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・屋敷編

Thuー20

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 嫌だという暇すらつくれず、突き立てられる男の存在に、呻きながら、己をはさむ二人の男にしがみつくしかなかった――。



「首尾はどうだった?」
 声をかけられた男はさっと頭をさげた。
「あの男――藤滝の次男は読めない男でした」
「そうか」
 と、彼は嬉しそうに目じりの皺を深くした。
「契約の取り付けはしてきました。週末には迎えに行く予定です」
「はは、面白いな、あの男、手放すか。こりゃ、潜らせた犬の情報が真っ赤だったか、それとも――」
 そこまでで口を閉ざした。
「あの男、何を考えているのでしょうか。実際にご長男が――ですから、跡を継ぐのは彼のはず」
「ああ、潔癖なんだろう。むかし俺ら・・にされた仕打ちを今でも覚えているんだろうな」
「しかし……」
「何を誰が仕掛けてくるのかわからない。それなら相手にとって一番大切なものから握っていったほうがいい。まあ、品のない言い方をすれば、人質だな」
「ですが、あれでは人質の役割はしないかと。あれは本当にただの商品でしたから」
「そう扱うだろうさ、たとえ、情がわいても、あの男はね」





「お前、まだそんな気力が残っていたのか」
 藤滝が青年を見降ろしながら、言った。
 あの後、ふたりがかりでさんざんむさぼったというのに、けろりとしている男に腹がたつ。
「もう、疲れただろうに、そのまま気を失っていてもよかったんだぞ」
 にやにやと唇のはしをもちあげながら、男は言う。抗議しようにも声が枯れていてでない。
「お前は鮎のように跳ねるな」
 そう言って、部屋中に散らばった行為の残滓をちらと彼は見やる。
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