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・地下室調教編(Day7~)
三日目 6-3
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男は、ニヤリと不気味に笑った。こうなることを予想していたのだ。けれど、彼はあえて、青年のことなど眼中にない、それどころではないとばかりに、彼を一瞥しただけで、その後は、次々と宴の手配を下し続ける。
お前にかまう必要がどこにある――? そう彼は彼の背中ではっしていた。
「は……っ、あ、ああ……っ」
じれったくなって、何度もほてった身体をくねらせるが、それで逃れられるようなうずきでないことは、承知だ。けれど、何もしていないと壊れてしまう。否、もはや青年の肉体は勝手に蠢いていた。もはや、彼の意思がどうしようと、肉体は「欲望」を求めてやまない。
周囲では既に行為が始まっている。
着飾った男たちが、客たちに脱がされて、その白い肌を露出しはじめていた。また、全身をくまなくまさぐられ、また、その身体を開かれて、その内側に熱い昂ぶりを打ち込まれている。
嬌声があちこちから聞こえて来た。
みな、藤滝の手によって開花された花々である。それが、いま一堂にこの場所にて、散らされている。
「……っ」
その様子を見て、つい、瞳が潤む。
自分は、逃げたくても逃れられないうずきに侵されているのに、彼らは、恍惚しとした表情で欲望を受け入れ、次々と頂点を極めている。
彼らのように楽になりたい。
そんな欲望が彼の肚のなかでうずまいていく。
「は、ああ……っ」
ぶるっと青年は身震いした。
彼らのように、客たちにもてあそばれる自分の姿を想像して、感じてしまったのだ。
ぽたりと、雫が前からこぼれおちて、彼の太腿を濡らす。
限界だ。
「藤滝……っ」
彼はまた彼の――名前を呼んだ。
それでも、男は気が付かないふりをしている。あくまで、懇願せねば取り扱わないとばかりに。
「……っ、ああ、も、もう……っ。ふ、じたき……、う、あ、ご、ご主人さま……っ」
羞恥すら快感に変わって行く。
彼を呼んだところで、ようやく、男がこちらを振り向いた。
彼がこちらを見ている。
天井からつられた状態で、みっともなく腰を振っている自分を。
ぞくりと背筋が震える。
「も、無理……だ……、こ、れ……、とって……」
がくがくと手錠が鳴る。
男は、まだ何も口にしない。
「や……、も、これっ……、とって、ください……」
何故、俺がお前を?
藤滝の瞳はそう言っていた。
「……っ」
青年は下唇を咬んだ。
くやしかった。
ただそれだけ、高ぶるからだと正反対に、彼の魂は悔しさに弾けそうになっていた。それでも、彼は、逃げ場がなかった。
「……な、るから」
青年は、彼の冷徹な瞳にこたえた。
「なる……、もう、お、れは……あんたのものです」
その答えを待っていたとばかりに、藤滝の瞳がきらめいた。
お前にかまう必要がどこにある――? そう彼は彼の背中ではっしていた。
「は……っ、あ、ああ……っ」
じれったくなって、何度もほてった身体をくねらせるが、それで逃れられるようなうずきでないことは、承知だ。けれど、何もしていないと壊れてしまう。否、もはや青年の肉体は勝手に蠢いていた。もはや、彼の意思がどうしようと、肉体は「欲望」を求めてやまない。
周囲では既に行為が始まっている。
着飾った男たちが、客たちに脱がされて、その白い肌を露出しはじめていた。また、全身をくまなくまさぐられ、また、その身体を開かれて、その内側に熱い昂ぶりを打ち込まれている。
嬌声があちこちから聞こえて来た。
みな、藤滝の手によって開花された花々である。それが、いま一堂にこの場所にて、散らされている。
「……っ」
その様子を見て、つい、瞳が潤む。
自分は、逃げたくても逃れられないうずきに侵されているのに、彼らは、恍惚しとした表情で欲望を受け入れ、次々と頂点を極めている。
彼らのように楽になりたい。
そんな欲望が彼の肚のなかでうずまいていく。
「は、ああ……っ」
ぶるっと青年は身震いした。
彼らのように、客たちにもてあそばれる自分の姿を想像して、感じてしまったのだ。
ぽたりと、雫が前からこぼれおちて、彼の太腿を濡らす。
限界だ。
「藤滝……っ」
彼はまた彼の――名前を呼んだ。
それでも、男は気が付かないふりをしている。あくまで、懇願せねば取り扱わないとばかりに。
「……っ、ああ、も、もう……っ。ふ、じたき……、う、あ、ご、ご主人さま……っ」
羞恥すら快感に変わって行く。
彼を呼んだところで、ようやく、男がこちらを振り向いた。
彼がこちらを見ている。
天井からつられた状態で、みっともなく腰を振っている自分を。
ぞくりと背筋が震える。
「も、無理……だ……、こ、れ……、とって……」
がくがくと手錠が鳴る。
男は、まだ何も口にしない。
「や……、も、これっ……、とって、ください……」
何故、俺がお前を?
藤滝の瞳はそう言っていた。
「……っ」
青年は下唇を咬んだ。
くやしかった。
ただそれだけ、高ぶるからだと正反対に、彼の魂は悔しさに弾けそうになっていた。それでも、彼は、逃げ場がなかった。
「……な、るから」
青年は、彼の冷徹な瞳にこたえた。
「なる……、もう、お、れは……あんたのものです」
その答えを待っていたとばかりに、藤滝の瞳がきらめいた。
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