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「で」
ようやくシャワーを浴びられた門倉は、ベッドに横になっている松宮の尻たぶをつまみながら、言った。相変わらず、いい形をしている。つまみ甲斐のあるいい尻だ。
「お前はどうどうと俺のベッドを占領しているが、いつまでそうしているんだ?」
「ええ~、そんなの、ダーリンと一緒に朝までぐっすりするまで、ですよぉ」
甘えるような男の声に、門倉は、げんなりした。
「いいから、シャワー浴びてこい」
「門倉さんが、一緒にお風呂入ってくれるなら」
「そんなスペースがあるか。俺ん家の風呂は狭いんだよ! どこかの誰かさん家とは違ってな!」
「そんなあ」
松宮はにやりとして笑った。桃色の頬に自身の両手をあてている。
「門倉さんから、浴室エッチのお誘い、受けちゃいましたぁ」
「だから、んなもん、俺は誘ってねえ! とっととシャワー浴びて帰れ!」
「いやですってばぁ」
「入れ!」
「んもぉ。門倉さんのお尻さわられていると、また発情しちゃうじゃないですか。もう、ダーリン。愛している!」
がばっと、松宮の両腕が、広がった。慌てて逃げようとした門倉だったが、松宮の餌食になる。ぎゅーっと激しく抱き着かれて、門倉は、眉根を寄せる。
「やぁん。ダーリンってば、照れ屋さぁん。そんなにデレデレしてると、お尻、狙っちゃうぞ!」
「……帰ってくれ」
「三発目、行っちゃいますか?」
「三発どころか、お前もっといってたよな? ……絶倫かよ。ていうか帰ってください」
やはり、ない。
門倉は大きくため息をついた。
自分の人生には「癒し」という文字が足りない。自宅に観賞用植物でも育てるか。小さいやつ。サボテンとか。ああ、いや、どうせ枯らしてしまうし、な。
「門倉さん! はい、勃起しましょうねぇ」
松宮が嬉々として、門倉の下半身を狙いだしたので、防御に専念しなくてはならない門倉の夜はまだこれから――いや、もう朝に近づいているのだが。(了)
「で」
ようやくシャワーを浴びられた門倉は、ベッドに横になっている松宮の尻たぶをつまみながら、言った。相変わらず、いい形をしている。つまみ甲斐のあるいい尻だ。
「お前はどうどうと俺のベッドを占領しているが、いつまでそうしているんだ?」
「ええ~、そんなの、ダーリンと一緒に朝までぐっすりするまで、ですよぉ」
甘えるような男の声に、門倉は、げんなりした。
「いいから、シャワー浴びてこい」
「門倉さんが、一緒にお風呂入ってくれるなら」
「そんなスペースがあるか。俺ん家の風呂は狭いんだよ! どこかの誰かさん家とは違ってな!」
「そんなあ」
松宮はにやりとして笑った。桃色の頬に自身の両手をあてている。
「門倉さんから、浴室エッチのお誘い、受けちゃいましたぁ」
「だから、んなもん、俺は誘ってねえ! とっととシャワー浴びて帰れ!」
「いやですってばぁ」
「入れ!」
「んもぉ。門倉さんのお尻さわられていると、また発情しちゃうじゃないですか。もう、ダーリン。愛している!」
がばっと、松宮の両腕が、広がった。慌てて逃げようとした門倉だったが、松宮の餌食になる。ぎゅーっと激しく抱き着かれて、門倉は、眉根を寄せる。
「やぁん。ダーリンってば、照れ屋さぁん。そんなにデレデレしてると、お尻、狙っちゃうぞ!」
「……帰ってくれ」
「三発目、行っちゃいますか?」
「三発どころか、お前もっといってたよな? ……絶倫かよ。ていうか帰ってください」
やはり、ない。
門倉は大きくため息をついた。
自分の人生には「癒し」という文字が足りない。自宅に観賞用植物でも育てるか。小さいやつ。サボテンとか。ああ、いや、どうせ枯らしてしまうし、な。
「門倉さん! はい、勃起しましょうねぇ」
松宮が嬉々として、門倉の下半身を狙いだしたので、防御に専念しなくてはならない門倉の夜はまだこれから――いや、もう朝に近づいているのだが。(了)
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