40 / 112
✿02:そんな陰謀……いや淫謀知りたかねーっ!
**11.朝食と現実(3)
しおりを挟む
「ん? ああ、王城に忍び込んで、料理場にあった王の食事を盗み食いした」
「……」
(まじかよ)
「まー、すぐ城内の兵にとっつかまって流刑ってわけ。俺もついてねーなぁ」
「婚約者がいたんだってな」
「婚約なんてんなたいそうなもんじゃねーって。ただ、お互い貧しい平民同士、将来はって約束した男がいたのさ」
「女じゃないんですね」
「男だったなぁ。年下の。まあ弟みたいな感じだったから婚約ってもんじゃないけどな。それも赤毛で可愛いのなんの」
「へぇ、そうなんですか……」
「おっと気になる? 気になるか? やーん、ユージィンちゃんに嫉妬させちゃったなぁ~っいて!」
「チョップが嫌なら、奇妙なことしない。わかったか、カンジ」
「ひぇー、奇妙な男が、それを言うかぁ」
「で、ローザタウン出身者をどう思うか、ですよね」
「ああ、怨念だのなんだの、実感がなくても、外はそういうのに敏感だからな」
「もしかして、こいつが怨念を持ってきて、ローザタウンの外にそれをばらまくんじゃないかって、ビクついてやがるのさ」
「それじゃ、外には……」
「でられない。外の奴らが俺たち、一度でもローザタウンの地を踏んだものを許しはしないと、ここから出るための唯一の通路を封鎖している」
「そんな……」
「で、アレの出番なわけよ」
「アレって?」
「さっきも出てきた通行推薦、通行手形推薦状さ、ユージィンちゃん、ちゃんと覚えたか?」
「通行手形推薦状……」
「そう、それそれ!」
「年に一度、隣町の偉いやつが通行封鎖を解除する鍵を持ってくる。そやつに、町人の半数以上の署名の連なった通行手形推薦状を見せれば、その年でたった一人だけ、外に通してもらえるんだ」
「なっ!?」
(町人の半数以上!?)
「それって、この人に通行手形を与えてもよいと私は思いますっていうやつでさ、まー、面倒なもんよ」
「集めるのもそうだが、一年に一名という定員のせいで外界を諦められないゴロツキどもが血眼になってなぁ」
「おとなしく署名しないと……ごらぁってやつね、わー、おっかなーい」
「もともと、ここ、ごつろきやら前科者ばっかりの町だしねぇ、あの旦那がくるまではそうとう、治安やばかったしなあ」
「あの旦那って?」
「ン? ユージィンちゃん、知らないの? 町長をやってるひとだよ。グレイさんっていうの」
「……」
(まじかよ)
「まー、すぐ城内の兵にとっつかまって流刑ってわけ。俺もついてねーなぁ」
「婚約者がいたんだってな」
「婚約なんてんなたいそうなもんじゃねーって。ただ、お互い貧しい平民同士、将来はって約束した男がいたのさ」
「女じゃないんですね」
「男だったなぁ。年下の。まあ弟みたいな感じだったから婚約ってもんじゃないけどな。それも赤毛で可愛いのなんの」
「へぇ、そうなんですか……」
「おっと気になる? 気になるか? やーん、ユージィンちゃんに嫉妬させちゃったなぁ~っいて!」
「チョップが嫌なら、奇妙なことしない。わかったか、カンジ」
「ひぇー、奇妙な男が、それを言うかぁ」
「で、ローザタウン出身者をどう思うか、ですよね」
「ああ、怨念だのなんだの、実感がなくても、外はそういうのに敏感だからな」
「もしかして、こいつが怨念を持ってきて、ローザタウンの外にそれをばらまくんじゃないかって、ビクついてやがるのさ」
「それじゃ、外には……」
「でられない。外の奴らが俺たち、一度でもローザタウンの地を踏んだものを許しはしないと、ここから出るための唯一の通路を封鎖している」
「そんな……」
「で、アレの出番なわけよ」
「アレって?」
「さっきも出てきた通行推薦、通行手形推薦状さ、ユージィンちゃん、ちゃんと覚えたか?」
「通行手形推薦状……」
「そう、それそれ!」
「年に一度、隣町の偉いやつが通行封鎖を解除する鍵を持ってくる。そやつに、町人の半数以上の署名の連なった通行手形推薦状を見せれば、その年でたった一人だけ、外に通してもらえるんだ」
「なっ!?」
(町人の半数以上!?)
「それって、この人に通行手形を与えてもよいと私は思いますっていうやつでさ、まー、面倒なもんよ」
「集めるのもそうだが、一年に一名という定員のせいで外界を諦められないゴロツキどもが血眼になってなぁ」
「おとなしく署名しないと……ごらぁってやつね、わー、おっかなーい」
「もともと、ここ、ごつろきやら前科者ばっかりの町だしねぇ、あの旦那がくるまではそうとう、治安やばかったしなあ」
「あの旦那って?」
「ン? ユージィンちゃん、知らないの? 町長をやってるひとだよ。グレイさんっていうの」
0
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説
渋滞車内でトントン脳イキ
阿沙🌷
BL
天体観測イベントに向かう門倉史明と松宮侑汰の乗った車が渋滞に巻き込まれた。車内で時間を潰す間、流れる奇妙な空気。門倉の指の音に松宮が発情して――。
ごめんなさい、ただのアホエロになりました。どうしてこうなった……
淫紋付けたら逆襲!!巨根絶倫種付けでメス奴隷に堕とされる悪魔ちゃん♂
朝井染両
BL
お久しぶりです!
ご飯を二日食べずに寝ていたら、身体が生きようとしてエロ小説が書き終わりました。人間って不思議ですね。
こういう間抜けな受けが好きなんだと思います。可愛いね~ばかだね~可愛いね~と大切にしてあげたいですね。
合意のようで合意ではないのでお気をつけ下さい。幸せラブラブエンドなのでご安心下さい。
ご飯食べます。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
【R18】奴隷に堕ちた騎士
蒼い月
BL
気持ちはR25くらい。妖精族の騎士の美青年が①野盗に捕らえられて調教され②闇オークションにかけられて輪姦され③落札したご主人様に毎日めちゃくちゃに犯され④奴隷品評会で他の奴隷たちの特殊プレイを尻目に乱交し⑤縁あって一緒に自由の身になった両性具有の奴隷少年とよしよし百合セックスをしながらそっと暮らす話。9割は愛のないスケベですが、1割は救済用ラブ。サブヒロインは主人公とくっ付くまで大分可哀想な感じなので、地雷の気配を感じた方は読み飛ばしてください。
※主人公は9割突っ込まれてアンアン言わされる側ですが、終盤1割は突っ込む側なので、攻守逆転が苦手な方はご注意ください。
誤字報告は近況ボードにお願いします。無理やり何となくハピエンですが、不幸な方が抜けたり萌えたりする方は3章くらいまでをおススメします。
※無事に完結しました!
R18禁BLゲームの主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成りました⁉
あおい夜
BL
昨日、自分の部屋で眠ったあと目を覚ましたらR18禁BLゲーム“極道は、非情で温かく”の主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成っていた!
弟は兄に溺愛されている為、嫉妬の対象に成るはずが?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる