3 / 9
3.
しおりを挟む 紫音が思っているのと同じように、ライオネルもこの1ヶ月本当に幸せだった。
実は紫音がたまにじっと座り込んだりしているのは見た事があったが、紫音自身が心配かけないように隠しているようだったので、見て見ぬ振りをしていた。
それがこの間はとうとう隠しきれなかったようで執務室で倒れた。
毎日こっそり回復魔法をかけているが、最近急激にかかりが悪くなった。
ーーもういよいよ別れの時間が迫っているかとでも言うように。
認めたくない。
せっかく心が繋がったようなのに。
何が龍人の血が流れているだ。
何も役にたたないじゃないか。
俺は龍人の血が割と濃いらしく、魔力量が人より多いし、生命力も強い。どの種類の回復魔法も得意だ。
だが、紫音の症状は全く分からない。異世界特有の病なのか。。。
龍人はかつて番と呼ばれる伴侶がいてお互いその1人だけを愛し続けたという。そして、愛した者を事故等で失うと気が狂ってしまう者も多数いたという。
今なら理解出来る気がした。
紫音が現れるまで、恋などしたことがなかったし、そもそも恋愛に興味が無かった。
それが紫音が現れてから世界が変わった。紫音と過ごす世界は輝いて見えたのだ。
そんな紫音が失われようとしているなんて狂ってしまいそうだ。
……俺は諦めない。
まだ紫音と会って1年も経って無いのだ、お互い離れていた期間もある。まだまだ一緒に過ごしたい。
紫音は平気そうにしてるが、体は平気では無いのだろう、日々寝てる時間が増えている。
俺は紫音の寝ている時間を利用して、あらゆる病気について調べている。早くしないと逝ってしまいそうだから。
最近紫音の眼差しが申し訳なさと諦めを抱いているように見える。気を使う紫音だから申し訳なさは分かるが、諦めはなぜなのか?
まさか紫音はこうなる事が分かっていたのだろうか?
そして、今日はヤらないかと誘ってきた。
平常時であれば乗りたいくらいだが、今は少しでも体力を温存してほしい。少しでも時間を稼ぎたいのだ。
ーー紫音の熱が出始めて2週間が経過した頃。
紫音の起きている時間が極端に減ってきた。日中は細切れで4時間位しか起きていられないようだ。
容態が急変してしまわないか怖くて、良くないとは分かっていても、また執務室に連れてソファで寝させるようになった。
絶望がひしひしと伝わる中でも仕事はしなくてはいけない。
今日も無言で執務を行なっていると、ルイスが話しかけてきた。
「ライオネル様酷い顔をしていますよ。寝る時間を削って調べ物をしているとうかがいました。少しお休みになられないと、シオン君が心配しますよ」
暫く無言だったが、寝ている紫音をチラッと見た後、ライオネルはポツリと呟く。
「……ダメだ。このままではもう逝ってしまうんだ」
今まで堪えていた弱音をルイスに吐く。
紫音は熱がある事と起きている時間が少ない事を除けば、顔色が悪い訳でも痩せ細ってきている訳でもない為、見た目は健康そのものなのだ。
「やはりシオン君の言う通りライオネル様はご存知だったんですね」
「シオンは自分が弱っている事を知っていたのだな……」
「シオン君は逆にライオネル様が寿命を感じ取っている事に驚いていましたよ」
「…………寿命!? どう言う事だ? まだ18歳だろう? 詳しく話せルイス!」
「あれ? そこ辺りはご存知無かったのですね。これはシオン君から聞いた話なのですが……」
興奮して聞いてくるライオネルに、ルイスは以前シオンから聞いた”ドール”の体質や特殊能力、寿命について話していた。
「寿命……。(本当に寿命なら何とかなるかもしれない)明日の執務は休む! 2人でなんとかしてくれ。今日も最低限終わったらあがる! いいな」
ライオネルは有無を言わせず、手元にある書類を終わらせると、紫音を抱き抱え自室に戻って行った。
アインとルイスは何だか良く分からないが、ライオネルの憂いを少しでも晴らせるようなら良かったと思った。
実は紫音がたまにじっと座り込んだりしているのは見た事があったが、紫音自身が心配かけないように隠しているようだったので、見て見ぬ振りをしていた。
それがこの間はとうとう隠しきれなかったようで執務室で倒れた。
毎日こっそり回復魔法をかけているが、最近急激にかかりが悪くなった。
ーーもういよいよ別れの時間が迫っているかとでも言うように。
認めたくない。
せっかく心が繋がったようなのに。
何が龍人の血が流れているだ。
何も役にたたないじゃないか。
俺は龍人の血が割と濃いらしく、魔力量が人より多いし、生命力も強い。どの種類の回復魔法も得意だ。
だが、紫音の症状は全く分からない。異世界特有の病なのか。。。
龍人はかつて番と呼ばれる伴侶がいてお互いその1人だけを愛し続けたという。そして、愛した者を事故等で失うと気が狂ってしまう者も多数いたという。
今なら理解出来る気がした。
紫音が現れるまで、恋などしたことがなかったし、そもそも恋愛に興味が無かった。
それが紫音が現れてから世界が変わった。紫音と過ごす世界は輝いて見えたのだ。
そんな紫音が失われようとしているなんて狂ってしまいそうだ。
……俺は諦めない。
まだ紫音と会って1年も経って無いのだ、お互い離れていた期間もある。まだまだ一緒に過ごしたい。
紫音は平気そうにしてるが、体は平気では無いのだろう、日々寝てる時間が増えている。
俺は紫音の寝ている時間を利用して、あらゆる病気について調べている。早くしないと逝ってしまいそうだから。
最近紫音の眼差しが申し訳なさと諦めを抱いているように見える。気を使う紫音だから申し訳なさは分かるが、諦めはなぜなのか?
まさか紫音はこうなる事が分かっていたのだろうか?
そして、今日はヤらないかと誘ってきた。
平常時であれば乗りたいくらいだが、今は少しでも体力を温存してほしい。少しでも時間を稼ぎたいのだ。
ーー紫音の熱が出始めて2週間が経過した頃。
紫音の起きている時間が極端に減ってきた。日中は細切れで4時間位しか起きていられないようだ。
容態が急変してしまわないか怖くて、良くないとは分かっていても、また執務室に連れてソファで寝させるようになった。
絶望がひしひしと伝わる中でも仕事はしなくてはいけない。
今日も無言で執務を行なっていると、ルイスが話しかけてきた。
「ライオネル様酷い顔をしていますよ。寝る時間を削って調べ物をしているとうかがいました。少しお休みになられないと、シオン君が心配しますよ」
暫く無言だったが、寝ている紫音をチラッと見た後、ライオネルはポツリと呟く。
「……ダメだ。このままではもう逝ってしまうんだ」
今まで堪えていた弱音をルイスに吐く。
紫音は熱がある事と起きている時間が少ない事を除けば、顔色が悪い訳でも痩せ細ってきている訳でもない為、見た目は健康そのものなのだ。
「やはりシオン君の言う通りライオネル様はご存知だったんですね」
「シオンは自分が弱っている事を知っていたのだな……」
「シオン君は逆にライオネル様が寿命を感じ取っている事に驚いていましたよ」
「…………寿命!? どう言う事だ? まだ18歳だろう? 詳しく話せルイス!」
「あれ? そこ辺りはご存知無かったのですね。これはシオン君から聞いた話なのですが……」
興奮して聞いてくるライオネルに、ルイスは以前シオンから聞いた”ドール”の体質や特殊能力、寿命について話していた。
「寿命……。(本当に寿命なら何とかなるかもしれない)明日の執務は休む! 2人でなんとかしてくれ。今日も最低限終わったらあがる! いいな」
ライオネルは有無を言わせず、手元にある書類を終わらせると、紫音を抱き抱え自室に戻って行った。
アインとルイスは何だか良く分からないが、ライオネルの憂いを少しでも晴らせるようなら良かったと思った。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
絶対にお嫁さんにするから覚悟してろよ!!!
toki
BL
「ていうかちゃんと寝てなさい」
「すいません……」
ゆるふわ距離感バグ幼馴染の読み切りBLです♪
一応、有馬くんが攻めのつもりで書きましたが、お好きなように解釈していただいて大丈夫です。
作中の表現ではわかりづらいですが、有馬くんはけっこう見目が良いです。でもガチで桜田くんしか眼中にないので自分が目立っている自覚はまったくありません。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/110931919)

もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない
バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《 根暗の根本君 》である地味男である< 根本 源 >には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染< 空野 翔 >がいる。
ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない??
イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる