140字BL缶詰

阿沙🌷

文字の大きさ
上 下
708 / 716
2019

12月②コンパートメント/銀杏/風吹く帰り道

しおりを挟む
コンパートメント 2019.12.04
通勤電車の右側のドアが開く。
いつもの時間。
彼が乗り込んでくる。
僕のいるコンパートメントで足を止め、
普段のように真向かいに座る彼。
名前も知らない。
膝と膝がぶつかり合って、
軽く誤り伸ばした足を縮こませる。
ただの通行人。
それでも気になる存在。
ああ、
いつになったら
話しかけられるんだろう。

銀杏 2019.12.05
彼との帰り道。
黄金色に光る銀杏を見て
冬の初めの色彩を知る。
隣でぼんやりを木を見つめる
彼の横顔を眺めていたら、
落ち行く黄色の破片が
風になびき彼の髪の上に不時着した。
取ろうとして手を伸ばしたとき、
視線が交わる。
「いや、葉っぱついてたから」
言い訳みたいに早口で告げて
帰路を急ぐ。

風吹く帰り道 2019.12.06
迎えに行くよ、
なんてそんな文面。
飾り気も何もないそんな文面に
心躍らせて、
二段飛ばしの駅の階段。
駆け下りれば寒空の下、
手を振る彼が待っている。
「家で待っていてもいいのに」
脇腹を突きながら一緒に帰る、二人の家へ。
「今晩、飯どうする」
「任せる」
「おう」
吹く風は冷たいが繋ぐ手は暖かに。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

代わりでいいから

氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。 不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。 ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。 他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

年越しチン玉蕎麦!!

ミクリ21
BL
チン玉……もちろん、ナニのことです。

処理中です...