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✿02:そんな陰謀……いや淫謀知りたかねーっ!
**15.こんな夜になるとは(2)
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「待て待て、俺はノン気で、ストレートと呼ばれる種類の男で!! 男性相手にどうこうだなんてできなくて……っ」
「へ?」
カンジとルオーレの目が点になったかのように驚いて硬直した。しかし、何か別の捉え方をしたようすでカンジが癒月に近寄ってくる。
「ふーん、今日はそういう設定か。こりゃ口説きかいがありそうだ」
「え……ちが……」
「そうか、なるほど。すこしは趣向を凝らしたほうが楽しい夜になるからな」
「いや、まって、ほんと、なんかおふたりとも、勘違いしてない?」
「さーて、どう料理してやろうか」
「たっのしみーだね?」
(ひ、ひえっ!)
どうする? どう切り抜けたらいいのか。じりじりと壁側まで追い詰められた癒月は、カンジとルオーレに捕まってしまう。
「わっ! お、おろして!」
ルオーレに抱きかかえられたまま、彼は二階へと連れて行かれた。
ベッドに落されて、ぽかんとしていると、そんな癒月の上にふたりが乗りかかってくる。
「なっ……んむっ!」
ちゅっと軽く音を立てて唇をカンジについばまれた。触れ合った場所から彼の熱を感じる。
(く……こ、このままやられるわけには……)
さすがに昨日とは違う。肉体の主導権をソウビ・アイに奪われていた状態とは、そう伝えても信じてもらえるかどうかが怪しい。そんな高等な術を掛けられる人間が、魔物がいると思うか?
(あ、まて。そういえば、あいつって今どうしているんだ?)
癒月は今更になってかの謎めいた存在について思いをはせた。癒月の肉体をいとも簡単に掌握してしまうだけではなく、淫紋といったやけに奇妙な術まで使う。それに、もともと人間だったとほのめかしていて――。
「んっ!!」
首筋をカンジにぺろりと舐められて、癒月は現実に戻った。
「なぁに考えてるの?」
「目の前に俺たちがいるのに?」
(げっ)
だから問題発生しているんだとばかりに彼らをきっと睨みつけてやった癒月だが、のりのりの状態の彼らをけん制するだけの効力などない。
「その気にさせろってことでしょ。これは」
「なかなか強気なお嬢さまだ」
「だから、そういうんじゃなくて。ほんとに俺はそういう気がないんです」
「またまたぁ」
「昨日は変なやつに肉体を操られていて、あんなことになっちまったが、俺自身はまったくもってそういう変な気を起こすような……って、聞いてる!?」
「聞いてる聞いてる」
「聞きながら人の足舐めないでくださいっ!」
(だ、だめじゃね?)
やりたくはないが、こうなったら少しは手荒な手段を、などと考えていた癒月だったが。
「ひゃあっ!」
「へ?」
カンジとルオーレの目が点になったかのように驚いて硬直した。しかし、何か別の捉え方をしたようすでカンジが癒月に近寄ってくる。
「ふーん、今日はそういう設定か。こりゃ口説きかいがありそうだ」
「え……ちが……」
「そうか、なるほど。すこしは趣向を凝らしたほうが楽しい夜になるからな」
「いや、まって、ほんと、なんかおふたりとも、勘違いしてない?」
「さーて、どう料理してやろうか」
「たっのしみーだね?」
(ひ、ひえっ!)
どうする? どう切り抜けたらいいのか。じりじりと壁側まで追い詰められた癒月は、カンジとルオーレに捕まってしまう。
「わっ! お、おろして!」
ルオーレに抱きかかえられたまま、彼は二階へと連れて行かれた。
ベッドに落されて、ぽかんとしていると、そんな癒月の上にふたりが乗りかかってくる。
「なっ……んむっ!」
ちゅっと軽く音を立てて唇をカンジについばまれた。触れ合った場所から彼の熱を感じる。
(く……こ、このままやられるわけには……)
さすがに昨日とは違う。肉体の主導権をソウビ・アイに奪われていた状態とは、そう伝えても信じてもらえるかどうかが怪しい。そんな高等な術を掛けられる人間が、魔物がいると思うか?
(あ、まて。そういえば、あいつって今どうしているんだ?)
癒月は今更になってかの謎めいた存在について思いをはせた。癒月の肉体をいとも簡単に掌握してしまうだけではなく、淫紋といったやけに奇妙な術まで使う。それに、もともと人間だったとほのめかしていて――。
「んっ!!」
首筋をカンジにぺろりと舐められて、癒月は現実に戻った。
「なぁに考えてるの?」
「目の前に俺たちがいるのに?」
(げっ)
だから問題発生しているんだとばかりに彼らをきっと睨みつけてやった癒月だが、のりのりの状態の彼らをけん制するだけの効力などない。
「その気にさせろってことでしょ。これは」
「なかなか強気なお嬢さまだ」
「だから、そういうんじゃなくて。ほんとに俺はそういう気がないんです」
「またまたぁ」
「昨日は変なやつに肉体を操られていて、あんなことになっちまったが、俺自身はまったくもってそういう変な気を起こすような……って、聞いてる!?」
「聞いてる聞いてる」
「聞きながら人の足舐めないでくださいっ!」
(だ、だめじゃね?)
やりたくはないが、こうなったら少しは手荒な手段を、などと考えていた癒月だったが。
「ひゃあっ!」
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