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・屋敷編
Tue-14
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低くく、かすかにかすれた、声。
ぞくり、と背筋に冷たいものが走った。だが、藤滝はすぐに、青年から離れた。その手のなかには主人と青年を繋ぐ鎖が握られている。
「……おいっ!」
フロアのガラスの上部の壁面には、等間隔にフックがとりつけられていた。藤滝が、そちらへ鎖をひっぱる。それにつられて、青年の首も引っ張られる。
動こうとしない青年に使用人が手をだしてきた。彼らに運ばれて、ガラスに腹がひっつく。冷たい。
金具の音が上からする。
手錠を繋いだ鎖をガラスの上に固定されれば、動ける範囲がそれだけ減る。
背中から藤滝の体が、青年を押し付けるようによってくる。
このまま犯される――――……。
そう思った青年はぎゅっと目をつぶった。けれど、藤滝の反応は違った。彼は、金具がきちんと止めらえているのを確認すると、すっと、すばやく身をひるがえした。
「っ?」
そのあっけない引き方に、青年は思わず彼を振り返ってみてしまう。男は、伊佐美の話をきいていた。
「そろそろ、ですね」
伊佐美が、話を切り出した。
「ああ、そうか」
藤滝が、ニヤリと冷たく笑う。
「今日のラッシュはどのくらいひとが来るでしょうな……」
伊佐美のことばに、青年は、下を見た。否、ガラスの向こう側の世界である。
一枚隔てられたその向こう側のフロアには、つなぎ留める拘束具の下に蠢く男たちの肉体がある。
玄関フロアへ通じる扉が、大きく開かれた。ぞろぞろと、並んで、現れた男たちの足が、扉を潜り抜けた瞬間、重い思いの場所へと散っていく。だが、彼らの目的は同じだ。
自分たちの欲望を発散するための肉の花へと、向かう――。
「……っ!」
目の前で行われ始めた光景に、青年は息をのんだ。
まさに、籠の中――淫獄だ。
次々と現れる「客」たちの、いきり立ったものを、突き立てられて、きしむ金具の振動が、ガラス一枚通してでも、伝わってくる。
震える身体、打ち付けられる欲望。逃れようとしても、硬く固定された手足では、感覚を逃すことのできない――。
ぞろぞろと、途絶えることなく、客足がフロアを満たしていく。次々と、犯されていく、花たちの光景に、青年は、怒りを感じて、背後にいる男を睨みつけた。
だが、彼らは談笑に夢中で青年のことなど、気にもしていない。目の前ではこんなことが行われているというのに――。
彼は、後ろを向く体勢に疲れて、前へ首を戻した。だがその先にあるのは、フロアの惨状だ。
ぞくり、と背筋に冷たいものが走った。だが、藤滝はすぐに、青年から離れた。その手のなかには主人と青年を繋ぐ鎖が握られている。
「……おいっ!」
フロアのガラスの上部の壁面には、等間隔にフックがとりつけられていた。藤滝が、そちらへ鎖をひっぱる。それにつられて、青年の首も引っ張られる。
動こうとしない青年に使用人が手をだしてきた。彼らに運ばれて、ガラスに腹がひっつく。冷たい。
金具の音が上からする。
手錠を繋いだ鎖をガラスの上に固定されれば、動ける範囲がそれだけ減る。
背中から藤滝の体が、青年を押し付けるようによってくる。
このまま犯される――――……。
そう思った青年はぎゅっと目をつぶった。けれど、藤滝の反応は違った。彼は、金具がきちんと止めらえているのを確認すると、すっと、すばやく身をひるがえした。
「っ?」
そのあっけない引き方に、青年は思わず彼を振り返ってみてしまう。男は、伊佐美の話をきいていた。
「そろそろ、ですね」
伊佐美が、話を切り出した。
「ああ、そうか」
藤滝が、ニヤリと冷たく笑う。
「今日のラッシュはどのくらいひとが来るでしょうな……」
伊佐美のことばに、青年は、下を見た。否、ガラスの向こう側の世界である。
一枚隔てられたその向こう側のフロアには、つなぎ留める拘束具の下に蠢く男たちの肉体がある。
玄関フロアへ通じる扉が、大きく開かれた。ぞろぞろと、並んで、現れた男たちの足が、扉を潜り抜けた瞬間、重い思いの場所へと散っていく。だが、彼らの目的は同じだ。
自分たちの欲望を発散するための肉の花へと、向かう――。
「……っ!」
目の前で行われ始めた光景に、青年は息をのんだ。
まさに、籠の中――淫獄だ。
次々と現れる「客」たちの、いきり立ったものを、突き立てられて、きしむ金具の振動が、ガラス一枚通してでも、伝わってくる。
震える身体、打ち付けられる欲望。逃れようとしても、硬く固定された手足では、感覚を逃すことのできない――。
ぞろぞろと、途絶えることなく、客足がフロアを満たしていく。次々と、犯されていく、花たちの光景に、青年は、怒りを感じて、背後にいる男を睨みつけた。
だが、彼らは談笑に夢中で青年のことなど、気にもしていない。目の前ではこんなことが行われているというのに――。
彼は、後ろを向く体勢に疲れて、前へ首を戻した。だがその先にあるのは、フロアの惨状だ。
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