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✿01:あっこれって追放ですね知っています

*06.崩壊(1)

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「え?」

 癒月は思わず聞き返す。

「ほー、やっぱりそう思っていたか。あー、残念」
「な、なんで!!」
「癒月、考えてもごらんよ。人間の正体ってやつをさぁ」
「は!? えっ」

 途端、薄汚れた無機質な壁しかなかった空間に光が現れた。すると、それ映写機から光を投影されたかのように映像が映りだす。

「見えるかね。これが今、お前のいる現実変えられないものだよ」
「こ、これって……アンナ!!」



 映像に映し出されたのはアンナの姿だった。
 いつも勝ち気で高飛車な彼女の隣には、ある男がいる。長い綺麗なブロンドを風になびかせてその男――確かリュセと名乗っていた――は、アンナと肩を組んで王城のバルコニーをそぞろ歩きしていた。

「すっごい風、気分いいーっ」
「そう? 確かに」
「あたしさあ、物心ついてからずっと戦いばっかりやってきたからさぁ。こうやって羽伸ばして、なーんにも考えずにぼーっとできるのって最高。リュセさんは?」
「俺も……って言ってもきっとアンナさんのような過酷な人生じゃなかったから、甘いって思われるかもだけど」
「えー、そんな。そんなこと、思わないって」
「……ずっと、ある部屋に閉じ込められていたんだ」
「え?」
「俺は生まれつき、この世の全てを知り全てを統制する星の下に生まれたっていう……まあ田舎のへんな迷信なんだけどそれを両親が信じ切っちゃって、学問をさせるためにずっと鍵のついた部屋に閉じ込められていた」
「え……そうなの」
「でも、俺が十になるころ、かな? 魔物たちが町を襲って、そのとき、俺は命からがら逃げた。助かりたいためにね。でも助かったのは町の中で俺だけ。みんな死んだ」
「……」
「そのあと修道院に拾ってもらってそこで薬学を学んだ。それから魔法も。そしたら魔法院に誘われてそこで研究をね、ずっとしてた。だからアンナさんがうらやましい」
「え。どうして」
「ずっと自分で道を切り開いてきた強いひと、だから」
「そんな……あたしだって、逃げてばかりだよ」

 ひゅうと一陣の風が吹いて、アンナの赤毛を撫でた。




「な。なんだ……これ、あっ」

 癒月の前で映像が切り替わった。

「ミルフェ!!」

 そこにはミルフェが映っていた。そこは王城の貴賓室だった。そこにあるスプリングの効いた高級ベッドに腰かけたミルフェが苦悶の表情を浮かべていた。すると、ノックの音が。

「はい」

 ミルフェが答える。するとドアが開いた。
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