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・屋敷編

Mon-12

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「……ひっ、あ、ああっ」
 後ろからの刺激から逃れようとして、腰をひいた青年に襲い掛かかってきたのは、体内に入り込んだ指先が場所を当てたという事実だった。
 内側の敏感な場所を探られた途端、青年は悲鳴をあげた。その甘い官能的な響きに会場がわっとわく。
「……くそっ」
 薬を使われている少年ふたりと違い、青年は何もキメていない。まだ理性が頭の片隅に残っている。そんな状態で、このような痴情を衆人のもとにさらけ出すというのは、苦痛以外の何物でもないはずだ。
 さっきから、部屋奥の下卑た男の視線が、ねっとりと身体じゅうにまとわりついてくる。こんな、汚らしいものを浴び続けなくてはならないだなんて――。
 そこで、青年の意識はぷつりと途切れ、一気に真っ赤に染まった。呼吸が荒くなり、追い詰められて、小さく喘いだ。
 発見した場所を念入りにほぐすようにつつかれて、青年は、耐えきれなくなり、達した。
 どくり、と身を震わせて、果てた、青年は、深い息を吸う。無理矢理、内側からいかされて、前は力なく読悦に浸っている。
「っ!」
 だが、それで終わらなかった。使用人の指が仕事を終えた瞬間に、さっと身をひるがえして、体内から出て行ったあと、尻たぶに熱いものが押し当てられた。
「……っ」
 青年は息を飲む。背中の向こうから荒い呼吸が聞こえてくる。欲望をぶら下げた獣の気配がする。
 なるほど、と余裕のない青年の頭が状況を理解した。これは、ショーだ。盛り上がるために、どうセッティングしてくるか。彼らの悪趣味には、付き合い切れない。
 そして、それが行われる前に、それを察知できるようになってしまった自分がもどかしい。屋敷にそれだけの間、ひたってしまったということでもある。また、それが理解できたとしても、捕らわれの身のいま現在、そこから逃げ出すことはできないと――。
「うっ」
 ずりっと、尻を熱いものが貫こうとした。だが、だがなかなか、そのものは、すべって青年のなかに入りきらない。
 会場がふたたびわいた。声援のように、掛け声がはじまる。
「本当に、悪趣味だ……」
 薬で限界まで押し上げられている少年が青年の背後にいた。ここに入れろと、少年の後ろから使用人が指示しているのがわかる。
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