SLAVE 屋敷の奥で〜百回いくまで逃げられない〜🔞

・屋敷編

Wed-04

「へえ、どんな子と思っていたが、意外だな」
　自分の頬にやさしく綿が触れた。否、それは、彼の手のひらだった。そっと上を向かされる。まるで、茶器の品定めのように、青年を眺めていたその瞳が、ふっとゆらめいた。
　そっと彼の手が離れていく。変な感覚に、青年はぞくりと背筋を震わせた。
「滝田。もういいから下がりなさい」
　滝田は深く頭を下げた。
「どうか、よろしくお願いします。朋華さま」
「ああ、私も、可愛い屋敷の子をひとり失うのは嫌だからね」
　にこりと微笑んだその表情の美しさはまるで彫刻のようだった。滝田が、そっと立ち去っていく。それなのに、青年は動くことができなかった。
「えっと、きみ。滝田から話はうかがっているけれど、売り上げがまずいことになっているんだよね？」
「あ、ああ」
　声が震える。首を縦に振った。朋華は、すらりといつの間にか自分の座っていた座椅子の上に戻っていた。
「ぼくから少しでも学べることがあると、いいのだけれど」
　ふっと、唇がゆっくりと三日月の形になる。途端、空気が変わった。
「じゃあ、これから始めるから、まずは、体験、してみようか……」
　――え？
　朋華が何かを宣言するかのように、手を三回たたいた。何をするのだろうか。警戒することすら、青年は忘れて、彼を見た。だが彼は何もしてこない。ただ向かい合って座っているだけ。
「何を？」と問おうとした直前、朋華が、ふっと、吐息を吐いた。その所作だけで、ぞくりと何かくるものがある。