140字BL缶詰

阿沙🌷

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2019

10月①待ち合わせ/コーヒーを待つ/くさい台詞と白い息/ハロウィン・ハザード

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待ち合わせ

最悪の大寝坊。
短針と長針が
結ばれたロミオとジュリエットのように
重なりあっている。
財布をポケットにねじ込んだ。
約束は正午にバス停集合、
間に合うだろうか。
玄関を飛び出せば、
彼に追突した。
「昨日遅くまで電話してただろ、
もう楽しみ過ぎて来ちゃった」
俺の寝癖を指摘する彼に敵うはずがない。

2019.10.27


コーヒーを待つ

粉の待つフィルターに湯を注ぐ。
立ち上がる煙に交じるのは朝の香り。
普段なら忙しくて見落としがちな些細な幸福を吸い込んで、吐く。
「おい、コーヒーまだ?」
不機嫌そうな君の顔を雑誌の端から覗かせて僕をにらむ。
「お前、ここ、喫茶店じゃないんだぞ」
文句を言いながらも、これだって些細な幸福だ。

2019.10.26


くさい台詞と白い息

「う、寒ぃ」
彼は自身を自分で抱きしめるにしてして小刻みに震えている。
「急に冷えたよな」
困ったような視線を向けられて
「僕が温めてやろうか」と、
つるりと言葉が出てきてしまった。
返答までの間が一瞬、言い訳を考えてあがる心拍数。
「漫画の台詞かよ」
ため息と安堵を吐き出して白い息で笑う。

2019.10.25


ハロウィン・ハザード

彼のハロウィンに洗脳されている。
ゴーストだのヴァンパイアだの物騒な話ばかりだ。
「あの、まだ先の話じゃない?」
そう伝えれば、彼の視線は僕の手元に移った。
「企業に踊らせれてんのかな、俺たち」
「お前だけだ」と言おうとして愛飲の清涼飲料、
パッケージはパンプキンに化けている。

2019.10.23
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