初夢はサンタクロース

阿沙🌷

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 たお、れた?
「その場にいた酒田さんから連絡がぼくに来た。突然、カメラが回っている前で、きみが倒れた。すぐに意識が戻らなくて、あわてて救急車を呼んだそうだ。そして、ここに運ばれた」
 そんな!
 新崎は、慌てて起き上がろうとした。そして、自分の腕から伸びるチューブに気が付いて、はっと身体を硬直させた。
「いま、な、何時ですか?」
 千尋が腕時計に目を落とした。だが、彼は何も言わなかった。
「どうしよう、俺、スタッフのかたたちに、迷惑を……」
 動揺する新崎の前で、伊東の携帯が震え上がった。
「……すみません、先ほど、新崎さんが目を醒ましたと聞いて、話の途中で切ってしまったので……」
「でて、ください」
 新崎がこたえると、伊東は再びお辞儀をしてから小走りで部屋を出て行った。
「過労だそうだ」
 千尋が固い口調で告げた。
「念のため、一日入院、とのことだ」
「え!?」
「詳しい話は、いま、医者がくるから彼から聞いてくれ」
「ちょ、ちょっと待って! そしたら、撮影は!? まだ撮っている最中でしょう!? スケジュールだって……」
「だから、彼女がああして必死に動いている」
「あ……」
 目の前が真っ暗になるような、おかしい、全身から力が抜けていくかのような、気分だ。
「ち、千尋さん……」
「ぼくは、ここにいられるだけ、ここにいる。だけど、ぼくにだって、やらなければならないことがある」
「は、はい……ありがとうございます」
 ぎゅっと心臓がいたんだ。急に、今、そばにいるこの千尋が、自分の知っている彼とは違う存在のように思えてくる。
 いや、違う。
 この千尋は、千尋を知る前・・・の千尋だ。千尋と付き合うようになる前の千尋だ。
 体中が震える。
 自分のしでかしてしまった大失態を、一番見られたくないひとに見られた。死んでしまいたいとすら思う。
「新崎くん、落ちついて」
 ぱらぱらと廊下から足音が聞こえてくる。その間、千尋が言った。
「きみはとても疲れている。だから、休むんだ」
 扉が開いて、白衣の男が入って来た。彼は、いまの新崎の身体のことを、説明しだしたが、そのことばは右から左へと流れていった。 
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