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2019
12月②コンパートメント/銀杏/風吹く帰り道
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コンパートメント 2019.12.04
通勤電車の右側のドアが開く。
いつもの時間。
彼が乗り込んでくる。
僕のいるコンパートメントで足を止め、
普段のように真向かいに座る彼。
名前も知らない。
膝と膝がぶつかり合って、
軽く誤り伸ばした足を縮こませる。
ただの通行人。
それでも気になる存在。
ああ、
いつになったら
話しかけられるんだろう。
銀杏 2019.12.05
彼との帰り道。
黄金色に光る銀杏を見て
冬の初めの色彩を知る。
隣でぼんやりを木を見つめる
彼の横顔を眺めていたら、
落ち行く黄色の破片が
風になびき彼の髪の上に不時着した。
取ろうとして手を伸ばしたとき、
視線が交わる。
「いや、葉っぱついてたから」
言い訳みたいに早口で告げて
帰路を急ぐ。
風吹く帰り道 2019.12.06
迎えに行くよ、
なんてそんな文面。
飾り気も何もないそんな文面に
心躍らせて、
二段飛ばしの駅の階段。
駆け下りれば寒空の下、
手を振る彼が待っている。
「家で待っていてもいいのに」
脇腹を突きながら一緒に帰る、二人の家へ。
「今晩、飯どうする」
「任せる」
「おう」
吹く風は冷たいが繋ぐ手は暖かに。
通勤電車の右側のドアが開く。
いつもの時間。
彼が乗り込んでくる。
僕のいるコンパートメントで足を止め、
普段のように真向かいに座る彼。
名前も知らない。
膝と膝がぶつかり合って、
軽く誤り伸ばした足を縮こませる。
ただの通行人。
それでも気になる存在。
ああ、
いつになったら
話しかけられるんだろう。
銀杏 2019.12.05
彼との帰り道。
黄金色に光る銀杏を見て
冬の初めの色彩を知る。
隣でぼんやりを木を見つめる
彼の横顔を眺めていたら、
落ち行く黄色の破片が
風になびき彼の髪の上に不時着した。
取ろうとして手を伸ばしたとき、
視線が交わる。
「いや、葉っぱついてたから」
言い訳みたいに早口で告げて
帰路を急ぐ。
風吹く帰り道 2019.12.06
迎えに行くよ、
なんてそんな文面。
飾り気も何もないそんな文面に
心躍らせて、
二段飛ばしの駅の階段。
駆け下りれば寒空の下、
手を振る彼が待っている。
「家で待っていてもいいのに」
脇腹を突きながら一緒に帰る、二人の家へ。
「今晩、飯どうする」
「任せる」
「おう」
吹く風は冷たいが繋ぐ手は暖かに。
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