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✿03:淫紋の次は淫呪かよ、知りたくなんかない!!

***01.夜の道(1)たぶん※

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(ちっくしょぉ……っ!)

 あたりはすっかり闇夜に落ちて。いまだ世界は目覚めることを知らない。
 こんな暗闇のなかにふたつの足音が響き渡る。しっかりとした革靴の刻む足音と、どこかおぼつない怪しいリズム。
 その正体は、グレイと癒月だった。

「大丈夫?」

 にやりと破顔しながら癒月のすぐそばに控えて歩くグレイが癒月をかばうかのようにその腰に腕を回してくる。

「ひゃっ!!」

 それだけで、大げさに反応してしまう癒月にグレイは余計にそそられるらしい。
 変な術をかけられている。
 それも、かなり、破廉恥な。

 かつて勇者であり、魔王を倒すほど上り詰めたユージィンこと、癒月であったが、魔法院という謎の研究機関からその機関が独自に集めていたスキルを盗んだと糾弾され、仲間を失ってこの辺境の地・ローザタウンにまで流刑されてしまった。

 この辺境の地はいわくのある土地で外部の土地のひとはこの地に足をつけた人間を街のそとに出したくはないらしい。そのため、年に一度、一人にしか街の外に出れないように制度が決められており、そのひとりを決めるのは、いかに街の住民から支持を集めて署名を収集するか、にかかっている。
 そんな状況下、癒月の目の前に現れた謎の存在、美しき見た目とは真逆で癒月を次々と淫靡な目に合わせるソウビ・アイ。かやつに、高度発情と自慰無効と後ろがほぐれる淫紋を施されてしまった癒月。解除するためにはソウビに許しを請わねばならず、ソウビはさくっと男をたぶらかして寝てこいと癒月に指示した。
 いかに悪魔的な状況か。

(そもそも、俺はそういう変な趣味はもってねーっての!)

 などと、思いながらも、高ぶらせた体で必死に呼び止めたグレイに媚びを売ってしまった癒月。
 なぜ、こんな目に遭わなくてはならない? ソウビは魔王がいなくなったことで新しく出現した大魔王をいやらしい意味で懐柔するいやらしい意味での勇者を育成したがっている。
 そんなソウビのお眼鏡にかなってしまったからこんな目に?

(いやいや、これ絶対っ、俺、被害者だよね!?)

 訴える場所があるのなら訴えてやりたいぐらいだ。だが、今はそれ以上に。

「ひゃああっ!」

 道の中ほどで、癒月は足を止めた。着ている服が動くたびに摺れる。たったそれだけの些細な刺激でさえ今の彼には拷問に等しかった。
 びくびくっと震えだす全身に、癒月の足から徐々に力が抜けていく。
 股間は張り裂けそうで痛い。なのに、寸前で止めらえているような感覚でいっこうに達することができないでいた。

「おっと」

 よろめいた癒月を大きな男の腕が支える。

「ほんと、今日は可愛いんだね。この前も可愛かったけど」

 ふふっと笑う男の吐息を首筋に感じてしまいそれすら悦を拾ってしまう今の癒月にはどうすることもできなかった。
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