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自撮り写真じゃ物足りない
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「なんじゃこりゃ」
門倉史明は松宮侑汰から届いたメールを見て、そうつぶやいた。
――やっほー、門倉さん。
俺、めっちゃげんき。
そして添付されている写真に対して、深いため息をついた。
「また自撮りか」
画面いっぱいに松宮の顔。
彼は自分の魅せ方というものを知っている。光の注ぐ位置、そして顔の角度。そういうものを松宮は計算している。いや、計算しすぎている。
「お前、こんなに可愛くないぞ」
そう門倉に思わせてしまうくらい写真の中の松宮は美しい。
けれど、本人自体と交流があり、なにより彼のあまりにも面倒な性格を知っているため、松宮からすると、この四角い画面の中の松宮ではどこか物足りない――いや、と門倉は頭を振った。
「いやいやいや、なに!? いや、もう、ええっ!?」
物足りない。
たった一瞬鳴れど、そう思ってしまった門倉はその思いをなんとか打ち消そうとした。
なぜならまるで――。
「俺がこじんまりした松宮じゃだめってことは、まるで……」
俺が松宮自体を好いているみたいじゃないか、と。
(了)
門倉史明は松宮侑汰から届いたメールを見て、そうつぶやいた。
――やっほー、門倉さん。
俺、めっちゃげんき。
そして添付されている写真に対して、深いため息をついた。
「また自撮りか」
画面いっぱいに松宮の顔。
彼は自分の魅せ方というものを知っている。光の注ぐ位置、そして顔の角度。そういうものを松宮は計算している。いや、計算しすぎている。
「お前、こんなに可愛くないぞ」
そう門倉に思わせてしまうくらい写真の中の松宮は美しい。
けれど、本人自体と交流があり、なにより彼のあまりにも面倒な性格を知っているため、松宮からすると、この四角い画面の中の松宮ではどこか物足りない――いや、と門倉は頭を振った。
「いやいやいや、なに!? いや、もう、ええっ!?」
物足りない。
たった一瞬鳴れど、そう思ってしまった門倉はその思いをなんとか打ち消そうとした。
なぜならまるで――。
「俺がこじんまりした松宮じゃだめってことは、まるで……」
俺が松宮自体を好いているみたいじゃないか、と。
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