上 下
4 / 4

4.

しおりを挟む
「だ、だめだ。離してくれ」
 外で上がった声に不安が湧き上がってくる。一之瀬は必死に牧田に許しを乞おうとした。だが、牧田は許さなかった。
「だめです。ここで、して。早く済ませば、ばれませんから」
 揺るぎのない口調でノーをつきつけられて、一之瀬はただ諦めの中に落とされる。勝手に瞳の端に涙が浮かんできてしまう。それを牧田に指摘されるわけにはいかない。唇の裏側を悔しさとともに噛みしめて、そっと自身をしごき始めた。
「う……っ、うう」
 一之瀬の手に触れると、中心はそれを待っていたかのように硬さを増した。上下に刷り上げ、裏筋を撫でる。いつものやり方でしごくが、牧田の視線を感じて、余計に興奮が高まる。
 溢れる吐息に艶が出てくる。一ノ瀬のペニスは順調に膨らみ始め、欲を孕む。
「見られて善がって、本当にどうしようもない人間ですね」
 耳元でささやかれる牧田の声すら興奮材料と化す。
「あ、おい、やめろよ」
「何を? 何もしてませんよ。しているのは、あなた」
 声をかけられるたびに背筋がぴりぴりとする。堪らなくなって静止を求めたが、逆に何度も吐息を駆けられて、一之瀬はたまらなくなり身をよじった。しかし、牧田から逃れることが出来ない。
「うわぁ、先走りだらだらですね。愛液みたいにたくさん溢れてきてる」
「い、いうな……」
 一之瀬が上下にするたびに先端からぷくりと水気があがる。それを揶揄するように指摘され、一之瀬は全身に秘が付いたように熱くなる。
「あっ、な、何を!?」
 背後から押される力が突然強くなって一ノ瀬のペニスがガラスに擦り付けられ上下に揺すられる。先走りが窓に付着し、広がる。
 冷たいガラスもだんだんと一ノ瀬の欲望の体温で温められ、ぬめりをまして曇っていく。
「あっ、あ、あん、や、やっ、やめっぁっんんっ」
 まるで窓ガラスで床オナするような状況に――それも意思とは関係なく強引にすられる刺激によって――一ノ瀬は成すすべもなく高められていく。
「嫌って言うわりには喜んでいますけれどね」
 一ノ瀬の下半身はビクビクと脈を打ち精を放った。
 荒い息を整え、これで開放されると期待する一ノ瀬だったが。
「あらら、汚してしまいましたね。そのまま、きれいにしてください」
 次に出された支持に呆然とする他なかった。
「自分で放ったものの処理くらい、していただかないと……」
「ま、まさか」
「ええ、舐めてお掃除くらいできるでしょう?」
 吐精したものでべったりと汚れた窓ガラス。そこに舌を這わせろと言われ絶句する。
「出来ないなら……どうなるでしょうねぇ、写真を播かれたくはないでしょう?」



(了)
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

好きな人に迷惑をかけないために、店で初体験を終えた

和泉奏
BL
これで、きっと全部うまくいくはずなんだ。そうだろ?

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

俺は触手の巣でママをしている!〜卵をいっぱい産んじゃうよ!〜

ミクリ21
BL
触手の巣で、触手達の卵を産卵する青年の話。

フルチン魔王と雄っぱい勇者

ミクリ21
BL
フルチンの魔王と、雄っぱいが素晴らしい勇者の話。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

処理中です...