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第2章 風の大龍穴編
22 初めての実戦
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僕は戦うことに集中して、デザートウルフの様子を伺うように近づいてみると、6匹の群れから4匹が抜け出して、僕の前後左右に回ってきた。
「いきなり取り囲んでくるとは厄介な連携だけど、さて、どれから狙うべきかな」
僕は魔物との初めての実戦だというのに不思議なほどに落ち着いていた。
「まずは正面のやつからだ!」
僕は魔力を足に集めて目の前のデザートウルフに飛びかかり、ミスリルの剣に魔力を流して振り下ろした。
デザートウルフも避けようと反応したけど少し遅い。
「ギャウッ!!」
ミスリルの剣がほとんど抵抗を感じることなく胴体を真っ二つに斬り裂いた。想像以上の切れ味だぞ!
仲間がやられたその瞬間を狙ったのか、残りの3匹が一斉に飛び掛かってきた。
僕は振り返りざまに左右のデザートウルフに対して剣を左から右に横薙ぎに一閃。剣はそれぞれの身体の一部を斬り裂いた。
続いて正面から飛び掛かってくるデザートウルフの攻撃に対しては、マントに魔力を流して背中を向けて受け止めてみた。
デザートウルフの噛みつき攻撃に対して、ミスリルで編んだマントは何の衝撃を感じることもなく受け止められたので、僕はすぐさま振り向いて垂直に剣を振り下ろす。
まだ空中にいる状態のデザートウルフは斬撃を躱すことも出来ず、もう1匹を仕留めることに成功した。
ふぅ~。まずは2匹を仕留めることができたな。
それにしてもミスリルの剣は凄まじい切れ味だ。しかもすっごく軽いから剣を振りやすいし、剣速は訓練のときよりも格段に速くなってる。
あとミスリルのマントは魔力を流すとビックリするぐらいの防御力がある。早い段階でマントの防御力を試したかったから、敢えて攻撃を受けてみたけど、もっと厳しい攻撃でも難なく防げそうだ。
残り4匹となったデザートウルフが僕の周りを取り囲み、グルグルと回りだした。かなりのスピードだ。
おそらく狙いを付けられにくくして、こちらを攻撃してくるつもりじゃないかな? 魔物も色々考えてるんだなと思っていると、グルグル回る円の中から1匹が太陽を背に向けた位置から大きく跳躍して攻撃してきた。
「逆光まで利用してくるなんて、狼のくせに頭良すぎでしょ!」
僕は後方にジャンプして攻撃を躱す。すると間髪入れず2匹が後方から噛み付いてくる。だけど、それは僕の読みどおり。
剣を持ってその場でスピンの回転斬り。勢いよく迫ってきた2匹の頭部を口から切断。これで残りは2匹。
大体の攻撃スタイルとスピードも分かったな。確かにスピードはとても速い。普通の狼と比べたら、魔力で身体能力を強化している分だけ俊敏さが増しているようだ。だけど魔力を集中した僕の方が速いんだよな。足元の砂を弾く魔力の使い方を覚えていなければ危なかっただろうけどね。
僕はグルグルと回る残りの2匹のうち、まず1匹に狙いを定めてダッシュで近づき剣を突く。体をうまく捻ってかわすデザートウルフ。そのまま躱した方向に剣を水平に振ると、当たりは浅いが胴体を斬りつけた。
「ウガウッ!」
斬りつけたデザートウルフが怯む様子も見せずに襲いかかってくる。
僕はもう1匹の動きを見ながら、襲ってきた方に対応する。左右にステップを踏みながら迫ってくるデザートウルフ。右に左にと俊敏に動いて的を絞らせないようにしているんだろうけど、僕にはその軌道が見えていた。そのままの勢いで左から噛みついてきた瞬間を見定め斬りおとした。
「最後の1匹になったぞ」
僕の周りを回っていたデザートウルフが僕の正面で止まった。僕のことを睨んでいるのが分かる。
ここで気を緩めてはいけない。上手いこと5匹を倒すことができたけど、追い詰められた魔物がどんな行動をするか分からないからな。
「ウオーーーンッ!」
威嚇か? 僕を睨みながら正面のデザートウルフが吠える。そして鋭い牙を見せながら態勢を低く構えた。僕も攻撃に備えて剣を構える。低く構えた態勢から後ろ足の筋肉が膨張しそのまま180℃回転する跳躍。一直線に駆け出すデザートウルフ。
……えっ? ……もしかして、逃げた?
そのままデザートウルフは後ろを振り向いて、猛然と走って行っちゃったよ。あんなに魔力を身体強化に使われてダッシュされたら追いつくのは厳しいな。まあ、襲ってこない相手まで仕留める必要もないよね。
『無事に初めての実戦も終わったようだな』
空中にいたルシアがゆっくりと降りてきた。
「うん。自分でも驚くほど落ち着いてやれたし、剣とマントの性能がすごくて半分以上は武器に助けられた気がするよ」
『そうだな。剣とマントの性能はお主が感じたとおりだが、それを使いこなしたのもお主の実力だ。初戦ということで少し戸惑うかとも思ったが、我が見ていても落ち着いているのが分かったし、戦闘中は口出しする必要も無かった。
それでもいくつか注意すべきところが見えたからな。少しばかりの反省会をしてから進むことにしよう』
こうして僕の初めての実戦が終わった。僕も戦闘中に気になることがあったし、反省会でルシア先生に質問しようっと。
「いきなり取り囲んでくるとは厄介な連携だけど、さて、どれから狙うべきかな」
僕は魔物との初めての実戦だというのに不思議なほどに落ち着いていた。
「まずは正面のやつからだ!」
僕は魔力を足に集めて目の前のデザートウルフに飛びかかり、ミスリルの剣に魔力を流して振り下ろした。
デザートウルフも避けようと反応したけど少し遅い。
「ギャウッ!!」
ミスリルの剣がほとんど抵抗を感じることなく胴体を真っ二つに斬り裂いた。想像以上の切れ味だぞ!
仲間がやられたその瞬間を狙ったのか、残りの3匹が一斉に飛び掛かってきた。
僕は振り返りざまに左右のデザートウルフに対して剣を左から右に横薙ぎに一閃。剣はそれぞれの身体の一部を斬り裂いた。
続いて正面から飛び掛かってくるデザートウルフの攻撃に対しては、マントに魔力を流して背中を向けて受け止めてみた。
デザートウルフの噛みつき攻撃に対して、ミスリルで編んだマントは何の衝撃を感じることもなく受け止められたので、僕はすぐさま振り向いて垂直に剣を振り下ろす。
まだ空中にいる状態のデザートウルフは斬撃を躱すことも出来ず、もう1匹を仕留めることに成功した。
ふぅ~。まずは2匹を仕留めることができたな。
それにしてもミスリルの剣は凄まじい切れ味だ。しかもすっごく軽いから剣を振りやすいし、剣速は訓練のときよりも格段に速くなってる。
あとミスリルのマントは魔力を流すとビックリするぐらいの防御力がある。早い段階でマントの防御力を試したかったから、敢えて攻撃を受けてみたけど、もっと厳しい攻撃でも難なく防げそうだ。
残り4匹となったデザートウルフが僕の周りを取り囲み、グルグルと回りだした。かなりのスピードだ。
おそらく狙いを付けられにくくして、こちらを攻撃してくるつもりじゃないかな? 魔物も色々考えてるんだなと思っていると、グルグル回る円の中から1匹が太陽を背に向けた位置から大きく跳躍して攻撃してきた。
「逆光まで利用してくるなんて、狼のくせに頭良すぎでしょ!」
僕は後方にジャンプして攻撃を躱す。すると間髪入れず2匹が後方から噛み付いてくる。だけど、それは僕の読みどおり。
剣を持ってその場でスピンの回転斬り。勢いよく迫ってきた2匹の頭部を口から切断。これで残りは2匹。
大体の攻撃スタイルとスピードも分かったな。確かにスピードはとても速い。普通の狼と比べたら、魔力で身体能力を強化している分だけ俊敏さが増しているようだ。だけど魔力を集中した僕の方が速いんだよな。足元の砂を弾く魔力の使い方を覚えていなければ危なかっただろうけどね。
僕はグルグルと回る残りの2匹のうち、まず1匹に狙いを定めてダッシュで近づき剣を突く。体をうまく捻ってかわすデザートウルフ。そのまま躱した方向に剣を水平に振ると、当たりは浅いが胴体を斬りつけた。
「ウガウッ!」
斬りつけたデザートウルフが怯む様子も見せずに襲いかかってくる。
僕はもう1匹の動きを見ながら、襲ってきた方に対応する。左右にステップを踏みながら迫ってくるデザートウルフ。右に左にと俊敏に動いて的を絞らせないようにしているんだろうけど、僕にはその軌道が見えていた。そのままの勢いで左から噛みついてきた瞬間を見定め斬りおとした。
「最後の1匹になったぞ」
僕の周りを回っていたデザートウルフが僕の正面で止まった。僕のことを睨んでいるのが分かる。
ここで気を緩めてはいけない。上手いこと5匹を倒すことができたけど、追い詰められた魔物がどんな行動をするか分からないからな。
「ウオーーーンッ!」
威嚇か? 僕を睨みながら正面のデザートウルフが吠える。そして鋭い牙を見せながら態勢を低く構えた。僕も攻撃に備えて剣を構える。低く構えた態勢から後ろ足の筋肉が膨張しそのまま180℃回転する跳躍。一直線に駆け出すデザートウルフ。
……えっ? ……もしかして、逃げた?
そのままデザートウルフは後ろを振り向いて、猛然と走って行っちゃったよ。あんなに魔力を身体強化に使われてダッシュされたら追いつくのは厳しいな。まあ、襲ってこない相手まで仕留める必要もないよね。
『無事に初めての実戦も終わったようだな』
空中にいたルシアがゆっくりと降りてきた。
「うん。自分でも驚くほど落ち着いてやれたし、剣とマントの性能がすごくて半分以上は武器に助けられた気がするよ」
『そうだな。剣とマントの性能はお主が感じたとおりだが、それを使いこなしたのもお主の実力だ。初戦ということで少し戸惑うかとも思ったが、我が見ていても落ち着いているのが分かったし、戦闘中は口出しする必要も無かった。
それでもいくつか注意すべきところが見えたからな。少しばかりの反省会をしてから進むことにしよう』
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