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番外編
拉致監禁される中隊長達のお話(14/14)『エピローグ』(レインズ視点)
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***
そこから先の事はよく覚えていない。
薬のせいなのか、それとも、ルスのせいか。
……どっちもだろうな。
ルスのを入れた途端にイッた俺は、そのままルスに繰り返しイかされ続けた。
ルスは決して激しく突くことはなくて、俺が飛ばないギリギリのところで、俺の身体と理性をぐずぐずになるまで溶かしていった。
あの時、俺がなんて口走っていたのかは、知らないし、知りたくない。
ルスに誘われるまま……相当恥ずかしいことを言っていたのは、確かだな……。
あの部屋を出る頃には、イムノスは完全に敗北者の顔になっていて、茫然自失としていた。
なんか……、トラウマになったりしてねーかな。
ちょっと心配だな……。
「レイ? どうした?」
声をかけられて、俺は慌てて首を振る。
「や、なんでもねーよっ」
こないだのこと考えてたなんて知れたら、ルスがどんな反応をするか分からない。
下手したら、今夜も寝かせてもらえなくなる。
あれからルスは、俺のコントロールがめちゃくちゃ上手くなった。
つまり、飛ばされなくなった。
俺の身体の状態を正確に見極めて、飛ぶギリギリのところで手を止める。
だから長いんだよな。……夜が……。
はぁぁ。と大きなため息を内心で吐きながら、俺は数歩先を行くルスを追いかける。
別にするのは嫌じゃない。いや、ルスに求められるのは、すごい嬉しい。
けどさぁ、何事も、限度ってもんがあるよな……?
肩を並べて、俺よりほんの少し背の高いルスをチラリと見れば、小さな黒い瞳としっかり目が合った。
ふ。とルスが満足気な笑みを浮かべる。
「な、なんだよ……」
恥ずかしさから、思わず悪態をつけば、ルスがさらりと答える。
「お前は今日も美しいと思ってな」
「なっ…………っっ」
俺は、真っ赤になる顔を見られないように、慌てて足を早める。
俺達は今日、互いに城勤めの日勤で、城の隅にある騎士団の敷地内の、ほんの小さな中庭で一緒に昼食を摂っていた。
ルスの作った美味しい弁当を食べて、そろそろ戻ろうかとしていた所だ。
「……しかし、お前はあの時、よくあのサインに気付いたな」
背に声をかけられて、驚く。
何だ? ルスは、俺が何を考えてんのかまで分かるのか……?
ぽかんと見上げれば、ルスが苦笑した。
「なんだその顔は」
「いや……、えっと、あれだろ、あの烏退治の時のだろ?」
「ああ」
ルスはそう言うとほんの少し遠くを見た。
昔の事を思い出す時、いつもルスはこんな風にする。
学生の頃……、俺達が寮で同室になった頃だな。
まだ俺達が互いの名を略さず呼んでた頃だ。
光り物好きな烏が、生徒や先生達の貴重品を盗みまくってて、俺とルスで捕まえたことがある。
罠を仕掛けるにあたって「光り物なー。ガラス玉とかで良いよな?」と言う俺に、ルスは「もっと美しい宝石もあるんだが、傷を付けられてはたまらないからな」と言った。
「なんだそれ、ルストック、宝石とか持ってんのか?」と首を傾げる俺に、ルスが至って真面目な顔で指したのは、俺の瞳だった。
俺が真っ赤になって撃沈したのは、当然だ。
「なあ、ルスはさ、俺の……目……、あの頃から気に入ってくれてたのか?」
俺の事、あの頃から、少しは好きでいてくれたんだろうか。
そこまでは尋ねきれないまま問う俺に、ルスは、ふっと笑って言う。
「俺は、お前に出会ってからずっと、お前の事を最高に美しい男だと思っているぞ」
「――――――なっっ……!?」
な……。なんっっっ、だよそれぇぇぇぇ……。
日中のこんなっっ。ほんの昼休みに、さらりと言っていい台詞じゃねーだろっっっ!?
俺は、力が入らなくなって、ヘナヘナとその場にしゃがみ込む。
「あの時は、お前の青い瞳が、あの烏に齧られやしないかと冷や冷やしたものだ」
ルスは俺の隣で立ち止まると、手を差し伸べながら言う。
作戦の前夜、寮の、ルスのベッドの上で作戦の最終確認をしてた時だ。
「じゃあもし烏が俺の目玉狙ってきたらどうする?」
俺が冗談のつもりで笑って言うと、ルストックは「その時は作戦中止だ。撤退しよう」と即答した。
「えっ、そん時ここまで作戦が進んでてもか?」
紙を指しながらの俺の問いに、ルストックは「ああ、お前の身の安全が最優先だ」と答えた。
なんだか、大事にされてるようで胸が跳ねた。
でも、俺が荷物になるようじゃ困るよな。
「あ、じゃあさ、サイン決めとくってのはどうよ」
「サイン……?」
「俺が、まだいける間はこうな『俺に構わずやれ』のサイン!」
俺が、その場で思いついたハンドサインを繰り出すと、ルストックは苦笑する。
「ふむ、名前はともかく、作戦を遂行せよということだな」
「なんだよー、かっこいいだろ? 俺に構わずやれ!!」
「……そう言うことにしておこう」
ルストックはいつもの落ち着いた様子でクスクス笑っていた。
ほんのこれだけの会話だったのに。ルスがこれをずっと忘れないでいてくれたことが、本当に嬉しかった。
しゃがみ込んだ俺の手を掴んだルスに、ぐいと引き上げられて、俺は勢い余ってルスの胸に飛び込んでしまう。
いや、これはルスがわざとやったんだな。
ルスは俺をそっと一度だけ抱きしめて、離した。
「レイ、午後も気を引き締めて、頑張れよ」
柔らかく微笑まれて、やっと引いた頬の赤みが戻ってしまいそうになるのを必死で堪える。
いや、俺を緩ませてんのはお前だろ?
「ルスも、ヘマすんなよっ」
俺が言い返せば「ああ」と優しい声が返る。
そのまま、ひらひらと手を振って、ルスは俺に背を向けると新人研修棟へ向かって歩き出した。
杖を付きつつ、それでもはっきりとした足取りで。
俺は、そんなルスを見送りながら、隣の棟へと足を向ける。
あの烏に、俺ごと網をかけたのはルスだった。
あの烏は、ルストックが心配したとおり、ガラス玉を咥え込んだだけでは飽き足らず、俺の顔を目掛けて突っ込んできた。
俺は、顔をガードしながら、昨日決めたばかりのサインを出した。
「レイっ大丈夫かっっ!?」
駆け付けたルストックに冷や汗が滲む手で両頬を挟まれて、至近距離で顔を覗き込まれて、俺は真っ赤になった。
ルストックは、俺の瞳を両方ともじっと見つめてから、ほうっと息を吐いた。
「……無事で、良かった……」
そこまでで、俺は気付く。今、ルストックに名を短く呼ばれたことに。
「ルストック……。今、俺のこと、レイって……」
「ああ、すまん。つい焦っていて……」
「……いや、嬉しい…………」
思わずぽろりと溢れた本音に、俺はハッと口元を覆う。
ルストックはそんな俺を優しく見つめて言った。
「そうか。じゃあこれからは、レイと呼ばせてもらおうか」
「じゃっ、じゃあ俺もっ、ルスって呼んでもいいか!?」
俺が慌てて返せば、ルスはやはり、優しい声で「ああ」と答えた。
そうだよな。あれからだったんだよな。
ルスが俺のこと、短く呼んでくれるようになったの。
学生の間はずっと、朝起きてから寝る時まで、そうやって呼んでくれてた。
騎士団に入ってからは、隊員達の手前、長く呼ばれるようになったけど。
それでも、時々短く呼んでくれるのが、すげぇ嬉しかった。
……まさか、こんな風にまた毎日、レイって呼ばれて、俺もルスって呼べる日が来るとは思わなかったよな……。
「ルス……」
今も昔も変わらず大切でたまらない人の名は、俺の口から自然に零れていた。
胸に滲む幸せに、どうしようもなく頬が緩んでしまう。
まあ、今となっては短い方に慣れちまって『騎士団内ではちゃんと呼べ』ってよく叱られてんだけどな。
俺は、小言を言うルスの顔を思い浮かべて、苦笑してしまいそうな頬を精一杯引き締めながら、駆け出した。
そこから先の事はよく覚えていない。
薬のせいなのか、それとも、ルスのせいか。
……どっちもだろうな。
ルスのを入れた途端にイッた俺は、そのままルスに繰り返しイかされ続けた。
ルスは決して激しく突くことはなくて、俺が飛ばないギリギリのところで、俺の身体と理性をぐずぐずになるまで溶かしていった。
あの時、俺がなんて口走っていたのかは、知らないし、知りたくない。
ルスに誘われるまま……相当恥ずかしいことを言っていたのは、確かだな……。
あの部屋を出る頃には、イムノスは完全に敗北者の顔になっていて、茫然自失としていた。
なんか……、トラウマになったりしてねーかな。
ちょっと心配だな……。
「レイ? どうした?」
声をかけられて、俺は慌てて首を振る。
「や、なんでもねーよっ」
こないだのこと考えてたなんて知れたら、ルスがどんな反応をするか分からない。
下手したら、今夜も寝かせてもらえなくなる。
あれからルスは、俺のコントロールがめちゃくちゃ上手くなった。
つまり、飛ばされなくなった。
俺の身体の状態を正確に見極めて、飛ぶギリギリのところで手を止める。
だから長いんだよな。……夜が……。
はぁぁ。と大きなため息を内心で吐きながら、俺は数歩先を行くルスを追いかける。
別にするのは嫌じゃない。いや、ルスに求められるのは、すごい嬉しい。
けどさぁ、何事も、限度ってもんがあるよな……?
肩を並べて、俺よりほんの少し背の高いルスをチラリと見れば、小さな黒い瞳としっかり目が合った。
ふ。とルスが満足気な笑みを浮かべる。
「な、なんだよ……」
恥ずかしさから、思わず悪態をつけば、ルスがさらりと答える。
「お前は今日も美しいと思ってな」
「なっ…………っっ」
俺は、真っ赤になる顔を見られないように、慌てて足を早める。
俺達は今日、互いに城勤めの日勤で、城の隅にある騎士団の敷地内の、ほんの小さな中庭で一緒に昼食を摂っていた。
ルスの作った美味しい弁当を食べて、そろそろ戻ろうかとしていた所だ。
「……しかし、お前はあの時、よくあのサインに気付いたな」
背に声をかけられて、驚く。
何だ? ルスは、俺が何を考えてんのかまで分かるのか……?
ぽかんと見上げれば、ルスが苦笑した。
「なんだその顔は」
「いや……、えっと、あれだろ、あの烏退治の時のだろ?」
「ああ」
ルスはそう言うとほんの少し遠くを見た。
昔の事を思い出す時、いつもルスはこんな風にする。
学生の頃……、俺達が寮で同室になった頃だな。
まだ俺達が互いの名を略さず呼んでた頃だ。
光り物好きな烏が、生徒や先生達の貴重品を盗みまくってて、俺とルスで捕まえたことがある。
罠を仕掛けるにあたって「光り物なー。ガラス玉とかで良いよな?」と言う俺に、ルスは「もっと美しい宝石もあるんだが、傷を付けられてはたまらないからな」と言った。
「なんだそれ、ルストック、宝石とか持ってんのか?」と首を傾げる俺に、ルスが至って真面目な顔で指したのは、俺の瞳だった。
俺が真っ赤になって撃沈したのは、当然だ。
「なあ、ルスはさ、俺の……目……、あの頃から気に入ってくれてたのか?」
俺の事、あの頃から、少しは好きでいてくれたんだろうか。
そこまでは尋ねきれないまま問う俺に、ルスは、ふっと笑って言う。
「俺は、お前に出会ってからずっと、お前の事を最高に美しい男だと思っているぞ」
「――――――なっっ……!?」
な……。なんっっっ、だよそれぇぇぇぇ……。
日中のこんなっっ。ほんの昼休みに、さらりと言っていい台詞じゃねーだろっっっ!?
俺は、力が入らなくなって、ヘナヘナとその場にしゃがみ込む。
「あの時は、お前の青い瞳が、あの烏に齧られやしないかと冷や冷やしたものだ」
ルスは俺の隣で立ち止まると、手を差し伸べながら言う。
作戦の前夜、寮の、ルスのベッドの上で作戦の最終確認をしてた時だ。
「じゃあもし烏が俺の目玉狙ってきたらどうする?」
俺が冗談のつもりで笑って言うと、ルストックは「その時は作戦中止だ。撤退しよう」と即答した。
「えっ、そん時ここまで作戦が進んでてもか?」
紙を指しながらの俺の問いに、ルストックは「ああ、お前の身の安全が最優先だ」と答えた。
なんだか、大事にされてるようで胸が跳ねた。
でも、俺が荷物になるようじゃ困るよな。
「あ、じゃあさ、サイン決めとくってのはどうよ」
「サイン……?」
「俺が、まだいける間はこうな『俺に構わずやれ』のサイン!」
俺が、その場で思いついたハンドサインを繰り出すと、ルストックは苦笑する。
「ふむ、名前はともかく、作戦を遂行せよということだな」
「なんだよー、かっこいいだろ? 俺に構わずやれ!!」
「……そう言うことにしておこう」
ルストックはいつもの落ち着いた様子でクスクス笑っていた。
ほんのこれだけの会話だったのに。ルスがこれをずっと忘れないでいてくれたことが、本当に嬉しかった。
しゃがみ込んだ俺の手を掴んだルスに、ぐいと引き上げられて、俺は勢い余ってルスの胸に飛び込んでしまう。
いや、これはルスがわざとやったんだな。
ルスは俺をそっと一度だけ抱きしめて、離した。
「レイ、午後も気を引き締めて、頑張れよ」
柔らかく微笑まれて、やっと引いた頬の赤みが戻ってしまいそうになるのを必死で堪える。
いや、俺を緩ませてんのはお前だろ?
「ルスも、ヘマすんなよっ」
俺が言い返せば「ああ」と優しい声が返る。
そのまま、ひらひらと手を振って、ルスは俺に背を向けると新人研修棟へ向かって歩き出した。
杖を付きつつ、それでもはっきりとした足取りで。
俺は、そんなルスを見送りながら、隣の棟へと足を向ける。
あの烏に、俺ごと網をかけたのはルスだった。
あの烏は、ルストックが心配したとおり、ガラス玉を咥え込んだだけでは飽き足らず、俺の顔を目掛けて突っ込んできた。
俺は、顔をガードしながら、昨日決めたばかりのサインを出した。
「レイっ大丈夫かっっ!?」
駆け付けたルストックに冷や汗が滲む手で両頬を挟まれて、至近距離で顔を覗き込まれて、俺は真っ赤になった。
ルストックは、俺の瞳を両方ともじっと見つめてから、ほうっと息を吐いた。
「……無事で、良かった……」
そこまでで、俺は気付く。今、ルストックに名を短く呼ばれたことに。
「ルストック……。今、俺のこと、レイって……」
「ああ、すまん。つい焦っていて……」
「……いや、嬉しい…………」
思わずぽろりと溢れた本音に、俺はハッと口元を覆う。
ルストックはそんな俺を優しく見つめて言った。
「そうか。じゃあこれからは、レイと呼ばせてもらおうか」
「じゃっ、じゃあ俺もっ、ルスって呼んでもいいか!?」
俺が慌てて返せば、ルスはやはり、優しい声で「ああ」と答えた。
そうだよな。あれからだったんだよな。
ルスが俺のこと、短く呼んでくれるようになったの。
学生の間はずっと、朝起きてから寝る時まで、そうやって呼んでくれてた。
騎士団に入ってからは、隊員達の手前、長く呼ばれるようになったけど。
それでも、時々短く呼んでくれるのが、すげぇ嬉しかった。
……まさか、こんな風にまた毎日、レイって呼ばれて、俺もルスって呼べる日が来るとは思わなかったよな……。
「ルス……」
今も昔も変わらず大切でたまらない人の名は、俺の口から自然に零れていた。
胸に滲む幸せに、どうしようもなく頬が緩んでしまう。
まあ、今となっては短い方に慣れちまって『騎士団内ではちゃんと呼べ』ってよく叱られてんだけどな。
俺は、小言を言うルスの顔を思い浮かべて、苦笑してしまいそうな頬を精一杯引き締めながら、駆け出した。
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