メスイキ無双ッ!異世界勇者スキルがパァでパーティ追放→ドスケベスキルと淫呪のせいでエロ負けしそうだが篭絡して勝つッ!【休載中】

✿01:あっこれって追放ですね知っています

*03.王都にて

「おーい、勇者さまご一行のお帰りだぞぉ」
「おお、素晴らしい、あれが魔王を倒してくださった勇者さまか……」
「ありがたい、ありがたい」

　王都へと入った途端、住民たちから盛大に迎え入れられる。
　こんなボロボロじゃなければ堂々たる凱旋に違いなかっただろう。

「おい、おじさん、やめてくれ。俺らのために頭なんか下げないでおくれよ」

　癒月は次々と王城へと続く道を開ける住人のなかに彼らに向かって膝まづく老人を見つけて声をかけた。

「おお……麗しい。勇者さまがこんな老いぼれにお声をかけてくださるなんて」
「そんな、大げさだなぁ。って何笑ってんだよアンナ」
「だってぇ。ユージィンのそーいうとこ、ほんと」
「何だよ」
「いーじゃん。別に」
「ふーん?」

　乗り物は途中から王城が用意した立派なものに乗り換えて彼らは王城へと向かった。王都の中心部にある王城では、魔王討伐の伝説の勇者として手厚く迎えらる。

　王はここに人類と魔物の果てしない対立の時代が終わったことを宣言し、癒月たちは一躍平和の象徴として人々の間でもてはやされた。

「しばらくは王城に泊っていってくださいませ」

　第一王子すら癒月の前に膝まづいて頭を下げる。

「そんな、お、王子がそんな……」
「何をおっしゃいますか。あなたはこの人類の祈願を成し遂げた男。頭など上げられません」
「それだけユーザはすごいことをしたってことだよ」

　王子を目の前に緊張している癒月の隣からタグがのんびりと声をかけた。

「少しは胸を張ったらどうだ?　今やこの国中、みんなあんたのものだ」
「ば、ばかなことを……!!」

　癒月は慌ててタグの口をつぐませようとする。そんな恐れ多いことを!!　だが、そんな癒月とタグのやりとりを見て、王子がふふっと微笑したのに目を丸くさせた。

「いや、失敬。勇者さまは本当に仲間思いなのですね」
「え?」
「いや、本当に仲が良くてうらやましい限りです」
「そ、そっかなぁ」

　けど。

　そうだよなぁ、なんて、癒月は思ってしまう。

　こいつらがいたから俺はやってこれたし、それはこいつらだって同じだ、と。
　そう心から思える友と巡り会えたこの身の幸せというのは。

「大変です、閣下!」

　あわただしく廊下から顔を出したのは王子の侍従だった。

「何事だ!」

　侍従の面持ちから大事だと察した王子の表情は一気に引き締まった。

「魔法院から連絡あり!　魔法院が独自に全スキルを収集した特別なゴールドブックを盗んだ犯人が判明したとのこと!」
「なんだって!!」
「直ちにその者を捕えるため、魔法院が使役獣を派遣するそうです」
「して、その者は!!」

　王子が問おうとする前に、侍従が入ってきた廊下からどたどたと騒がしい音がした。かと思えば、それは扉をけ破って侵入してきた。

「何やつ!!」

　癒月は王子をかばって前に出た。こういうときのために常に自慢の剣モントトレーネを携帯している。身構えると、侵入者たち――狼面の獣人たちは、癒月に向かって突進してきた。