41 / 131
第3章 ハンターの町 ボレアザント編
40 ハンター登録
しおりを挟む
「僕は登録してもいいんじゃないかと思うけど、ルシアはどう思う?」
『我はお主がいいのならそれで構わんぞ』
ルシアは悩む素振りもなくすぐに返事が返ってきた。
「そうしたらレナールさん、推薦人になってもらいたいのですが、推薦人になるとご迷惑をおかけするようなことはないでしょうか」
「カカッ! そういった心配は必要無いぜ。なんだかんだ言ってもハンターの仕事は危険なものが多いからな。誰でも簡単に登録できたらまずいから、形式上制限しているっていうだけだ。登録したあとは自己責任の世界だから、全て自分次第っていうわけだ」
「それならよかったです。あらためて推薦人をお願いできますか」
「おう! 分かったぜ。ミナ、ハンター登録の手続きを済ませてくれ」
「分かりました」
ミナさんが僕たちの前に用紙を差し出してきた。
「こちらにお名前と年齢、職種の欄は剣士とか魔法使いとか、ご自分のスタイルをお書きください。ちなみに名前は本名じゃなくて結構ですよ。愛称でも何でも構いません。貴族の方が登録されるときは偽名にされることがほとんどですし」
何か見事に僕のことを言われてる気がする。ミナさんって心を読んだりしてないよね……
「それとパーティー登録はなさいますか? パーティーとは2人以上で活動する場合に登録することができます。主なメリットはパーティー専用のクエストを受注できたり、パーティーで攻略した実績が個人のランクにも反映されます。特にデメリットはありません」
「それならお願いしようかな」
「そうしましたらお二人のパーティ名をお決めください。こちらも何でも構いません」
『グルメの深淵で頼む』
えっ? パーティ名にグルメを入れちゃうの? しかも即答だし。
「ルシア、そんな簡単にパーティ名を決めていいの?」
『我とお主がハンターとして活動するならグルメのためでしかなかろう。グルメの奥深さを表したパーティ名こそ相応しい』
……まあ、何でもいいけどさ。
「はい。それでは登録用紙を確かに受領しました。これでハンター登録は完了です。早速ですがハンター証をお渡しします」
ミナさん、めちゃくちゃ手際がいいな。というか、ハンター登録する前提で準備してたんだろうな。
「このネックレスがハンター証です。こちらのプレート部分にランクが記載されています。右手をこちらのボードに置いていただけますか」
ネックレスが置かれているボードに手を置く。
「これでハンター証に情報が登録されました。お名前などの個人情報や達成したクエストなどの情報も登録されていきます。それではレンさん、ルシアさん、これからよろしくお願いします」
無事にハンター登録が終わった。僕の名前なんだけど、さすがに本名は使いたくなかったからレンで登録したんだよね。
「これでハンター仲間だな! あらためてよろしく頼むぜ。それじゃあ早速、素材引取所に行くとしよう」
僕たちはレナールさんの案内で素材引取所に向かった。そこは天井が高くとても広い空間で、力自慢みたいな人たちが大勢働いていた。
「あっちにいるやつのところがおすすめだ。お~い! ライナス! 素材の引き取りを頼むぜ」
レナールさんが声をかけると身長が2m以上はありそうな巨体の男性が振り返る。
「おう! レナールじゃないか! また良い素材を見つけてきたのか?」
「違う違う。今日は俺じゃねえ。こっちの二人が素材を引き取って欲しいんだとよ」
レナールさんと話している巨体の男性は犀の獣人みたいだ。それにしても見事な体躯だな。戦ってもすごく強そうな気がする。
「はじめまして。レンと言います。素材を引き取ってもらいたいのですが、どこに置けばいいですか?」
「どこに? どういうことだ? そこの台の上に置いてもらえばいいが、素材はどこにあるんだ?」
「う~ん。その台の上じゃ狭いと思います。もう少し広い場所に置かせてもらえませんか?」
「そうだった! ライナスが疑問に思うのも仕方ないが、収納魔法の魔道具にたくさんの素材があるんだとよ。ライナスの後ろのスペースに置いてもいいか?」
「収納魔法の魔道具!? それはまた珍しいものを。おう! 俺の後ろのスペースに置いてくんな」
ライナスさんの後ろには床に広いスペースが空いている。ここなら大丈夫かな。
「それじゃどんどん置いていきますね」
僕はバッグに手を入れて、収納空間から素材を次から次に取り出して、床に並べた。あれだけ広かった床のスペースが完全に埋まってしまった。レナールさんとライナスさんが目を大きく開いて見合わせている。
「「なんだこりゃ~!!」」
「おいレナール!! これはどうなってんだ? あの魔道具とんでもない性能だぞ! というかレンと言ったな! これまさかお前が仕留めたのか?」
「えっ! そうですけど……」
「サンドワームの素材まであるんだぞ!! しかも鋭利な刃物かなんかでとてもきれいに仕留められてるやつが! Bランクのパーティでもこんなものを持ってくるのは中々無いんだぞ? お前まさかBランク……いやもしかしてAランクなのか?」
「いえ、さきほど登録したばかりのFランクです」
「はっ?」
「カカカカカッ!! あまりのすごさに笑いしか出てこねえや。やっぱり俺の見立ては正しかったんだな。二人とも只者じゃない雰囲気が出まくってたからな。それでお兄さんの方も素材がたっぷりあるのかい?」
『我も同じぐらいはあるな。しかし、美味しい食事ができる程度に換金できればよいから我の分の素材の引き取りはまたの機会にするとしようか』
「いや、美味しい食事の分だけでいいって……。この床の分だけでもとんでもない金額になるぞ……」
ライナスさんが呆れたように呟いている。ちなみに僕の収納空間にはまだ素材が入ってるんだけど、スペースが埋まったから途中で止めたんだけどね。
『我はお主がいいのならそれで構わんぞ』
ルシアは悩む素振りもなくすぐに返事が返ってきた。
「そうしたらレナールさん、推薦人になってもらいたいのですが、推薦人になるとご迷惑をおかけするようなことはないでしょうか」
「カカッ! そういった心配は必要無いぜ。なんだかんだ言ってもハンターの仕事は危険なものが多いからな。誰でも簡単に登録できたらまずいから、形式上制限しているっていうだけだ。登録したあとは自己責任の世界だから、全て自分次第っていうわけだ」
「それならよかったです。あらためて推薦人をお願いできますか」
「おう! 分かったぜ。ミナ、ハンター登録の手続きを済ませてくれ」
「分かりました」
ミナさんが僕たちの前に用紙を差し出してきた。
「こちらにお名前と年齢、職種の欄は剣士とか魔法使いとか、ご自分のスタイルをお書きください。ちなみに名前は本名じゃなくて結構ですよ。愛称でも何でも構いません。貴族の方が登録されるときは偽名にされることがほとんどですし」
何か見事に僕のことを言われてる気がする。ミナさんって心を読んだりしてないよね……
「それとパーティー登録はなさいますか? パーティーとは2人以上で活動する場合に登録することができます。主なメリットはパーティー専用のクエストを受注できたり、パーティーで攻略した実績が個人のランクにも反映されます。特にデメリットはありません」
「それならお願いしようかな」
「そうしましたらお二人のパーティ名をお決めください。こちらも何でも構いません」
『グルメの深淵で頼む』
えっ? パーティ名にグルメを入れちゃうの? しかも即答だし。
「ルシア、そんな簡単にパーティ名を決めていいの?」
『我とお主がハンターとして活動するならグルメのためでしかなかろう。グルメの奥深さを表したパーティ名こそ相応しい』
……まあ、何でもいいけどさ。
「はい。それでは登録用紙を確かに受領しました。これでハンター登録は完了です。早速ですがハンター証をお渡しします」
ミナさん、めちゃくちゃ手際がいいな。というか、ハンター登録する前提で準備してたんだろうな。
「このネックレスがハンター証です。こちらのプレート部分にランクが記載されています。右手をこちらのボードに置いていただけますか」
ネックレスが置かれているボードに手を置く。
「これでハンター証に情報が登録されました。お名前などの個人情報や達成したクエストなどの情報も登録されていきます。それではレンさん、ルシアさん、これからよろしくお願いします」
無事にハンター登録が終わった。僕の名前なんだけど、さすがに本名は使いたくなかったからレンで登録したんだよね。
「これでハンター仲間だな! あらためてよろしく頼むぜ。それじゃあ早速、素材引取所に行くとしよう」
僕たちはレナールさんの案内で素材引取所に向かった。そこは天井が高くとても広い空間で、力自慢みたいな人たちが大勢働いていた。
「あっちにいるやつのところがおすすめだ。お~い! ライナス! 素材の引き取りを頼むぜ」
レナールさんが声をかけると身長が2m以上はありそうな巨体の男性が振り返る。
「おう! レナールじゃないか! また良い素材を見つけてきたのか?」
「違う違う。今日は俺じゃねえ。こっちの二人が素材を引き取って欲しいんだとよ」
レナールさんと話している巨体の男性は犀の獣人みたいだ。それにしても見事な体躯だな。戦ってもすごく強そうな気がする。
「はじめまして。レンと言います。素材を引き取ってもらいたいのですが、どこに置けばいいですか?」
「どこに? どういうことだ? そこの台の上に置いてもらえばいいが、素材はどこにあるんだ?」
「う~ん。その台の上じゃ狭いと思います。もう少し広い場所に置かせてもらえませんか?」
「そうだった! ライナスが疑問に思うのも仕方ないが、収納魔法の魔道具にたくさんの素材があるんだとよ。ライナスの後ろのスペースに置いてもいいか?」
「収納魔法の魔道具!? それはまた珍しいものを。おう! 俺の後ろのスペースに置いてくんな」
ライナスさんの後ろには床に広いスペースが空いている。ここなら大丈夫かな。
「それじゃどんどん置いていきますね」
僕はバッグに手を入れて、収納空間から素材を次から次に取り出して、床に並べた。あれだけ広かった床のスペースが完全に埋まってしまった。レナールさんとライナスさんが目を大きく開いて見合わせている。
「「なんだこりゃ~!!」」
「おいレナール!! これはどうなってんだ? あの魔道具とんでもない性能だぞ! というかレンと言ったな! これまさかお前が仕留めたのか?」
「えっ! そうですけど……」
「サンドワームの素材まであるんだぞ!! しかも鋭利な刃物かなんかでとてもきれいに仕留められてるやつが! Bランクのパーティでもこんなものを持ってくるのは中々無いんだぞ? お前まさかBランク……いやもしかしてAランクなのか?」
「いえ、さきほど登録したばかりのFランクです」
「はっ?」
「カカカカカッ!! あまりのすごさに笑いしか出てこねえや。やっぱり俺の見立ては正しかったんだな。二人とも只者じゃない雰囲気が出まくってたからな。それでお兄さんの方も素材がたっぷりあるのかい?」
『我も同じぐらいはあるな。しかし、美味しい食事ができる程度に換金できればよいから我の分の素材の引き取りはまたの機会にするとしようか』
「いや、美味しい食事の分だけでいいって……。この床の分だけでもとんでもない金額になるぞ……」
ライナスさんが呆れたように呟いている。ちなみに僕の収納空間にはまだ素材が入ってるんだけど、スペースが埋まったから途中で止めたんだけどね。
0
お気に入りに追加
1,492
あなたにおすすめの小説
終了し強制力の無くなった乙女ゲームの世界の悪役令嬢のその後…
クロノス
恋愛
私はよくある異世界に転生した元日本人で社会人だった。仕事の帰り道によくあるトラック事故にて呆気なく死んでしまった/(-_-)\
まさかの転生先が前世で何度もプレーする程大好きだった乙女ゲームの中の悪役令嬢になっていた。
私の前世の推しである悪役令嬢になるなんて~
攻略対象者?ヒロイン?知りません!
って思ってたらヒロインめちゃくちゃウザイし攻略対象者もめちゃくちゃウザイ…
強制力やっぱりあるし( ・᷄ὢ・᷅ )
強制力あっても何とか逞しく乗り切ろうとする悪役令嬢に転生した私の物語
女神の愛し子の私に冤罪って…
って何故かどんどん話のスケールがでかくなってませんか!?
ゆるふわ設定です!
頭をラフにしてお読み下さい(*^^*)

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる