1 / 1
自撮り写真じゃ物足りない
しおりを挟む
「なんじゃこりゃ」
門倉史明は松宮侑汰から届いたメールを見て、そうつぶやいた。
――やっほー、門倉さん。
俺、めっちゃげんき。
そして添付されている写真に対して、深いため息をついた。
「また自撮りか」
画面いっぱいに松宮の顔。
彼は自分の魅せ方というものを知っている。光の注ぐ位置、そして顔の角度。そういうものを松宮は計算している。いや、計算しすぎている。
「お前、こんなに可愛くないぞ」
そう門倉に思わせてしまうくらい写真の中の松宮は美しい。
けれど、本人自体と交流があり、なにより彼のあまりにも面倒な性格を知っているため、松宮からすると、この四角い画面の中の松宮ではどこか物足りない――いや、と門倉は頭を振った。
「いやいやいや、なに!? いや、もう、ええっ!?」
物足りない。
たった一瞬鳴れど、そう思ってしまった門倉はその思いをなんとか打ち消そうとした。
なぜならまるで――。
「俺がこじんまりした松宮じゃだめってことは、まるで……」
俺が松宮自体を好いているみたいじゃないか、と。
(了)
門倉史明は松宮侑汰から届いたメールを見て、そうつぶやいた。
――やっほー、門倉さん。
俺、めっちゃげんき。
そして添付されている写真に対して、深いため息をついた。
「また自撮りか」
画面いっぱいに松宮の顔。
彼は自分の魅せ方というものを知っている。光の注ぐ位置、そして顔の角度。そういうものを松宮は計算している。いや、計算しすぎている。
「お前、こんなに可愛くないぞ」
そう門倉に思わせてしまうくらい写真の中の松宮は美しい。
けれど、本人自体と交流があり、なにより彼のあまりにも面倒な性格を知っているため、松宮からすると、この四角い画面の中の松宮ではどこか物足りない――いや、と門倉は頭を振った。
「いやいやいや、なに!? いや、もう、ええっ!?」
物足りない。
たった一瞬鳴れど、そう思ってしまった門倉はその思いをなんとか打ち消そうとした。
なぜならまるで――。
「俺がこじんまりした松宮じゃだめってことは、まるで……」
俺が松宮自体を好いているみたいじゃないか、と。
(了)
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)

十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

囚われた元王は逃げ出せない
スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた
そうあの日までは
忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに
なんで俺にこんな事を
「国王でないならもう俺のものだ」
「僕をあなたの側にずっといさせて」
「君のいない人生は生きられない」
「私の国の王妃にならないか」
いやいや、みんな何いってんの?

そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

愛人は嫌だったので別れることにしました。
伊吹咲夜
BL
会社の先輩である健二と達哉は、先輩・後輩の間柄であり、身体の関係も持っていた。そんな健二のことを達哉は自分を愛してくれている恋人だとずっと思っていた。
しかし健二との関係は身体だけで、それ以上のことはない。疑問に思っていた日、健二が結婚したと朝礼で報告が。健二は達哉のことを愛してはいなかったのか?

王様の恋
うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」
突然王に言われた一言。
王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。
ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。
※エセ王国
※エセファンタジー
※惚れ薬
※異世界トリップ表現が少しあります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる