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しおりを挟む「やんっ」
恥ずかしそうに身体をよじる松宮の白々しい演技に見ているこっちが気分を落とす。
「俺もうフミちゃんに見られてるだけで……あっ、間違った……やだ……わたしったら。お客さまの視線にドキドキしちゃって」
「色々と本音出てきてるぞ。というか、フミちゃんって呼ぶな」
「ならお客さまをなんとお呼びしたらよろしですか」
「一旦閉口しろ」
「はい、承知いたしました。一旦閉口しろさまでございますね」
「そういうノリで乗り切るなっ」
「ふふ、ノリに乗りをかけるだなんて……一旦閉口しろさまもノリノリでいらっしゃいますね」
「ああ、そうだとも。一旦閉口しろさまはとにかく興奮してるだろうね。だが俺はその真逆で、今すぐにでも帰りたい」
「おかえりえっちします?」
「何故そういう話になる?」
門倉はため息をついた。松宮がいかにクレイジーかはずっと前から知ってはいた。そして、こういう状況になった際、彼は手強いということも。どうやって逃れるべきか。
「では一旦閉口しろさま。コースのご案内をいたします」
「勝手にしてろ。俺は一旦閉口しろさまじゃないから帰る」
「なら、お客さま、門倉フミちゃんさま」
「その呼び名やめろって!!」
「ならなんとお呼びしたら?」
「はげろ、松宮」
「えっ。ま、松宮とおっしゃるのですか? ま、まさか……門倉さんから松宮という名字が発せられるとは……俺、門倉家に嫁ぐ気満々だったのに。婿に来ていただくのも想像しただけで、ぞくぞくしますね」
「そっちではなく、はげろって言ったんだよ」
「頭髪のなくなるまで、永遠に一緒にいましょう」
「どうしてそうなる? お前の頭は都合のいいことしか拾わないのか」
「あいにくポジティブ思考なので。えへっ。じゃ、コースの説明しますね」
「あーあー聞こえなーい」
「まず『永遠』コース、こちらの料金は無料。『永久』コース、こちらの料金も無料」
「一秒コース、延長なしで」
「はーい、『永遠の愛を永久の恋と共に誓う』コース、延長無限大で承ります」
「頼んだのと違う商品が出てきたらクレームもんだぞ」
「そんなクレームも愛のうちっ」
「ち×こ、おったてながら言うのがそのセリフか?」
松宮がきゃっとはしゃぎながら、自身の股間を隠した。
「門倉さん、今の、きました?」
「何が?」
「恥らいに弱いのが男ってもんでしょう」
「ならお前という男はすこしくらい恥じらいを覚えてくれ」
「ち×こ、我慢するの辛いので、オナってもいいですか」
「俺を巻き込まないでくれ」
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