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第1章 ウェリス王立学園編
18 旅の準備
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いよいよ旅に出発する朝を迎えた。ルシアは屋敷に訪ねてくる演出をするために、憑依している僕から出て外で時間を潰してくるそうだ。
僕はいつもと同じ時間にいつもと同じ席で、しばらくの間、家族と食べることができない朝食を味わっていた。
「父上、今日の朝食は豪華ですね!」
「レンのためにとフランが気合いを入れて朝食づくりを手伝っていたからな。旅の門出を祝ってレンの記憶に残るような朝食を作ったらしいぞ」
そうだろうな。僕の目の前には朝からステーキが置いてあるもんね。しかもこれは最高級の牛フィレだな。それに横の皿の海老もでっかいしめちゃくちゃ美味しい。もはや豪華ディナーだな、これは。
向こうでフランがニコニコと僕の方を見てる。ありがとうね、フラン。
朝食のあと父上と母上、リルと話をして、セバスやメイドのみんな、いつも美味しい食事を作ってくれるコックのタントをはじめとした、家で働いてくれるみんなに出発の挨拶をした。
旅の準備も衣服や小物をバッグに入れて準備万端。ルシアから、必要なものは今朝一緒に買いに行くから、用意するのは何着かの服ぐらいでいいって言われたんだよね。
そうしてみんなと談笑していると玄関のチャイムがなった。セバスが颯爽と迎えに出る。
『待たせたな』
金色の髪と金色の肌をした美青年が扉から入ってきた。
ずっと身体の中にいるからルシアの姿を見る機会は少ないんだけど、やっばりどこからどう見てもとんでもない美形だな。
火龍様もとんでもない美女だから、龍族の人形態って美男美女揃いなのかも知れないな。
「クロノルシア様、ようこそいらっしゃいました」
『うむ、ランバート。今からレアンデルとともに街で旅の仕度を整え、そのまま出発する。我の修行は厳しいがレアンデルならやり遂げられるだろう。しばらくの間、預からせてもらうぞ』
「クロノルシア様、よろしくお頼み申し上げます」
父上、母上がお辞儀をしたあと、屋敷のみんながルシアに向って頭を下げている。
「それでは、行ってまいります!」
僕はみんなに手を振り、屋敷を出発した。
「これからいよいよ旅に出るんだね! 最初はどこに向かうの?」
『お主の準備を整えるために、まずは武器屋に向かうぞ』
武器屋か。店の外から眺めたことはあるけど入ったことはないな。
「よし、それでは店まで走るぞ。付いてまいれ」
ルシアが走り出す。うわっ、めちゃくちゃ速い! 僕は足に魔力を集中して必死に追いかけた。
『着いたぞ』
「ハァハァ……」
『レアンデル、随分と辛そうだな? これでもお主が付いてこれるように走ったのだぞ? 魔力だけではなく、身体作りも大事だからな。常に意識した行動を心掛けるのだ』
「分かってるけど……ちょっと速すぎるような……」
僕は息を整えながら、一緒に武器屋に入った。
「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
武器屋の店員さんだから強面のおじさんが出てくるかと思ったんだけど、きれいな長い髪を三つ編みにして、メガネをかけた同じ年くらいの女の子が出てきた。
『この子用の剣とマントを探しておる。まずは剣を見せてくれぬか? マントは薄くて軽いものがよい』
「はい。それでしたら剣も少し軽いものが使いやすいと思いますので、こちらの棚をご覧ください。マントはいくつか見繕ってお持ちします」
そうして店員の女の子は店の奥へと入っていった。
『ふむ。やはりこの店はなかなかの品揃えだな。レアンデルよ。この中から好きなものを選ぶがよい』
「ん? やはりって、ルシアはお店の下調べをしてたの?」
『当たり前であろう。闇雲に店に入ってどうする。何事も事前準備、特に情報収集が大事なのだ。とにかくお主は剣を選ぶのだ』
そう言われてもたくさんあってどれがいいものか分からないな。とりあえず気になるような剣がないか探してみよう。そうして棚に並べられた剣を見ていると、
――おや? この剣は使いやすそうだぞ?
「これ! いい感じだ! この剣にしようかな」
『ほう。なぜその剣を選んだのだ?』
「刀身の美しさが気に入ったということもあるけど、魔力が流しやすいんだよ」
『ふむ。そうだな。お主の剣のスタイルから考えると、剣を選ぶときのポイントは魔力との親和性だ。お主が選んだものは刀身の素材に何らかの特別な金属が混ざっているのだろう。少々物足りない気もするが、及第点は取っているというところだな』
なるほど。確かに魔力が使いやすい剣を選ぶことは大事だよね。そうするとお店の女の子が戻ってきた。
「いくつかマントをお持ちしましたのでご覧ください。剣はそちらを気に入られましたか?」
「はい。魔力を流しやすそうなので、この中ではこれが一番いい気がします」
するとお店の女の子が表情を引き締めて尋ねてきた。
「剣に魔力を流してつかわれるのですか?」
「はい。そうですけど」
「……それでしたら、ここではなくお店の奥にある別室に来ていただけますか?」
僕たちはお店の女の子が案内するままに奥へと進んでいく。しばらく行くと地下に降りられる階段があった。
「足元にお気を付けくださいね」
階段を降りるといくつかの部屋があり、お店の女の子が一際豪華な扉のある部屋の鍵を開けた。僕とルシアは部屋の中に案内される。
『ほう。なるほどな』
声を漏らしたルシアの方を振り返ってみると、ニヤリと笑う横顔が見えたのだった。
僕はいつもと同じ時間にいつもと同じ席で、しばらくの間、家族と食べることができない朝食を味わっていた。
「父上、今日の朝食は豪華ですね!」
「レンのためにとフランが気合いを入れて朝食づくりを手伝っていたからな。旅の門出を祝ってレンの記憶に残るような朝食を作ったらしいぞ」
そうだろうな。僕の目の前には朝からステーキが置いてあるもんね。しかもこれは最高級の牛フィレだな。それに横の皿の海老もでっかいしめちゃくちゃ美味しい。もはや豪華ディナーだな、これは。
向こうでフランがニコニコと僕の方を見てる。ありがとうね、フラン。
朝食のあと父上と母上、リルと話をして、セバスやメイドのみんな、いつも美味しい食事を作ってくれるコックのタントをはじめとした、家で働いてくれるみんなに出発の挨拶をした。
旅の準備も衣服や小物をバッグに入れて準備万端。ルシアから、必要なものは今朝一緒に買いに行くから、用意するのは何着かの服ぐらいでいいって言われたんだよね。
そうしてみんなと談笑していると玄関のチャイムがなった。セバスが颯爽と迎えに出る。
『待たせたな』
金色の髪と金色の肌をした美青年が扉から入ってきた。
ずっと身体の中にいるからルシアの姿を見る機会は少ないんだけど、やっばりどこからどう見てもとんでもない美形だな。
火龍様もとんでもない美女だから、龍族の人形態って美男美女揃いなのかも知れないな。
「クロノルシア様、ようこそいらっしゃいました」
『うむ、ランバート。今からレアンデルとともに街で旅の仕度を整え、そのまま出発する。我の修行は厳しいがレアンデルならやり遂げられるだろう。しばらくの間、預からせてもらうぞ』
「クロノルシア様、よろしくお頼み申し上げます」
父上、母上がお辞儀をしたあと、屋敷のみんながルシアに向って頭を下げている。
「それでは、行ってまいります!」
僕はみんなに手を振り、屋敷を出発した。
「これからいよいよ旅に出るんだね! 最初はどこに向かうの?」
『お主の準備を整えるために、まずは武器屋に向かうぞ』
武器屋か。店の外から眺めたことはあるけど入ったことはないな。
「よし、それでは店まで走るぞ。付いてまいれ」
ルシアが走り出す。うわっ、めちゃくちゃ速い! 僕は足に魔力を集中して必死に追いかけた。
『着いたぞ』
「ハァハァ……」
『レアンデル、随分と辛そうだな? これでもお主が付いてこれるように走ったのだぞ? 魔力だけではなく、身体作りも大事だからな。常に意識した行動を心掛けるのだ』
「分かってるけど……ちょっと速すぎるような……」
僕は息を整えながら、一緒に武器屋に入った。
「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
武器屋の店員さんだから強面のおじさんが出てくるかと思ったんだけど、きれいな長い髪を三つ編みにして、メガネをかけた同じ年くらいの女の子が出てきた。
『この子用の剣とマントを探しておる。まずは剣を見せてくれぬか? マントは薄くて軽いものがよい』
「はい。それでしたら剣も少し軽いものが使いやすいと思いますので、こちらの棚をご覧ください。マントはいくつか見繕ってお持ちします」
そうして店員の女の子は店の奥へと入っていった。
『ふむ。やはりこの店はなかなかの品揃えだな。レアンデルよ。この中から好きなものを選ぶがよい』
「ん? やはりって、ルシアはお店の下調べをしてたの?」
『当たり前であろう。闇雲に店に入ってどうする。何事も事前準備、特に情報収集が大事なのだ。とにかくお主は剣を選ぶのだ』
そう言われてもたくさんあってどれがいいものか分からないな。とりあえず気になるような剣がないか探してみよう。そうして棚に並べられた剣を見ていると、
――おや? この剣は使いやすそうだぞ?
「これ! いい感じだ! この剣にしようかな」
『ほう。なぜその剣を選んだのだ?』
「刀身の美しさが気に入ったということもあるけど、魔力が流しやすいんだよ」
『ふむ。そうだな。お主の剣のスタイルから考えると、剣を選ぶときのポイントは魔力との親和性だ。お主が選んだものは刀身の素材に何らかの特別な金属が混ざっているのだろう。少々物足りない気もするが、及第点は取っているというところだな』
なるほど。確かに魔力が使いやすい剣を選ぶことは大事だよね。そうするとお店の女の子が戻ってきた。
「いくつかマントをお持ちしましたのでご覧ください。剣はそちらを気に入られましたか?」
「はい。魔力を流しやすそうなので、この中ではこれが一番いい気がします」
するとお店の女の子が表情を引き締めて尋ねてきた。
「剣に魔力を流してつかわれるのですか?」
「はい。そうですけど」
「……それでしたら、ここではなくお店の奥にある別室に来ていただけますか?」
僕たちはお店の女の子が案内するままに奥へと進んでいく。しばらく行くと地下に降りられる階段があった。
「足元にお気を付けくださいね」
階段を降りるといくつかの部屋があり、お店の女の子が一際豪華な扉のある部屋の鍵を開けた。僕とルシアは部屋の中に案内される。
『ほう。なるほどな』
声を漏らしたルシアの方を振り返ってみると、ニヤリと笑う横顔が見えたのだった。
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