探知魔法はそんなに簡単に教えられるものじゃないし、覚えられるものでもないんだけどな。俺が探知魔法を使えるのが自慢にもならねえ……」
「レナールさんも使えるんですね! 特殊個体が見えませんか?」
「Cランク以上のパーティなら最低一人は探知魔法を使えるものがいると思うがな。うちのパーティにはもう一人使えるやつがいるぞ。まあ、それはよしとして、特殊個体はとらえてるぞ。この感じは半端じゃないな……天災級の魔物に違いない。急ぐぞ」
天災級の魔物。その名の通り、天災と同じく人の力が及ばず、通り過ぎるのを待つことしかできないレベルの魔物に使われる呼称だ。
僕たち3人は最大に警戒を強めて目的地へと向かった。
『姿が見えてきたぞ』
「あれは巨大なサンドワーム! いや、あれこそがサンネイシス帝国を恐怖の底に突き落としたクイーンサンドワームなのか!? リゲルたちは大丈夫か!」
あれがクイーンサンドワームなのか。昔、Sランクハンターが討伐したという魔物。ここから見えるだけでも全長100mは楽に超える大きさだぞ。さっきレナールさんが言ってた仲間のリゲルさんたち4人は大丈夫なのだろうか。
近付いていくと、レナールさんの仲間の姿が見えてきた。どうやら戦闘中……というか足止めをしているような動きに見える。全員負傷しているのが分かるし、一人は片腕が失われているようだ。
「リゲル!! みんな!! 大丈夫か!?」
「リーダー!! 何でここに!?」
「お前たちが戻って来ないから来たんだよ! それでどういう状況なんだ?」
巨大なサンドワームを取り囲むようにレナールさんの仲間が配置している。それぞれサンドワームからは少し距離を取っているけど、相手が巨大過ぎて攻撃範囲を予測するのも簡単じゃないな。
「昨晩、地中深くに巨大な魔力の揺らぎを確認して4人で調査をしていたら、今朝、地鳴りとともにこの巨大な魔物が出現した。まず間違いなく特殊個体であるクイーンサンドワームだ。ボレアザントに近付けるわけにいかないから戦闘を試みたが、手も足も出ずこのざまだ。とりあえず様子を見ながら足止めに専念してたんだが、そろそろ限界が近かったんだ。カインズの左腕はやつの消化液で溶かされちまった。他のみんなもやつの攻撃でダメージを受けてる。クソッ! 自分たちの不甲斐なさに怒りを覚えるぞ」
「リゲル、お前は副リーダーの役目を立派に果たしたよ。あとは俺に任せて、みんなは町に戻って治療を受けろ。それとギルマスにAランク以上の応援要請と住民を避難させるように伝えてくれ」
「いや、ちょっと待てよ! いくらリーダーでもあいつを一人で相手するのは無理だ!」
「一人じゃねえよ。あと二人いるのが見えないのか?」
「もちろん見えてるよ! あのときオアシスで会った二人だろう? 向こうの兄さんは相当な実力者だろうけど、少年はすぐに逃がすべきだ! これ以上近付くとヤバいぞ」
「あの少年はレンと言うんだが、とんでもない実力だぞ。最低でもBランク、ひょっとするとAランクに手が届いてるかも知れないぞ」
「嘘だろ!? ……ってこんな場面で嘘を付くわけないか。そうか、あの少年もやっぱり只者じゃなかったんだな」
レナールさんとリゲルさんが話していると、そこにルシアが近づいていく。
『大体の状況は把握した。とにかくレナールの仲間は全員町で治療してもらうんだな。あとは我とレンで何とかしよう』
「ルシアさん、二人だけで何とかする気か? あんたの実力は相当だろうが、相手はクイーンサンドワームだぞ。Aランクハンターでも勝てるかどうか分からないんだ」
『ふむ。そんなに心配ならレナールは残っておれ。仲間には早く離脱するように指示を出すことだな』
「よし、分かった。みんな~!! リゲルを先頭に町に戻れ! あとは俺たちが引き受ける!」
リゲルさんがレナールさんを見て軽く頷き、移動を始める。それをみた他の仲間がリゲルさんを追いかけるようにその場を離れていった。
「ふぅ~。これで仲間たちはいいとして、あとは俺たちの役割分担だな」
『あの魔物も目覚めたばかりで、まだ活動的ではないようだ。しかしクイーンサンドワームの行動を予測すると、近くの町、つまりボレアザントを襲うのは間違いないだろう。ここで討伐するのがベストだ。まずはレンの魔法攻撃といこう。我とレナールは待機だ』
「レンに任せて大丈夫なのか? 討伐を目的とするならみんなで攻撃をした方がいいんじゃないか?」
『あほう。特殊個体と戦うチャンスなどなかなかないのだぞ? ここで経験しておかなくてどうするのだ。レン、やってみるがよい』
「分かった。とりあえず得意な魔法で攻めてみるよ」
僕は右手に魔力を集中した。隣でレナールさんが「あほうってひどくない?」とボヤいてるけど、気にしないでおこうっと。
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