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執事の務め
❀Chapter1.2
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「坊ちゃん……」
「その呼び方もやめろ!」
次郎は顔を真っ赤にして叫んだ。だが、急に落ち着いて、室路から視線を逸らしてつぶやくように言った。
「俺のこと、あんた……次郎っていうだろ。名前、呼ばれたいんだよ。なんだよ、その坊ちゃんって」
「けれど……」
「な、やろうぜ。あんただって最近ご無沙汰だろ? それとも俺以外に相手でもいるのか」
「まさか。変なことをおっしゃらずに、さ、降りてください」
「嫌だ」
主の強情っぷりを知っている室路は大きくため息をついた。閉じた瞼をゆっくりとあげ、主を再び見たとき、使用人の瞳に宿っていたのは熱く揺らめく炎だった。
「いいんですか?」
「え」
「だからいいんですかと聞いているのです。私、かなり我慢しているんですからね」
次郎が言葉を返す前に、室路が唇を重ねてきた。
「んっ」
入り込んできた室路の熱い舌が次郎をくすぐり、彼の熱を高めていく。口腔を舐めあげ、刺激し、追い詰めていく室路のやりかたはやっぱり非情だ。
濃厚な交わりがようやく解き放たれたとき、次郎は息が上がっていた。
「お、おま、やる気になったのかよ」
「ええ。まあ、これも執事の務めでしょうから。……ほら、たったのキスだけで、こんなにもいやらしく硬くして」
「ばっ」
次郎は下半身を隠そうとしたが、間に合わずズボンの上から室路の大きな掌でもまれその刺激に身をすくめた。
「主の性処理もまた仕事のうち、ということですかねぇ」
「ば、ばか、そういうんじゃ」
「ズボン、おろしますね」
慌てて抵抗しようとする次郎だったが、彼の胸を押す手は虚しく、抵抗にも何にもならない。成されるがまま、ズボンを膝までずり下げられ、下着一枚をさらす。
「うわ……先走りでぐちょぐちょだ。水気を含んだ布から、あなたのそれが透けて見えますね」
「ばか、言うな、あっ」
「上から触るだけで、びくびく跳ねて……ふふ、すぐに爆発してしまいそうですね」
室路は一気に下着を取り去ると、次郎の中心を唇に咥えた。水気を含んだ感覚、室路の口内の体温。這わされた舌の感覚に次郎は追い詰められる。
「おい、ばか、やめろっ」
目じりから生理的な涙があふれてくる。上下に顎を動かし、吸い上げ、舌で裏筋をなぞる彼の動作すべてが、次郎を高みへと導く。嫌だ、嫌だと次郎は首を振って抵抗するも、あっけなく欲望は解放された。
思わず彼の後頭部に添えた手を思い切り引き寄せる。それでも余裕を残して彼は主人の吐廃物を嚥下した。喉が上下に動く気配に次郎はドキリと胸を大きく弾ませた。
「お前、何やってんだよ」
「何ってフェラですが」
萎えた次郎の男根を唇から吐き出して彼は悪びれもなくそう言った。
「それはわかってるっつーの。今、何飲んだんだよ」
「あなたの吐いたものです」
「ばかっ!!」
「じゃあ、あなたのエッチなお汁とでも言ったほうがよろしかったのですか?」
口角を歪に釣り上げて彼は言った。普段上品な男から下品な言葉が飛び出してくると、次郎はどきまぎする。それを承知の上で室路はあえて彼の緊張を誘うようにそう煽ったのだった。
「ばっ、ああ、もう、そういう意味じゃねぇ。なんで、お前……」
「飲み慣れていますので。恋人が早漏ですから」
「あ~、もう、いい加減にしろ」
おちょくられて、次郎は室路から視線を逸した。こどもじみた反応に室路は喉を鳴らして笑う。
「はいはい。いたします。もういいお加減ですよね。さ、衣服を直して帰りましょうね」
乱れた次郎を整えようとして室路は手を伸ばした。けれど、次郎にキッと鋭く睨まれて動きを静止させる。
「嫌だ、やめろ」
「あなたが誘ったんでしょう。今さら、泣き言は嫌ですよ」
「違う、そうじゃない……」
次郎は彼の中心に触れた。衣類の上からでも彼が硬くしているのに気がつく。それだけで胸がいっぱいになった。
「あっ、どこを」
慌てて体を離そうとする室路のそれを次郎はグリグリと手をねじって刺激を与える。
「俺でこんなにしてんだろ。なあ、足りるのか」
「やめてください……うっ」
「気持ちよくなりてぇだろ。俺もお前も」
「坊っちゃん……」
「だから、それやめろって」
ふっと次郎の上から降ってきたのは啄むように口先に軽く触れる淡いキスだった。
「次郎さん」
せつなそうに自分を呼ぶ年上の男にたまらない心地がして次郎は、彼の身体を呼び込んだ。
「その呼び方もやめろ!」
次郎は顔を真っ赤にして叫んだ。だが、急に落ち着いて、室路から視線を逸らしてつぶやくように言った。
「俺のこと、あんた……次郎っていうだろ。名前、呼ばれたいんだよ。なんだよ、その坊ちゃんって」
「けれど……」
「な、やろうぜ。あんただって最近ご無沙汰だろ? それとも俺以外に相手でもいるのか」
「まさか。変なことをおっしゃらずに、さ、降りてください」
「嫌だ」
主の強情っぷりを知っている室路は大きくため息をついた。閉じた瞼をゆっくりとあげ、主を再び見たとき、使用人の瞳に宿っていたのは熱く揺らめく炎だった。
「いいんですか?」
「え」
「だからいいんですかと聞いているのです。私、かなり我慢しているんですからね」
次郎が言葉を返す前に、室路が唇を重ねてきた。
「んっ」
入り込んできた室路の熱い舌が次郎をくすぐり、彼の熱を高めていく。口腔を舐めあげ、刺激し、追い詰めていく室路のやりかたはやっぱり非情だ。
濃厚な交わりがようやく解き放たれたとき、次郎は息が上がっていた。
「お、おま、やる気になったのかよ」
「ええ。まあ、これも執事の務めでしょうから。……ほら、たったのキスだけで、こんなにもいやらしく硬くして」
「ばっ」
次郎は下半身を隠そうとしたが、間に合わずズボンの上から室路の大きな掌でもまれその刺激に身をすくめた。
「主の性処理もまた仕事のうち、ということですかねぇ」
「ば、ばか、そういうんじゃ」
「ズボン、おろしますね」
慌てて抵抗しようとする次郎だったが、彼の胸を押す手は虚しく、抵抗にも何にもならない。成されるがまま、ズボンを膝までずり下げられ、下着一枚をさらす。
「うわ……先走りでぐちょぐちょだ。水気を含んだ布から、あなたのそれが透けて見えますね」
「ばか、言うな、あっ」
「上から触るだけで、びくびく跳ねて……ふふ、すぐに爆発してしまいそうですね」
室路は一気に下着を取り去ると、次郎の中心を唇に咥えた。水気を含んだ感覚、室路の口内の体温。這わされた舌の感覚に次郎は追い詰められる。
「おい、ばか、やめろっ」
目じりから生理的な涙があふれてくる。上下に顎を動かし、吸い上げ、舌で裏筋をなぞる彼の動作すべてが、次郎を高みへと導く。嫌だ、嫌だと次郎は首を振って抵抗するも、あっけなく欲望は解放された。
思わず彼の後頭部に添えた手を思い切り引き寄せる。それでも余裕を残して彼は主人の吐廃物を嚥下した。喉が上下に動く気配に次郎はドキリと胸を大きく弾ませた。
「お前、何やってんだよ」
「何ってフェラですが」
萎えた次郎の男根を唇から吐き出して彼は悪びれもなくそう言った。
「それはわかってるっつーの。今、何飲んだんだよ」
「あなたの吐いたものです」
「ばかっ!!」
「じゃあ、あなたのエッチなお汁とでも言ったほうがよろしかったのですか?」
口角を歪に釣り上げて彼は言った。普段上品な男から下品な言葉が飛び出してくると、次郎はどきまぎする。それを承知の上で室路はあえて彼の緊張を誘うようにそう煽ったのだった。
「ばっ、ああ、もう、そういう意味じゃねぇ。なんで、お前……」
「飲み慣れていますので。恋人が早漏ですから」
「あ~、もう、いい加減にしろ」
おちょくられて、次郎は室路から視線を逸した。こどもじみた反応に室路は喉を鳴らして笑う。
「はいはい。いたします。もういいお加減ですよね。さ、衣服を直して帰りましょうね」
乱れた次郎を整えようとして室路は手を伸ばした。けれど、次郎にキッと鋭く睨まれて動きを静止させる。
「嫌だ、やめろ」
「あなたが誘ったんでしょう。今さら、泣き言は嫌ですよ」
「違う、そうじゃない……」
次郎は彼の中心に触れた。衣類の上からでも彼が硬くしているのに気がつく。それだけで胸がいっぱいになった。
「あっ、どこを」
慌てて体を離そうとする室路のそれを次郎はグリグリと手をねじって刺激を与える。
「俺でこんなにしてんだろ。なあ、足りるのか」
「やめてください……うっ」
「気持ちよくなりてぇだろ。俺もお前も」
「坊っちゃん……」
「だから、それやめろって」
ふっと次郎の上から降ってきたのは啄むように口先に軽く触れる淡いキスだった。
「次郎さん」
せつなそうに自分を呼ぶ年上の男にたまらない心地がして次郎は、彼の身体を呼び込んだ。
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