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・屋敷編
Tue-02
しおりを挟む「って、おい……」
部屋から引っ張りだされたかと思えば、青年は、車のなかにいた。強引に後部座席の中に、押し込められ、青年は鈍い声を発する。後頭部を座席に強打したからだ。
「おい、てめえら!」
自分を無理矢理ここまでつれてきた使用人たちに、むかっていこうとしたが、目の前の扉が外からばたんと閉じた。
「くそ! いきなりなんだよ!」
不満を爆発させる青年の横から、声がした。
「静かにしろ」
その響きに、青年は、身体を硬直させた。声だけで、わかる。いま、一番聞きたくないやつの発する声だ。
いらだちをにじませながら、発せられたその声の主は、青年の隣に座っていた。
「お前は騒ぐことしか、できないのか?」
上から冷たい視線がふりそそぐ。
「藤滝……」
その男の名を青年はつぶやいた。
「ご主人さま、お待たせしました」
前の扉が開いて、黒服に身を包んだ男が、運転席へと身をすべらせてくる。
「しかし、いいのですか?」
ハンドルを握りながら、彼が主人に問いかけた。
「何がだ?」
藤滝が言い返すと、男は静かに「すみません」と謝り、黙り込んだ。
「おい、お前、一体なにをしようっていうんだ。こんなところに俺を、んっ!?」
かわりに青年が、藤滝にくいかかると、男は、青年の顎を捕まえて、その唇をふさいだ。
急な出来事に、青年は身体をかたくしたが、こばんだつもりの上唇と下唇の隙間から、男の舌が内部へ侵入してきた。
「……っ! う、ん……」
なんとか、男をおしやろうとして、彼の身体をつき放そうとしたが、男のほうが力は上だった。藤滝に、肩ごと抱き寄せられて、逃げ場を失う。首を振って逃れようとしたが、深く入り込んだ舌に、口内をなめとられて、青年は微かに体を震わせた。
青年を弄ぶように舌で遊ぶと、満足したかのように男から離れていった。
「はっ、あ……」
息を乱した、青年が、涙目ながらに、男を睨みつける。だが、そんなものはどこ吹く風とばかりに、男は冷たく言い放った。
「出発するぞ、出せ」
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