⚔️師範を殺したくない俺(勇者)と、弟子に殺されたい私(魔王)

良音 夜代琴

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目覚め(俺)

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 目が覚めた時、俺は知らない部屋のベッドの中だった。

 天井は木で、壁も木で……木に囲まれた古い小屋には、俺がいたボロ小屋みたいなカビの臭いも腐った木の臭いもしない。
 俺を包むのは、今まで触れた事もなかったふかふかの布団だ。


 あ……身体……。

 どこも痛くない……。


 って事は、俺は死んだのか?

 死んだ後は地獄ってとこに行くんだと聞いていたが、ここがそうなんだろうか。
 俺はこれからここで何をすればいいんだろう。


 ぼんやりと部屋の中を見回す。

 難しそうな本がたくさん積まれていて、上には埃が被っている。
 壁の一面には本棚、窓はカーテンが閉められてる。
 部屋の角に簡素な机と椅子。
 落ち着いた木目の机の上には本が一冊と小さなランプ。
 この辺りは日頃使われているのか、埃は無かった。

 キィと小さく木の軋む音がしてそちらを見れば、さらりと揺れる銀色の髪。
 細い眼鏡の向こうから闇色の瞳が俺を見て、驚いたように見開かれた。

 そうだ。この人は確かにあの時見た……。


「良かった、目が覚めたんですね。痛いところはありませんか?」

 美しい人は、その姿によく合う柔らかな声でそう尋ねた。


 ……俺の……事だろうか……?


 ベッドに座ったまま、後ろを振り返る。
 そう広くないこの部屋には、俺とこの人しかいないようだ。


「ふふ、あなたの事ですよ」

 小さく笑うその人は、輝くように美しかった。
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