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・屋敷編

Tue-13

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「ふざけるな!!」
 青年の声が、室内にこだました。
 藤滝と伊佐美が、こちらへと視線を向けるのを感じて、青年はどなった。
「なんで、こんなもんを! ちくしょう! この悪魔どもめ!」
 怒りの限りに声を荒立てながら、青年は固く握りしめられた拳で、ガラスを叩いた。それでも、透明な板はびくともしない。
 藤滝が、ため息をついた。
「まったく、困ったやつだ」
 青年の暴れる気配に、近くに控えていた使用人たちが、彼を取り押さえるために、手を伸ばした。背後から、羽交い絞めされた青年はジタバタと足を暴れさせる。
「どうして、そう、お前は、感情的になるんだ?」
 藤滝が、冷ややかな目で青年を見ている。その視線が、じろじろと、身体をなめつくした。この男の視線はいつもこれだ。肉体の表からじわじわと内側に沁み込んできそうなくらいの、変な感覚。
「さっきまで、あんなに興奮していたのが、今は、これだ。……せっかくだから、お前も、今日はこちら側・・・・で楽しんでいけ」
 ――こちら側・・・・
 どういう意味だ? 藤滝のことばを反芻する。警戒に体を硬くした。この男が、細く冷たい笑みを浮かべているときに、いいことがあったためしがまったくない。
 そんな藤滝に、伊佐美が、話しかけてきた。
「黙らせますか?」
 別の使用人が、さっと、ボールギャグを手にもってあらわれた。
「さすが、準備がいいな」
 にやつく藤滝の前で、青年は暴れた。何をされるのか、目に見えている。だが、使用人たちが取り囲んで、四肢を掴まれてしまった。最後まで反抗したが、伊佐美の用意してきたそれを口にはまされたあと、後頭部にまわされた留め金で、がっちりと固定された。
 口にはませるものをはませると、きつく身体を掴んで来ていた使用人たちが離れる。両唇の間にある丸い球体に空いた穴から、青年の「うー」とうめく音が洩れた。
「まあ、そうせっぱつくな、来い」
 伊佐美が手にしていた鎖が、いつの間にか、藤滝の手の中にあった。ぎゅっとひっぱられて、青年は、藤滝に引き寄せられる。
 彼は、窓ガラスに青年の身体を押し付けるようにして、ガラスと自身の肉体の間に、青年を閉じ込めた。
「お楽しみは、これからだぞ」
 耳元で、男の声がした。
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