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・屋敷編

Thuー13

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 男に距離をつめられる。鼻腔に藤滝の匂いがした。
「別に」
「しらばっくれるな。こういった行為はいやだいやだと逃げおおせようとしているやつが、よく言う」
 カッと頬が熱くなる。見透かしているのならそういうふうに言わなくてもいいだろうに。口と性格の悪い男と、青年は対峙した。
「足りてないというのなら、もっとハードな仕事を用意させてもいいんだぞ」
「ふざけるな! お断りだ」
 男が薄い唇の端を持ち上げた。見え透いているのに、それでもかたくなな態度をとる青年を揶揄するような表情だった。
 男は押さえつけている青年の下半身を揺さぶるように体を押し付けた。吐息をもらした青年のそこはすぐに反応した。
 これでもか?と男は笑う。口と態度で示している反抗の色など、彼の肉体が示している兆しの前で、何になるのだと藤滝は笑うのだ。
 逃げようと自分の下でもがく青年は彼にとってただの取るに足らない玩具の一つなのだろう。
 藤滝の見せる捕獲者の余裕めいた雰囲気が気に入らない。すぐに逃げようともがくが、兆した場所を何度も雑にすりあげられて、全身にまわる甘い性の快楽に、青年は震えた。
 自分でふれる以上に、外部から与えられるもののほうが刺激がつよい。それも、相手は、的確に、青年が達しないように調整していた。目の奥のほうから、生理的な涙がじわじわと浮かんでくる。
 飼い殺すような刺激に、青年は思わず腰を彼に引き寄せていた。自分から腰を振り出した青年をあざわらうように、男が耳元でささやく。
「……ほしいのか?」
 それが、うしないかけていた理性の光を青年にもたらして、彼は腰を引いた。藤滝が面白いとばかりに凍り付いた瞳の奥で笑う。
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