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✿02:そんな陰謀……いや淫謀知りたかねーっ!
**28.足音と決断(2)※
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――「高度発情と自慰無効を汝にかけた。解除方法は一つ。我の精液を胎内に得ること。まあ、わかるな?」
「それと、前にかけた淫術もかかっている。努力しなくてもほぐれやすくなっているから、素直に男を漁ってこい」
たしか、そのようなことを言っていた。
頭の中にあのソウビ・アイの声が何度もリフレインする。
(あんのっ、くっそ変態野郎っ!!)
見た目の麗しさと中身がまったくもってあっていない。そんな彼に癒月は激しく怒りを抱く。しかし、腹の裡にたまっていくのはそんな感情ばかりではない。
「はぁ、あ……っ」
どんどんと高まる鼓動。どくどくと血液が沸騰しそうだ。
(くそぉっ。も、俺、死ぬかもっ)
何度、手で擦ろうが、その感触は無効化されてしまう。これでは自身で自身の高ぶりを収めることすらできない。
完全に追いやられた。
これは窮地だ。
逃げ出す方法を、この災難をのりこえる方法を必死で巡らせようとしていくが、その頭さえ焦らされてだんだんと機能しなくなってくる。
(い、イきてぇっ、も、それしかっ)
それしか、考えられなくなってくる。
痛いくらいに張り詰めたそこが悲鳴を上げだす。もう、しんどい。こんなにつらいのは、もう嫌だ。
両目の縁からぽろぽろと雫が落ちていく。液体をこぼすのは下も同じだ。それは悲痛な、追い詰められた男の性を如実に表していた。
(もぉっ、だめだぁ……っ)
決して、降参したわけではない、と頭の隅で思う。これは仕方がないことだ。何せ、生理現象なのだから。
とにかく、今は、この肉欲に滾る己の肉体をどうにかしたかった。
「まって」
か細い声で、遠のいていったかの男を呼び止めようとする。その声は、限界に近い肉体の震えにシンクロするように弱弱しいものだった。
グレイの足音はなお遠ざかっていく。
「まって、てばぁ」
必死に、止まってくれと願いながら、癒月は声を上げた。ふと、足がとまる。
首を傾げながらグレイが戻ってくる。
まずい、という気持ちと、良かったという安堵で胸がいっぱいになって、頭がぐちゃぐちゃになっていく。
癒月には次に自分が出る行動を理解していた。だが、理解しているだけだった。それについて激しい嫌悪と吐き気を隠しながら、それでも彼に残された道はひとつしかなかった――。
(#3へ続く)
「それと、前にかけた淫術もかかっている。努力しなくてもほぐれやすくなっているから、素直に男を漁ってこい」
たしか、そのようなことを言っていた。
頭の中にあのソウビ・アイの声が何度もリフレインする。
(あんのっ、くっそ変態野郎っ!!)
見た目の麗しさと中身がまったくもってあっていない。そんな彼に癒月は激しく怒りを抱く。しかし、腹の裡にたまっていくのはそんな感情ばかりではない。
「はぁ、あ……っ」
どんどんと高まる鼓動。どくどくと血液が沸騰しそうだ。
(くそぉっ。も、俺、死ぬかもっ)
何度、手で擦ろうが、その感触は無効化されてしまう。これでは自身で自身の高ぶりを収めることすらできない。
完全に追いやられた。
これは窮地だ。
逃げ出す方法を、この災難をのりこえる方法を必死で巡らせようとしていくが、その頭さえ焦らされてだんだんと機能しなくなってくる。
(い、イきてぇっ、も、それしかっ)
それしか、考えられなくなってくる。
痛いくらいに張り詰めたそこが悲鳴を上げだす。もう、しんどい。こんなにつらいのは、もう嫌だ。
両目の縁からぽろぽろと雫が落ちていく。液体をこぼすのは下も同じだ。それは悲痛な、追い詰められた男の性を如実に表していた。
(もぉっ、だめだぁ……っ)
決して、降参したわけではない、と頭の隅で思う。これは仕方がないことだ。何せ、生理現象なのだから。
とにかく、今は、この肉欲に滾る己の肉体をどうにかしたかった。
「まって」
か細い声で、遠のいていったかの男を呼び止めようとする。その声は、限界に近い肉体の震えにシンクロするように弱弱しいものだった。
グレイの足音はなお遠ざかっていく。
「まって、てばぁ」
必死に、止まってくれと願いながら、癒月は声を上げた。ふと、足がとまる。
首を傾げながらグレイが戻ってくる。
まずい、という気持ちと、良かったという安堵で胸がいっぱいになって、頭がぐちゃぐちゃになっていく。
癒月には次に自分が出る行動を理解していた。だが、理解しているだけだった。それについて激しい嫌悪と吐き気を隠しながら、それでも彼に残された道はひとつしかなかった――。
(#3へ続く)
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