メスイキ無双ッ!異世界勇者スキルがパァでパーティ追放→ドスケベスキルと淫呪のせいでエロ負けしそうだが篭絡して勝つッ!【休載中】

✿01:あっこれって追放ですね知っています

*23.ソウビ・アイ(3)

「よし、わかった」
「本当か!?」
「つまり、お前が何いってるのか、さっぱりわからないということだけ、よくわかった!」
「物は言いようというやつだな」
「それはお前に返しておく。そしてこの話もノーだ」
「待て。怖いのだろう」

　立ち去ろうとしていた癒月はぴくりと足を止めた。

「お主はさんざんな目にあったと思っている。だけど、それは……」
「なんなんだよ!!」
「癒月?」
「ふざけんなっ!!　どいつもこいつも、いい加減にしてくれって感じだ!!　俺は!!　俺は!!」

　次のことばなどなかった。涙があふれてあふれて止まらなかった。

「癒月」

　ソウビ・アイが優しく彼の名前を、呼んだ。仲間だと思っていた彼らが発音できなかった自分の名前を。

「我は鬼になる」
「え」
「世界を救いたいという思いがあるから、鬼になると決めた。そのときから、たとえ、はしたないと言われても、守ろうとした人間に疎まれ、嫌われ、不気味と言われても、それでもそのひとたちを守りたい。いや、守るのだと決めている」
「……ソウビ・アイ」
「ソーちゃんでいいぞ」
「……そうですか」
「とにかくな。ひとがひとを守るなんてだいそれたことだ。自分のことを守るだけでも必死にならなくてはいけないのに、それ以外に手が回るか?　そしてさらに世界を救うだのといった話になったらお手上げだ。つまり、勇者なるものなんて最初からお手上げなんだよ」
「すごい理屈だな。でつまり、あきらめてると」
「いや、だからこそ、挑戦しがいがあるじゃないか!!」

　そのとき、ソウビ・アイのきらめく瞳に、癒月は何か胸打たれるものを一瞬だけ感じた。しかし、それはほんのせつなの出来事だった。

「ま、お主がイエスと言わないのはしかたがない。ここは無理矢理だが、我にもしたいこと、やりたいこと、かなえたい野望があるでな」
「なっ」
「いつまでもお姫さま気分でいてはならないぞ。自分ですべきことは自分でしろ。これだけは忠告しておこう」
「なんだよ……それ」
「じゃ、それでは」
「えっ、何を!!」