SLAVE 屋敷の奥で〜百回いくまで逃げられない〜🔞

阿沙🌷

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・屋敷編

Wed-02

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 青空が目に沁みた。
 はたはたと風を受けて、白い布面がはためている。誰もいない洗濯場から見る青空と真っ白い雲は、別世界のように美しかった。だが、それが美しければ美しいほど、自分はどこかの影に隠れてしまいたい気持だ。すぐに立ち去ろうとした青年は声をかけられて振り返った。
「よう」
 洗濯場に顔を出したのは、あの男だった。
「……滝田」
 彼は挨拶に片手をあげて、青年に近づいてきた。屋敷の転覆すなわち藤滝美苑の失脚を狙うこの男は、使用人服を身に着け、どこにでもいるただの使用人のふりをしているが、青年を見る眼光は一種異様な光を帯びている。
「共闘」と彼は言った。
 同じ、屋敷に反感を持つものとして、協力しあおうと。
 そうはいっても、この滝田という男のことを青年は、いまだに何もしらないのだった。
「今日もさぼりか?」
 滝田の発言に青年は眉を寄せた。
「なわけあるか」
「はは、そんな顔するなよ。美人が台無しだぜ」
 誰が美人だ。
「協力するって言っただろ? 今日はそれで来たんだ」
 滝田は口元を緩ませた。
 確かに、売り上げを上げなくてはあの豚箱行きと言われた青年に、この男は協力すると言っていた。今、屋敷から青年が消えたら、ただでさえ近寄りずらい藤滝の近くに寄れるカードを失うことになる。
「で? いくら俺に払ってくれるんだ?」
 青年はため息まじりに言った。どのくらい必要なのか、この男は本当にわかっているのだろうか?
「おっと、俺は金は支払えない」
「え? 使用人だろ? 一応は雇われてるんじゃないか?」
「年季があければ、支払ってもらえるだろうよ。ま、使用人なんてもんはなあ……。それより、これだ」
「は?」
「アポイントメントが取れた。といっても日中しか時間は取れない」
「え、何の話だ?」
「まあ、こっちに来い。来ればわかる」
 ぐいっと滝田が手を伸ばして来た。それを振り払う。
 アポイントメントーーということは、どうやらこの男は青年を誰かに会わせたいらしい。
「いい加減、信用しろよ」
 苦笑いを浮かべた滝田に、青年はため息をついた。このままでは確かに自分はあの豚箱行きだろう。自分で歩ける、と言って、青年は滝田の後についていった。
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