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第3章 ハンターの町 ボレアザント編
42 競馬場とSランクハンター
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「競馬場ってものすごく広くて、こんなにたくさんの人がいるんだね!」
「ボレアザント最大の……いや、サンネイシス最大の娯楽施設だからな。大人にも子どもにも人気があるんだ。大人は賭けるのがメインだが、子どもたちは馬を操る騎手に憧れてるんだよ。有名な騎手は帝国中で人気があるし、稼ぎもとんでもないからな」
周りを見てみると、大人たちに混ざって子どもたちもたくさんいる。家族連れで来ている人たちも多そうだ。獣人族の家族がたくさんいるね。獣人族だけじゃなくて人族も結構多いな。
「早速だが俺とルシアさんは馬券を買いに行こうぜ。レンは成人してないからまだ買えないが、気になる馬がいたら教えてくれ。俺が買っておくから」
レナールさんに仕組みを教えてもらったんだけど、10頭の馬が競争して、1位と2位を当てたら賭けたお金が倍率に応じて支払われるんだって。
とりあえず馬券を買う前に、今から走る馬を見られるところに来た。
「ここで馬の様子を見て、どれが勝てそうかを予想するんだ」
レナールさんはブツブツ言いながら馬の調子を見ているみたいだ。もう完全に自分の世界に入ってるね。
僕も一応見てるけど、どの馬が勝つかは分からないな。全頭鍛えられていて速そうに見える。
『決めたぞ』
「早いな、ルシアさんは。俺もあいつとあいつにするか。レンはどうする?」
「一応決めたので、代わりに買ってもらえますか?」
「了解。予想した1位と2位の馬の番号を教えてくれ」
僕は予想を伝えてレナールさんに馬券を買ってもらった。とりあえず最低賭け金額の1000円だけね。
競争が始まると場内がものすごい熱気に包まれる。悲鳴にも似た声援が飛び交い、ゴールの瞬間は大盛り上がり! 結果から言うと僕の予想は外れ、レナールさんも外れたんだけど、ルシアはなんと大当たり!
『ふむ。予想は的中したな。なるほど面白い』
「いやいやいや! 何でそんなに冷静なんだよ! ビギナーズラックかも知れねえが、競馬で当たったときは馬鹿みたいに喜ぶもんだぜ!」
当たったルシアの何倍もレナールさんが興奮しながら喜んでた。
僕は賭けるのはそれ1回限りで終了。そのあとは勉強のためにルシアが作った問題を解くことにした。最近の勉強スタイルはルシアが作った問題を空き時間に解いて、週末にみっちり授業形式というパターンだ。レナールさんとルシアはそのあと5回も賭けてたんだけど……。
『ふむ。半分しか当たらなかったな』
「半分も当たるのは異常だよ! とんでもない運まで持ってるのか? それとも特別な馬を見抜く方法があるのか?」
そう。ルシアが3つの競争で予想を的中させて、めちゃくちゃ儲かってしまったのだ。それでレナールさんが興奮しまくってるという状況なのである。
『馬を見ても速いか遅いかは何となくしか分からんぞ』
「じゃあ、やっぱり運が良かったのか?」
『運も良かったのだろうが、見るべきポイントはきちんと見たぞ』
「良かったら教えてくれないか!」
『騎手だ』
「俺も騎手の実績や調子は見るようにしてるんだが……」
『そういったところではなく、競争前の馬に乗っているときに魔力を見ていたのだ』
「騎手の魔力を?」
『魔力の流れがスムーズな騎手はきっと騎乗も上手いであろうと思ってな。まあこれは単なる推測に過ぎんが、半分当たったのがすごいということなら、見ておくべきポイントの一つなのかも知れんな』
「騎手の魔力か! 競馬は魔法禁止だから、全然魔力を見てなかったけど確かに魔力の操作が上手いものは、あらゆる感覚が鋭敏に違いないな。あ~! もっと早くに気付いていれば、今までの負けも減らせたかも知れないな!」
なるほど。ルシアは騎手の魔力も見てたのか。僕も競馬と魔力は切り離して考えてたから、全く見てなかったよ。
「レナールさんも魔力を見ることができるんですね」
「もちろん見れるさ。こう見えてもAランクを期待されてるハンターなんだ。Aランクに上がるようなやつはみんな魔力を見ることぐらいできるぞ。逆にもうお前たちが何を出来ても驚かなくなってきたよ」
そんな話をしながら、僕たちは競馬場をあとにして、素材の査定が終わったであろうハンターギルドに向かった。
「レナール! 遅かったじゃねえか!! とっくに素材の査定は終わってたんだぞ」
「悪かったな、ライナス。レンとルシアさんに名所を案内してたんでな」
「はは~ん。お前、競馬場で遊んで来たんだな。確かにボレアザントの名所には違いないが、案内というよりもお前が行きたかったんだろう?」
「バ、バカいうんじゃねえよ! ボレアザントに来たからには競馬場に行かない選択肢は無いだろう!? そこに連れて行って何が悪いんだよ!」
「悪いだなんて言っちゃいないが、大の競馬好きのお前が案内したと聞いたら、そう思ってしまうのも無理はないだろう? まあいいさ。ところでそっちの少年。レンと言ったな。査定は丁寧にやったぞ。とにかく素材の状態が良いものばかりだったから、通常の査定に大分上乗せできた。提示額に納得するなら売ってくれ」
「ありがとうございます。査定額はいくらでしょうか?」
「1,000万だ」
「えっ? 1,000万って1,000万ゴルドですか?」
「ああそうだ! なんだ思ったより査定が低かったか?」
「いえ! とんでもない! そんなすごい金額になるなんて思ってもなかったので……」
「いやいや、それぐらいの値が付くさ。何と言ってもサンドワームの魔石が2個もあるんだぞ。それにブラックバイトスコーピオンの魔石を始めとして他の魔物の魔石もあったし、毛皮なんかの素材の状態も良いし、問題が無ければ是非売って欲しいんだが……」
「それでお願いします」
「ほぉ~! 俺たち砂漠の変幻でもそんな金額を付けてもらったことは数回しかないぞ。しかもパーティで集めた素材でそれだからな。個人でそれだけの素材を集められるなんてAランクかSランクレベルの仕事だぞ!」
「レナール、Sランクは言い過ぎだろう。やつらは正真正銘の化け物たちだ。うちに所属するSランク様を見てると分かるだろう?」
「まあ……そうだな。あの人はそもそもお金に執着してないし、お酒さえあれば何でもよしって感じだしな」
「ボレアザントにSランクのハンターがいるんですか?」
「おっ? 話してなかったか? ボレアザントはハンターの町と呼ばれて、ギルドの規模も帝都の支部よりも大きいんだが、それはSランクハンターである"暴風の舞姫"フライヤ様のおかげなんだよ。世界に6人しかいないSランクハンターの一人がボレアザント所属なんてすごいだろ!」
Sランクハンターのフライヤさんか。
会ったこともない人の話だけど、とてつもなく凄そうな人物の名前を聞いて、僕の気持ちは昂ぶっていた。
「ボレアザント最大の……いや、サンネイシス最大の娯楽施設だからな。大人にも子どもにも人気があるんだ。大人は賭けるのがメインだが、子どもたちは馬を操る騎手に憧れてるんだよ。有名な騎手は帝国中で人気があるし、稼ぎもとんでもないからな」
周りを見てみると、大人たちに混ざって子どもたちもたくさんいる。家族連れで来ている人たちも多そうだ。獣人族の家族がたくさんいるね。獣人族だけじゃなくて人族も結構多いな。
「早速だが俺とルシアさんは馬券を買いに行こうぜ。レンは成人してないからまだ買えないが、気になる馬がいたら教えてくれ。俺が買っておくから」
レナールさんに仕組みを教えてもらったんだけど、10頭の馬が競争して、1位と2位を当てたら賭けたお金が倍率に応じて支払われるんだって。
とりあえず馬券を買う前に、今から走る馬を見られるところに来た。
「ここで馬の様子を見て、どれが勝てそうかを予想するんだ」
レナールさんはブツブツ言いながら馬の調子を見ているみたいだ。もう完全に自分の世界に入ってるね。
僕も一応見てるけど、どの馬が勝つかは分からないな。全頭鍛えられていて速そうに見える。
『決めたぞ』
「早いな、ルシアさんは。俺もあいつとあいつにするか。レンはどうする?」
「一応決めたので、代わりに買ってもらえますか?」
「了解。予想した1位と2位の馬の番号を教えてくれ」
僕は予想を伝えてレナールさんに馬券を買ってもらった。とりあえず最低賭け金額の1000円だけね。
競争が始まると場内がものすごい熱気に包まれる。悲鳴にも似た声援が飛び交い、ゴールの瞬間は大盛り上がり! 結果から言うと僕の予想は外れ、レナールさんも外れたんだけど、ルシアはなんと大当たり!
『ふむ。予想は的中したな。なるほど面白い』
「いやいやいや! 何でそんなに冷静なんだよ! ビギナーズラックかも知れねえが、競馬で当たったときは馬鹿みたいに喜ぶもんだぜ!」
当たったルシアの何倍もレナールさんが興奮しながら喜んでた。
僕は賭けるのはそれ1回限りで終了。そのあとは勉強のためにルシアが作った問題を解くことにした。最近の勉強スタイルはルシアが作った問題を空き時間に解いて、週末にみっちり授業形式というパターンだ。レナールさんとルシアはそのあと5回も賭けてたんだけど……。
『ふむ。半分しか当たらなかったな』
「半分も当たるのは異常だよ! とんでもない運まで持ってるのか? それとも特別な馬を見抜く方法があるのか?」
そう。ルシアが3つの競争で予想を的中させて、めちゃくちゃ儲かってしまったのだ。それでレナールさんが興奮しまくってるという状況なのである。
『馬を見ても速いか遅いかは何となくしか分からんぞ』
「じゃあ、やっぱり運が良かったのか?」
『運も良かったのだろうが、見るべきポイントはきちんと見たぞ』
「良かったら教えてくれないか!」
『騎手だ』
「俺も騎手の実績や調子は見るようにしてるんだが……」
『そういったところではなく、競争前の馬に乗っているときに魔力を見ていたのだ』
「騎手の魔力を?」
『魔力の流れがスムーズな騎手はきっと騎乗も上手いであろうと思ってな。まあこれは単なる推測に過ぎんが、半分当たったのがすごいということなら、見ておくべきポイントの一つなのかも知れんな』
「騎手の魔力か! 競馬は魔法禁止だから、全然魔力を見てなかったけど確かに魔力の操作が上手いものは、あらゆる感覚が鋭敏に違いないな。あ~! もっと早くに気付いていれば、今までの負けも減らせたかも知れないな!」
なるほど。ルシアは騎手の魔力も見てたのか。僕も競馬と魔力は切り離して考えてたから、全く見てなかったよ。
「レナールさんも魔力を見ることができるんですね」
「もちろん見れるさ。こう見えてもAランクを期待されてるハンターなんだ。Aランクに上がるようなやつはみんな魔力を見ることぐらいできるぞ。逆にもうお前たちが何を出来ても驚かなくなってきたよ」
そんな話をしながら、僕たちは競馬場をあとにして、素材の査定が終わったであろうハンターギルドに向かった。
「レナール! 遅かったじゃねえか!! とっくに素材の査定は終わってたんだぞ」
「悪かったな、ライナス。レンとルシアさんに名所を案内してたんでな」
「はは~ん。お前、競馬場で遊んで来たんだな。確かにボレアザントの名所には違いないが、案内というよりもお前が行きたかったんだろう?」
「バ、バカいうんじゃねえよ! ボレアザントに来たからには競馬場に行かない選択肢は無いだろう!? そこに連れて行って何が悪いんだよ!」
「悪いだなんて言っちゃいないが、大の競馬好きのお前が案内したと聞いたら、そう思ってしまうのも無理はないだろう? まあいいさ。ところでそっちの少年。レンと言ったな。査定は丁寧にやったぞ。とにかく素材の状態が良いものばかりだったから、通常の査定に大分上乗せできた。提示額に納得するなら売ってくれ」
「ありがとうございます。査定額はいくらでしょうか?」
「1,000万だ」
「えっ? 1,000万って1,000万ゴルドですか?」
「ああそうだ! なんだ思ったより査定が低かったか?」
「いえ! とんでもない! そんなすごい金額になるなんて思ってもなかったので……」
「いやいや、それぐらいの値が付くさ。何と言ってもサンドワームの魔石が2個もあるんだぞ。それにブラックバイトスコーピオンの魔石を始めとして他の魔物の魔石もあったし、毛皮なんかの素材の状態も良いし、問題が無ければ是非売って欲しいんだが……」
「それでお願いします」
「ほぉ~! 俺たち砂漠の変幻でもそんな金額を付けてもらったことは数回しかないぞ。しかもパーティで集めた素材でそれだからな。個人でそれだけの素材を集められるなんてAランクかSランクレベルの仕事だぞ!」
「レナール、Sランクは言い過ぎだろう。やつらは正真正銘の化け物たちだ。うちに所属するSランク様を見てると分かるだろう?」
「まあ……そうだな。あの人はそもそもお金に執着してないし、お酒さえあれば何でもよしって感じだしな」
「ボレアザントにSランクのハンターがいるんですか?」
「おっ? 話してなかったか? ボレアザントはハンターの町と呼ばれて、ギルドの規模も帝都の支部よりも大きいんだが、それはSランクハンターである"暴風の舞姫"フライヤ様のおかげなんだよ。世界に6人しかいないSランクハンターの一人がボレアザント所属なんてすごいだろ!」
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