SLAVE 屋敷の奥で〜百回いくまで逃げられない〜🔞

阿沙🌷

文字の大きさ
上 下
271 / 285
・屋敷編

Thuー08

しおりを挟む

 ――にしても。
「あいつ、どこ行きやがった?」
 佐波に見つかった洗濯場を離れて、ぶらぶらと敷地内を散策しだした青年はつい滝田への愚痴をこぼしてしまう。あの様子だと真清会のことも何か知っているだろう。自分に突然持ち掛けられたこの話が何につながっているのか、調べなくてはこの先、あの藤滝と渡り合うことができるだろうか。だが彼はおのれのことを手放したくないような様子だった。むざむざ逃がすわけにはいかないということだろうか。それとも――。
「だめだ!」
 急にずきっと胸の内がいたみだして、青年は考えることをやめた。そういえば、昼も仕置きと自ら言っておいて、何も手をだしてこなかった。
 藤滝のことを考えだして、頭のなかにあらぬ想像が浮かびそうになったので、青年は慌ててそれを打払った。いけない。いけない兆候だ。
「くそ、どうすっかな」
 と、そういえば、滝田が、朋華のもとへ藤滝が来ているから今日は朋華の部屋を青年に開けられないといっていたことを思い出した。
「てか、なんであいつ、そういうこと知ってるんだよ」
 どこで屋敷じゅうの情報を得ているのか、謎である。そもそもあの滝田の存在自体がだいぶ謎なのだが。藤滝と敵対していると思われる以外、何もつかめていない滝田だが、朋華のもとに藤滝がいるというのは本当だろうか。
 気になり出して、しかたなかったので、藤滝と顔さえあわせなければいいと、廊下の奥へと青年はその部屋を目指した。
 一度来たことがある場所といえど、なんだか居心地が悪い廊下だ。この先にあるのが上級用にしつらえられた空間だというだけで、空気さえ違ってくるのは気のせいだろうか。すれ違う者もなく、ひとの気配もしない。昼間だから、外にでているのかもしれないし、部屋にすっこんでいるのかもしれない。とにかく、上級の部屋へ向かう廊下は静かだった。
 つまり、足音が響きやすい。自分の歩む音がきになって、無意識に忍び足になる。つま先から廊下の板の温度が伝わる。床は冷たい。
 朋華の部屋の前にまできて、青年は足を止めた。忍ぶように足を運んできたから、部屋のなかのひとは青年の気配には気がつかないだろう。だが、外にいる青年もうちから気配を感じることができなかった。
 もしかして誰もいないのだろうか。襖に耳を当ててそっと中の気配をうかがう。やはり、ひとの気はしない。そっと、手をかけて弾いてみた。瞳ひとつのぞくことができるくらいに扉をあけて、中を見ていた。ぐるりと部屋中を眺めていると、視線の先にゆったりと横たわった白い足が見えた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

捜査員達は木馬の上で過敏な反応を見せる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

疲弊した肉体は残酷な椅子へと座らされる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...